第174号(2019年5月号[19/5/1発行])
歯医者さんに行こう!
新しい天皇陛下が即位されて時代は「令和」になりました。そこでという訳ではないのですが、皆様、年に2回、歯科を定期的に受診されていますでしょうか。口腔内環境は関節リウマチを初め多くの病気に影響を与えることが報告されています。ついつい足が遠のきがちな歯科でありますが、定期受診で問題がなければ痛い思いをすることはありませんので、ぜひ受診ください。
エタネルセプト後続2エタネルセプトBS「TY」が承認されました
完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤エタネルセプト(遺伝子組換え)(商品名:エンブレル®、製造発売:ファイザー、発売:武田薬品工業)のバイオ後続品は、昨年の5月に、エタネルセプトBS「MA」(エタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト後続1]、製造販売:持田製薬、販売:あゆみ製薬)がすでに発売されていますが、2番目のバイオ後続品であるエタネルセプトBS「TY」(エタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト後続2]、製造販売:YLバイオロジクス、販売:帝人ファーマ、陽進堂)が本年1月に承認されました。バイオ医薬品とは、遺伝子組み換えと細胞培養技術を用いて合成した蛋白質の医薬品のことですが、特許切れの後に先発品メーカーと別のメーカーが開発したバイオ医薬品がバイオ後続品(バイオシミラー、BS)です。後発医薬品(ジェネリック医薬品)が先発品と全く同じ有効成分であるのに対して、バイオ医薬品の場合、蛋白質のアミノ酸配列が同じであっても蛋白修飾等の相違により、先発品や他の後続品と似ているものの全く同じ有効成分ではないため、「後続品」と呼んで「後発品」と区別しています。
エタネルセプトBS「TY」は、先発品のエンブレル®や後続品エタネルセプトBS「 MA」と剤形のバリエーションが若干異なっており、10mg、25mg、50mgのプレフィルドシリンジ、50mgのペン型自動注射器と、合わせて4つの剤型が承認されています(他の2剤にある10mg、25mgのバイアル製剤と、先発品にある25mgのペン型自動注射器はありません)。
エタネルセプトBS「TY」の発売開始時期は、安定供給を図るために秋頃が予定されています。最新の情報がわかりましたら、当リウマチだよりでお伝えさせていただきます。
エタネルセプト後続1エタネルセプトBS「MA」の処方制限が
緩和されました
2018年1月に承認され、5月に薬価収載・発売開始されたエンブレル®のバイオ後続品であるエタネルセプトBS「MA」(エタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト後続1]、製造販売:持田製薬、販売:あゆみ製薬)は、7月の時点で、需要に応じた供給ができないことが見込まれため、全剤形の「新規注文及び新規処方辞退のお願い」が製薬会社から各医療機関に出され、患者さんへの処方が制限される事態になっていました。そのため、当大学病院においては、薬事審議会で採用が決まっていましたが、患者さんへの処方ができない状況が続いておりました。後発医薬品やバイオ後続品について懸念されることの1つが製剤の安定供給ですが、発売開始後早々に起きたエタネルセプトBS「MA」の供給不足は、治療費負担軽減のために先行品から後続品への切り替えを希望されている患者さんはもちろん、リウマチ医にとっても、大変遺憾な事態となっていました。
本年3月に製薬会社から通知があり、4月から段階的にエタネルセプトBS「MA」の販売抑制が緩和されることとなりました。すでに採用が決まっていた当大学病院においては、4月半ばから25mgのプレフィルドシリンジ、50mgのペン型自動注射器の処方が院内・院外共にできるようになりましたので、後続品の処方を希望される患者さんは、主治医までご相談くださいますようにお願いします。なお、先発品エンブレル®50mgペンの院内採用は中止となりました。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の診療科や医療機関で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、検査結果やお薬手帳などをできるだけご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。なお、教室では、診察はできませんので、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします。
さて、5月のリウマチ教室では、西井歯科衛生士に口腔ケアに関して講演いただきますので是非ご参加ください。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2019年5月- 8月)
日時:2019年5月16日(木) 午後1時30分-2時30分(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチとお口の管理の必要性」
講師:歯科口腔外科・医療技術部 歯科部門 西井 美佳 歯科衛生士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2019年6月20日(木) 午後1時30分-2時30分(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「オーダーメイド靴をシミュレーションしてみよう」
講師:澤村義肢製作所 岡田 佳奈 義肢装具士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2019年7月11日(木) 午後1時30分-2時30分(第2週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチのリハビリテーション」
講師:リハビリテーション部 重本 千尋 理学療法士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2019年8月29日(木) 午後1時30分-3時00分(第5週です、時間帯が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんとのおしゃべり会」
司会:三浦 靖史 准教授、アシスタント:保健学科学生
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2019.5.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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