第166号(2018年9月号[18/9/1発行])
避難警報には速やかに対応しましょう
近年、携帯電話への緊急速報で、自治体の災害警戒本部からの避難勧告や指示がすぐに伝えられるようになりました。とても便利なのですが、次々と来週する台風のために頻繁に速報が来ると、ついつい軽視してしまうようなことがないでしょうか。お体に不自由があったり、ご高齢な患者さんにおかれましては避難に時間を要する場合もあることから、避難警報には速やかにご対応いただけますように、日頃から準備を行っていただきますようにお願いします。
バリシチニブ(オルミエント®)の処方期間制限が解除されました
昨年7月に承認された、既存治療で効果不十分な関節リウマチに対して使用されるヤヌスキナーゼ(JAK)を標的とした低分子量分子標的薬バリシチニブ(商品名オルミエント®錠4mg、同2mg、製造販売:日本イーライリリー(株))が、薬価収載後1年が経過したため、今月から処方期間の制限が解除され、2週間を超える長期の処方が可能になりました。オルミエント®の用法用量は、通常成人は1日1回4mgを経口で内服し、患者さんの状態に応じて1日1回2mgに減量することになっています。
オルミエント®錠の薬価は4mgが5223円、2mgが2690.4円ですので、1日1回4mgでオルミエント®を服用する場合の年間薬価は1,906,395円です。オルミエント®を使用する全ての患者さんを対象とした、3000例を目標とした観察期間を6ヶ月とする特定使用成績調査(全例調査)が実施されており、重篤な有害事象と特別な有害事象については3年間の観察が行われます。
エタネルセプトBS「MA」の供給不足について(続報)
先月号でもお伝えしましたが、本年5月末に薬価収載・発売開始になったばかりの、完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤エタネルセプト(遺伝子組換え)(商品名:エンブレル®、製造発売:ファイザー、発売:武田薬品工業)の初めてのバイオ後続品であるエタネルセプトBS「MA」(エタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト後続1]、製造販売:持田製薬、販売:あゆみ製薬)が、7月の時点で、製薬会社の発売前の予想を大きく上回る処方数があり、需要に応じた供給ができない可能性が見込まれたため、エタネルセプトBS「MA」全剤型の「新規注文及び新規処方辞退のお願い」が製薬会社から各医療機関に出される事態となっていました。
8月末にあゆみ製薬からホームページで公式な発表があり、新規の処方の制限が必要だけでなく、最も多くの患者さんに使用されているエタネルセプトBS皮下注25mgシリンジ0.5mL「MA」は、既に処方されている患者さんに対しても、来年度まで継続した供給が困難であることが判明したとのことです。そのため、万一、同製剤を処方中の患者さんにおいて供給が中断される事態となった場合、主治医から改めて治療方法についてご説明申し上げます。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)やバイオ後続品(バイオシミラー)は、薬剤費負担が軽減できる利点は非常に大きいものの、製剤の品質と安定供給が以前から懸念されてきました。今回、エタネルセプトBS「MA」が発売開始後早々に供給不足に至ったことに関して、製薬会社に猛省と早急な供給体制の改善を強く要望している次第です。
引き続き、エタネルセプトBS「MA」の供給状況について新しい情報が入りましたら、当リウマチだよりでお伝えしますので、皆様には長期に渡りご不便をお掛けしますが、何卒ご理解、ご協力いただけますように重ねてお願い申し上げます。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の診療科や医療機関で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、検査結果やお薬手帳などをできるだけご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。なお、教室では、診察はできませんので、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします。
9月のリウマチ教室では、音楽療法士の山崎郁子先生にお越しいただいて、リウマチ患者さんへの音楽療法を開催しますので、ぜひご参加ください。皆様のご参加を心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2018年9月-2019年1月)
日時:2018年9月20日(木) 午後1時30分-3時00分(第3週です・時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2018年10月11日(木) 午後1時30分-2時30分(第2週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチの病態:最近の研究から」
講師:整形外科 福田 康治 医師
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2018年11月15日(木) 午後1時30分-2時30分(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を健康に過ごすために」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
年末につき12月のリウマチ教室はお休みです。
日時:2019年1月31日(木) 午後1時30分-2時30分(第5週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「2019年:今年のリウマチ治療の展望」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙でリウマチセンター受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2018.9.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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