第165号(2018年8月号[18/8/1発行])
薬剤情報提供書の画像を携帯電話に保存しましょう
猛暑が続いておりますが、皆様におかれましては熱中症対策などの体調管理は万全でしょうか。さて、先日の西日本豪雨は中国四国地方を中心に多大な被害をもたらしました。被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。神戸市内においても灘区などで崖崩れが生じ、未だ通行できない道路があるなど、身近なところでの影響も残っています。今回のような災害はいつでもどこでも生じ得ますので、皆様におかれましては、日頃から災害への備えの一環として、避難時に持って出ることが多い携帯電話やスマートフォンで、処方薬を受け取った際に交付された薬剤情報提供書の全てのページを撮影して画像を保管しておいていただけましたら、万一、ご自宅が被害を受けたような場合でも、処方薬をすぐに確認できますので、ぜひ、実践くださいますようにお願いします。
アダリムマブ(ヒュミラ®)皮下注40mgペン0.4mL/80mgペン0.8mL採用のお知らせ
関節リウマチ、関節症性・尋常性・膿疱性乾癬、強直性脊椎炎、腸管型ベーチェット病、ブドウ膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎など様々な適応症を持つヒト型抗TNFα抗体製剤アダリムマブ(商品名:ヒュミラ®、製造販売:アッヴィ、販売:エーザイ)は、従来、0.4mLと0.8mLのプレフィルドシリンジ製剤として供給されてきましたが、ペン型の自動注射器(オートインジェクター)製剤が昨年7月に承認、本年5月に薬価基準収載され、6月に発売が開始されました。8月から当院でもペン製剤が採用され処方が可能になりました。ヒュミラ®ペンの薬価は、40mgペン0.4mLが62,596円、80mgペン0.8mLが121,448円で、40mgペン0.4mLは院内・院外処方の両方で、80mgペン0.8mLは院外処方でのみ処方可能です。
ヒュミラ®皮下注40mgペン(左)及び80mgペン(右)の製剤とパッケージの写真
エタネルセプトBS「MA」の供給不足による処方の制限について
本年5月末に薬価収載・発売開始になったばかりの、完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤エタネルセプト(遺伝子組換え)(商品名:エンブレル®、製造発売:ファイザー、発売:武田薬品工業)の初めてのバイオ後続品であるエタネルセプトBS「MA」(エタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト後続1]、製造販売:持田製薬、販売:あゆみ製薬)が、7月の時点で、製薬会社の事前の予想を大きく上回る処方数があり、需要に応じた供給ができない可能性が見込まれるため、エタネルセプトBS「MA」全剤形の「新規注文及び新規処方辞退のお願い」が製薬会社から各医療機関に出される事態となっています。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)やバイオ後続品(バイオシミラー)について懸念されることの1つが製剤の安定供給ですが、発売開始後早々にエタネルセプトBS「MA」の供給不足が見込まれる事態となっていることは、大変遺憾に思います。今回、エタネルセプトBS「MA」は先行品エンブレル®の約58%と割安な薬価が設定されたこともあり、治療費負担軽減のために先行品から後続品への切り替えを希望される患者さんがたくさんおられるにも係わらず、このような事態となっていることに、リウマチ治療に関わる医療従事者の1人として深くお詫び申し上げます。製薬会社によれば韓国にある製造メーカーから次回の納品は来年4月であり、すでにエタネルセプトBS「MA」を処方されている患者さんへの供給の確保を優先するために、新規の患者さんへの処方は控えるように依頼が出されておりますため、当面の間、当院での採用は保留される見通しです。状況が改善しましたら、当リウマチだよりで皆様にお伝えしますので、何卒ご理解いただけますようお願いいたします。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の診療科や医療機関で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、検査結果やお薬手帳などをできるだけご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。なお、教室では、診察はできませんので、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします。
さて、8月のリウマチ教室では、毎夏恒例のリウマチ患者さんとご家族とのおしゃべり会を開催しますので、暑い時期ではありますが、ぜひご参加ください。皆様のご参加を心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2018年8月-12月)
日時:2018年8月23日(木) 午後1時30分-3時00分(第4週です、時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
テーマ:「リウマチ患者さんとのおしゃべり会」
司会:三浦 靖史 准教授、アシスタント:保健学科学生
日時:2018年9月20日(木) 午後1時30分-3時00分(第3週です・時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2018年10月11日(木) 午後1時30分-2時30分(第2週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチの病態:最近の研究から」
講師:整形外科 福田 康治 医師
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2018年11月15日(木) 午後1時30分-2時30分(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を健康に過ごすために」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
年末につき12月のリウマチ教室はお休みです。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙でリウマチセンター受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2018.8.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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