第160号(2018年3月号[18/3/1発行])
春が来ました
春一番が吹き、長く厳しかった冬がようやく終わろうとしていますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。まだまだ天候不順の折、体調管理には十分にご配慮くださいますようにお願いします。
エンブレル®皮下注25mgペン0.5mLが承認されました
世界で初めて、本邦では2005年に2番目の抗リウマチ生物学的製剤として承認された完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤エタネルセプト(遺伝子組換え)(商品名:エンブレル®、製造発売:ファイザー、発売:武田薬品工業)の剤型は、発売当初の溶解と注射器への吸引が必要なバイアルから、溶解・充填済みのプレフィルドシリンジ、さらには自動注射器(オートインジェクター、ペン型製剤)と徐々に改良が加えられて、患者さんによる自己注射が簡単に行えるようになってきました。しかし、25mgと50mgの2つある用量のうち、オートインジェクターは50mgのものしかなかったため、25mgを使用されている患者さんにはプレフィルドシリンジしか選択肢がなく、不便な状況が続いておりました。そのため、多くの患者さんと医療従事者から25mgのオートインジェクターを要望する声が上がっていましたが、本年2月にエンブレル®皮下注25mgペン0.5mLが製造承認を受けました。
今後、決定される薬価や発売時期、当院での採用情報などにつきましては、当リウマチだよりで皆様にお知らせさせていただきます。
エンブレル®皮下注25mgペン0.5mLの製剤とパッケージの写真
エタネルセプト後続1エタネルセプトBS「MA」が承認されました
完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤エタネルセプト(遺伝子組換え)(商品名:エンブレル®、製造発売:ファイザー、発売:武田薬品工業)の初めてのバイオ後続品であるエタネルセプトBS「MA」(エタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト後続1]、製造販売:持田製薬、販売:あゆみ製薬)が本年1月に承認されました。バイオ医薬品とは、遺伝子組み換えと細胞培養技術を用いて合成した蛋白質の医薬品のことですが、特許切れの後に先発品メーカーと別のメーカーが開発したバイオ医薬品がバイオ後続品(バイオシミラー、BS)です。後発医薬品(ジェネリック医薬品)が先発品と全く同じ有効成分であるのに対して、バイオ医薬品の場合、蛋白質のアミノ酸配列が同じであっても蛋白修飾等の相違により、先発品や他の後続品と似ているものの全く同じ有効成分ではないため、「後続品」と呼んで「後発品」と区別しています。
エタネルセプトBS「MA」は、10mgと25mgのバイアル、25mgと50mgのプレフィルドシリンジ、50mgのペン型自動注射器と、合わせて5つの剤型が承認されています。
エタネルセプトBS「MA」につきましても、薬価や発売時期等の最新情報がわかりましたら、続報させていただきます。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の診療科や医療機関で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、検査結果やお薬手帳などをできるだけご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。なお、教室では、診察はできませんので、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします。
さて、2月のリウマチ教室では、三浦准教授が、4月から新年度が始まるのを前に、進学、就職、結婚、出産、育児など、これから様々なライフイベントを迎えられる若いリウマチ患者さんとご家族に向けての講演をしますので、ぜひ、ご参加ください。なお、年齢制限はありませんので、皆様のご参加を心からお待ちしております。
さて、3月のリウマチ教室では、三浦准教授が、実際に手術に用いる人工関節を皆様に触っていただきながら、人工関節置換手術に関するお話をさせていただきますので、ぜひ、ご参加ください。皆様のご参加を心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2018年3月-2018年7月)
日時:2018年3月22日(木)午後1時-2時(第4週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチと変形性関節症に対する人工関節置換術について」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
日時:2018年4月19日(木) 午後1時30分-2時30分(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「足の観察と装具のお手入れについて」(変更になりました)
講師:澤村義肢製作所 岡田 佳奈 義肢装具士 司会:三浦 靖史 准教授
日時:2018年5月31日(木) 午後1時30分-2時30分(第5週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチとお口の管理の必要性」
講師:歯科口腔外科・医療技術部 歯科部門 西井 美佳 歯科衛生士 司会:三浦 靖史 准教授
日時:2018年6月21日(木) 午後1時30分-2時30分(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「やってみよう♪ おいしく楽しく!食生活のポイント」
講師:栄養管理部 玉田 萌子 管理栄養士 司会:三浦 靖史 准教授
日時: 2018年7月12日(木) 午後1時30分-2時30分(第2週です)*日程を修正しました(4/17)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチ発症から手術後までの関節保護〜日常生活動作を中心に〜」
講師:リハビリテーション部 松野 凌馬 理学療法士 司会:三浦 靖史 准教授
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2018.3.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
暖かくなりましたら、外で運動して筋力と体力の維持に努めましょう。
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