第156号(2017年11月号[17/11/1発行])

秋から冬へ

 曇天が続いて、紅葉の美しさに気づかないうちに、朝夕の気温は随分と低くなり、秋もすっかり深まってきた今日この頃ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。先月の超大型の台風21号の襲来では、停電や交通機関の運休などにより様々な影響を受けられた方々もおられると思いますが、被害はありませんでしたでしょうか。土砂崩れの恐れなどにより避難勧告がだされていた地域が兵庫県内でもありましたので、いざ避難となった際に、リウマチの治療薬を初めとする必要な品々をすぐに持ち出せるように、避難グッズの準備、避難場所と経路、さらには家族との連絡方法の確認などを、改めて行っていただけますようによろしくお願いします。

 さて、10月号のリウマチ便りに記載しましたが、今シーズンは9月からインフルエンザの流行が報告されています。一方で、インフルエンザワクチンの供給量が昨年と較べて少ないことから、接種が必要な方におかれましては早めのワクチン接種と、12才以上は1回のみの接種が呼びかけられています。なお、インフルエンザワクチンの供給が遅れ気味であることにより、ワクチン接種予約受付を一時的に停止している医療機関が一部ありますが、11月に入ってワクチンの供給が安定すれば再開される見通しです。ですので、ワクチンの準備ができ次第、かかりつけ医で接種いただきますようにお願いします。当院に通院中の患者さんでかかりつけ医がおられない場合には、診療の際にワクチン接種を行うことが可能ですので、診察前に予め接種希望の旨を受付にお伝えくださいますようにお願いします。なお、インフルエンザワクチンの接種にかかる費用は、以前のように市町村内の医療機関における統一価格の設定はなくなっていますので、各医療機関によって異なります。

 また、メトトレキサート(リウマトレックス®)、タクロリムス(プログラフ®)、レフルノミド(アラバ®)、生物学的製剤(レミケード®、エンブレル®、ヒュミラ®、アクテムラ®、オレンシア®、シンポニー®、シムジア®、インフリキシマブBS)、JAK阻害剤(ゼルヤンツ®、オルミエント®)、ステロイド(プレドニン等)など、免疫抑制作用のある薬を治療に使われているリウマチ患者さんにおかれましては、インフルエンザワクチン以外に、肺炎球菌ワクチンの接種も検討くださいますようにお願いします。肺炎球菌ワクチン(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン、ニューモバックス®)は定期接種となっており、来年度(2018年度)までは、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の誕生日を年度内に迎える方が、2019年度以降は65歳の方が定期接種の対象となりますが、対象となる年齢以外の方も接種を受けることができます。ただし、定期接種の対象年齢以外の方、また、前回の接種後5年を経過して再接種を受ける場合には、対象年齢であっても公費助成の対象外となるために、接種費用が少し割高になりますことをご了承くださいますようにお願いします。


体外診断用医薬品インフリキシマブキット(レミチェックQ®)保険収載のお知らせ

 本年1月号で承認をお知らせしました、インフリキシマブ(レミケード®)を投与中のリウマチ患者さんにおいて、インフリキシマブの効果不十分と判断された場合に、増量や投与間隔の短縮などの適応を判断するために、血清中のレミケード®の濃度を測定する体外診断用医薬品であるインフリキシマブキット(レミチェックQ®)が保険収載されました。検査に要する保険点数は310点で、測定は患者さん一人当たり3回までに限られています。病院での採用につきましては改めてお知らせいたします。


ヒト型抗IL-6モノクローナル抗体シルクマブの承認申請中止のお知らせ

 2016年に、日本を初め、アメリカ、ヨーロッパで抗リウマチ薬として承認申請されていたヒト型抗IL-6モノクローナル抗体シルクマブ(開発:ヤンセンファーマ®)の承認申請が残念ながら取り下げになりました。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。なお、 教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします。

 さて、11月の教室では、三浦准教授から、ワクチン接種や手洗い方法など冬の間の健康管理に関するお話をさせて頂く予定ですので、ぜひ、ご参加ください。スタッフ一同、皆様のご参加を心からお待ちしております。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2017年11月-2018年3月)

日時:2017年11月30日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「今シーズンの冬対策」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


年末で皆様多忙な時期となりますため、12月のリウマチ教室はお休みです。 


日時:2018年1月25日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「年頭所感:リウマチ治療の展望」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2018年2月15日(木)午後1時-2時(第3週です)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「若いリウマチ患者さんとご家族へ:ライフイベントへの対応について」

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2018年3月22日(木)午後1時-2時(第4週です)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「関節リウマチと変形性関節症に対する人工関節置換術について」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


冬の訪れは目前ですので、くれぐれもうがいと手洗いを励行くださいますようにお願いします。


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチグループ宛

発行:神戸大学整形外科リウマチグループ© 発行日:2017.11.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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