第155号(2017年10月号[17/10/1発行])
10月になって、ハロウィーンのカボチャのランタンやゴーストを見かける機会も増え、秋の深まりを感じる今日この頃ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。もう、衣替えはお済みになりましたでしょうか。雨の後など、急激に気温が低下する日が増えていますので、くれぐれも早めの冬支度をしていただきますようによろしくお願いします。さて、そこで、例年より1ヶ月取り上げるのが早いのですが、今年のインフルエンザワクチン接種についてお伝えします。
今シーズンのインフルエンザワクチン接種について
さて、今年は9月からインフルエンザの流行と学級閉鎖が一部の地域で報告されており、早くからの流行が懸念されています。例年、10月中旬から始まるインフルエンザワクチン接種ですが、昨シーズン、即ち、2016/2017冬のシーズンは熊本地震でワクチンメーカーの1つ化学及血清療法研究所(化血研)の工場が被災したため、供給量が2015/2016冬のシーズンより1割程度少なくなっていました。今シーズンは、化血研の工場は生産を再開したものの、ワクチン株決定の遅れから、昨シーズンの投与実績が1mlバイアル換算で2,642万本(成人換算(0.5ml/回)で5,284万接種分)なのに対して、今シーズンの生産量は2,528万本(昨シーズンは2,784万本、その前シーズンは3,072万本)と昨シーズンの投与実績すら下回る、非常に厳しい供給状況となっています。
2015/2016冬シーズンから、ワクチンの対象となるインフルエンザウイルスは、A型、B型それぞれ2種類、合計4種類の株に対して有効な四価ワクチンが使用されています。2017/2018冬シーズンの国内でのインフルエンザワクチンを構成している株は以下の4種類です。
•A/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09(昨シーズン使用されていた、A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09から変更されました)
•A/Hong Kong(香港)/4801/2014(X-263)(H3N2)(当初、A/埼玉/103/2014/(CEXP002)
(H3N2)を予定されていたのが、この株の蛋白収量が低くワクチン生産量が減少するため、昨シーズンと同じこちらの株に変更されました)
•B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)(昨シーズンと同じ)
•B/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)(昨シーズンと同じ)
インフルエンザワクチンの有効期間はそのシーズン限りですので、昨シーズン接種したから大丈夫と安易に考えず、メトトレキサートや生物学的製剤、JAK阻害薬、ステロイドなど、免疫抑制作用を有する薬を治療に用いているリウマチ患者の皆様、そして65才以上の高齢者の皆様は、格段の理由のない限り、早めに接種を受けて頂くことをお奨めします。
インフリキシマブ後続品(後続2)の承認について
抗ヒトTNFαモノクロナール抗体製剤インフリキシマブ(レミケード®)の初めてのバイオ後続品インフリキシマブBS点滴静注用100mg「NK」(インフリキシマブ(遺伝子組換え)後続1、製造販売:日本化薬)が2014年7月に承認され上市されて約3年が経過しましたが、この度、新たに、インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」・「あゆみ」(インフリキシマブ(遺伝子組換え)後続2、「日医工」の製造販売:日医工、「あゆみ」の製造販売:ヤクハン製薬・販売:あゆみ製薬)が、2017年9月に承認されました。バイオ医薬品とは、遺伝子組み換えと細胞培養技術を用いて合成した蛋白質の医薬品のことですが、特許切れの後に先発品メーカーと別のメーカーが開発したバイオ医薬品がバイオ後続品(バイオシミラー)です。後発医薬品(ジェネリック医薬品)が先発品と全く同じ有効成分であるのに対して、バイオ医薬品の場合、蛋白質のアミノ酸配列が同じであっても蛋白修飾等の相違により、先発品や他の後続品と似ているものの全く同じ有効成分ではないため、「後続品」と呼んで「後発品」と区別されています。また、薬価や採用情報などがわかりましたら、リウマチ便りで皆様に続報させていただきます。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。なお、教室では、診察はできませんので、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします。
さて、10月のリウマチ教室では、臨床検査部の大沼健一郎臨床検査技師から、患者さんが日頃受けておられる様々な臨床検査に関するお話をして頂く予定ですので、ぜひ、ご参加ください。スタッフ一同、皆様のご参加を心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2017年10月-2018年2月)
日時:2017年10月26日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「臨床検査について」
講師:検査部 大沼 健一郎 臨床検査技師
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2017年11月30日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「今シーズンの冬対策」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
年末で皆様多忙な時期となりますため、12月のリウマチ教室はお休みです。
日時:2018年1月25日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「年頭所感:リウマチ治療の展望」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
日時:2018年2月15日(木)午後1時-2時(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「若いリウマチ患者さんとご家族へ:ライフイベントへの対応について」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
朝夕はかなり涼しくなっていますので、皆様、風邪を引かない・こじらせないように、体調管理にくれぐれもご配慮くださいますようにお願いします。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2017.10.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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