第153号(2017年8月号[17/8/1発行])

暑中お見舞い申し上げます

 連日の猛暑が続いていますが、皆様、体調はいかがでしょうか?

熱中症、夏風邪、胃腸炎などで体調を崩されることのないように、うがいと手洗いを初め、健康管理にくれぐれもお務めいただけますようにお願いします。


デノスマブ(プラリア®)の関節リウマチへの効能効果承認取得のお知らせ

 ヒト型抗RANKL(Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)モノクローナル抗体製剤デノスマブ(遺伝子組み換え)(商品名プラリア®皮下注60mgシリンジ、製造販売:第一三共(株)、薬価29,296円)は、破骨細胞に発現するRANKのリガンドを標的とする生物学的製剤です。デノスマブは、「多発性骨髄腫及び固形癌骨転移による骨病変、骨巨細胞腫」に対してはランマーク®皮下注120mgの商品名で、「骨粗鬆症」に対してはプラリア®皮下注60mgシリンジの商品名で、多くの患者さんの治療にすでに使用されています。

 7月にプラリア®の新しい効能・効果として、「関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制」が承認されました。関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制に対するプラリア®の用法用量は、骨粗鬆症に対してと同様に、通常6カ月に1回、60mgを皮下注射しますが、骨びらんの進行が認められる場合には、3ヵ月に1回に投与間隔を短縮することができます。


バリシチニブ(オルミエント®)の承認のお知らせ

 リウマチ治療に使用される、体内の特定の分子を狙い撃ちすることにより優れた治療効果を発揮する分子標的薬には、高分子量のタンパク質でできていて関節リウマチの病態に関わる炎症性サイトカインやT細胞を標的とした、点滴や皮下注射で投与される生物学的製剤(バイオ製剤)が8製剤(バイオシミラー1製剤を含む)と、低分子量の化学物質で細胞内シグナル伝達物質であるヤヌスキナーゼ(JAK)を標的とした、経口薬のトファシチニブ (ゼルヤンツ®)が、現在使用されています。

 7月に、JAKを標的とした、新たな低分子量分子標的薬バリシチニブ(商品名オルミエント®錠4mg、同2mg、製造販売:日本イーライリリー(株))が抗リウマチ薬として承認されました。オルミエント®はゼルヤンツ®同様に内服薬であることが特長ですが、通常、1 回 4 mgを 1 日 1 回経口で内服し、患者さんの状態によっては2mgに減量することが可能です。このように、内服が1日1回で状態によって減量できること(ゼルヤンツ®は1日2回の内服)、また、4種類あるJAKのサブタイプのうち、特にJAK1とJAK2に選択性が高いことが、ゼルヤンツ®と異なっています。ただし、両製剤の間で優劣が比較検討されている訳ではありません。オルミエント®の適応は、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)ですので、まず、メトトレキサートなどの既存の抗リウマチ薬で治療を行って症状が残る場合に限り使用できます。

 オルミエント®の薬価はまだ発表されていませんが、発売開始後1年間は処方期間が2週間に制限されます。薬価や当病院での採用予定など、新たな情報が入りましたら、リウマチだよりで改めてお知らせする予定です。


診療場所の変更に関するご案内とお願い(再掲)

 整形外科リウマチ外来は、これまで外来診療棟3階のリウマチセンターと1階の整形外科に診療場所が分かれていましたが、8月から全てのリウマチ外来が3階にあるリウマチセンターに移動しました。従来通り、受診された際には受付でリウマチ外来問診票(2枚)を受け取って記入いただけますように、また、点滴に限らず皮下注射であっても生物学的製剤の投与を当日予定されている患者さんは毎回、血圧と体温を測定していただき、測定データを主治医にお渡しいただけますようにお願いします。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、 新規の参加者優先で、 また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。

 さて、8月のリウマチ教室では、毎年恒例の患者さんと家族のおしゃべり会を開催いたします。暑い時期ではありますが、お誘い合わせの上、ぜひ、ご参加ください。スタッフ一同、心からお待ちしております。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2017年8月-2017年12月)


2017年8月31日(木) 午後1時-2時30分(時間が異なります)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会

司会:三浦 靖史 准教授


2017年9月21日(木)(第3週です)午後1時-2時20分(時間が異なります)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「健康と音楽」 

講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授 

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2017年10月26日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「臨床検査について」

講師:検査部 大沼 健一郎 臨床検査技師 

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2017年11月30日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「今シーズンの冬対策」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


年末で多忙な時期となりますため、12月のリウマチ教室はお休みです。


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


 今年は多くの台風が発生しています。体調管理に加え、災害時の対策についても十分にご準備ください。


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛

発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2017.8.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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