第152号(2017年7月号[17/7/1発行])

梅雨のまっただ中です

 梅雨入り直後は空梅雨でしたが、6月下旬からは激しい雨が降る日が増えてきました。この時期、局所的な豪雨による河川の鉄砲水や家屋の浸水が生じることがありますので、ご自宅周辺の危険な地域や避難所を、ハザードマップなどを用いて改めて確認いただけますようにお願いします。


トリシズマブ(アクテムラ®)皮下注製剤投与間隔短縮承認のお知らせ

 ヒト化抗ヒトインターロイキン-6(IL-6)レセプターモノクローナル抗体トシリズマブ(商品名アクテムラ®、製造販売:中外製薬)は、炎症性サイトカインIL-6を標的とする現時点では唯一の生物学的製剤で、関節リウマチに優れた効果を発揮します。2008年の承認当初は、体重1kg当たり8mgのトシリズマブを4週間毎に60分掛けて点滴静注する投与方法しかありませんでしたが、2013年に皮下注射製剤であるアクテムラ®皮下注162mgが発売され、点滴と2週間隔の皮下注射(自己注射あるいは外来通院での注射)の2つの投与経路が選べるようになりました。アクテムラ®皮下注には、プレフィルド(充填済み)シリンジとオートインジェクター(自動注射器)の2剤型が用意されており、選択していただくことが可能です。シリンジ製剤より簡単に注射できて針刺し事故の危険も少ないオートインジェクター製剤を選ばれる患者さんが大半ですが、他のプレフィルドシリンジ製剤の自己注射の経験がある場合などに、注入速度を自分でコントロールできるプレフィルドシリンジを選ばれる患者さんもおられます。

 皮下注射は点滴に比べ遙かに短い時間で投与を完了できること、自己注射を行うことによって通院の頻度が少なくて済むこと、条件によっては高額療養費の適応ができることなど、患者さんにとって様々な利点があります。ただし、皮下注射の用量は点滴と違って体重に関わらず同じであり、4週のうちに皮下注射で投与されるトシリズマブの量は162mg x 2回=324mgです。この量は体重40.5kgの患者さんに4週ごとに点滴で投与されるトシリズマブと同じ量になります。即ち、体重が40.5kgより重い患者さんでは、皮下注射では点滴で使用されるより少ないトシリズマブで治療することになります。

 患者さんの平均的な体格が日本人よりも大きい海外では、従来からアクテムラ®皮下注162mgの1週間隔での投与が承認されていましたが、この6月から日本でも、アクテムラ®皮下注162mgを2週間隔投与で使用して効果が不充分な場合に、最短で1週間まで投与間隔を短縮することが承認されました。投与間隔を調整することで、アクテムラ®皮下注の効果が十分に発揮されることが期待されます。


プレガバリン(リリカ®)OD錠発売のお知らせ

 神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛に対して使用されるプレガバリン(リリカ®)(製造販売:ファイザー、販売:エーザイ)は、従来、カプセル(25mg,75mg,150mg)で供給されてきましたが、新たに、水がなくても口の中で溶けて内服できる口腔内溶解錠(oral dispersing tablet: OD錠)の剤型が追加され、6月に販売が開始になりました。なお、リリカ®の薬価はカプセルもOD錠も同一です。

薬価:リリカOD錠・カプセル25mg:67.80円、75mg:112.90円、150mg:155.00円


診療場所の変更に関するご案内とお願い

 整形外科リウマチ外来は、これまで外来診療棟3階のリウマチセンターと1階の整形外科に診療場所が分かれていましたが、8月から全てのリウマチ外来が3階にあるリウマチセンターに移動することになりました。従来通り、受診された際には受付でリウマチ外来問診票(2枚)を受け取って記入いただけますように、また、生物学的製剤を使用されている患者さんは血圧と体温を測定して、計測データを主治医にお渡しいただけますようにお願いします。


外来休診に関するお知らせ

 以下の整形外科リウマチ外来を休診させていただきます。皆様にはご迷惑をお掛けしますが、ご理解とご協力を賜りますようによろしくお願い申し上げます。

    8/3(木)林、8/8(火)福田、8/16(水)三浦、8/17(木)三浦、8/18(金)酒井、8/24(木)林

    9/5(火)福田、9/21(木)林、9/27(水)三浦、9/28(木)三浦・林


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。

 さて、7月のリウマチ教室では、松野理学療法士からリウマチ患者さん運動やリハビリに関するお話をしていただく予定です。皆様、お誘い合わせの上、ぜひ、ご参加ください。スタッフ一同、心からお待ちしております。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2017年7月-2017年11月)

2017年7月27日(木)午後1時-2時

会場: 外来診療棟4階第2会議室(会場が異なります)

演題:「リウマチ患者さんの運動療法〜保存療法から手術療法後のリハビリまで〜」 

講師:リハビリテーション部 松野 凌馬 理学療法士 

司会:三浦 靖史 准教授


2017年8月31日(木) 午後1時-2時30分(時間が異なります)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会

司会:三浦 靖史 准教授


2017年9月21日(木)(第3週です)午後1時-2時20分(時間が異なります)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「健康と音楽」 

講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授 

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2017年10月26日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「臨床検査について」

講師:検査部 大沼 健一郎 臨床検査技師 

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2017年11月30日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「今シーズンの冬対策」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチグループ宛

発行:神戸大学整形外科リウマチグループ© 発行日:2017.7.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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