第151号(2017年6月号[17/6/1発行])
6月は「リウマチ月間」です
毎年6月はリウマチ月間です。抗リウマチ薬が飛躍的に進歩した今日でも、関節リウマチがなぜ発症するかというメカニズムは解明されておらず、そのため、根治法や予防法はまだありません。しかい、関節リウマチが発症してからできるだけ早期のうちに、病態に応じて強力な薬物療法を行うことで、痛みをなくし、関節破壊を防ぎ、身体の機能を低下させないことが可能になっています。すわなち、適切なリウマチ治療を適切なタイミングで行い、健康管理に努めていただければ、発病前とほとんど変わらないごく普通の生活を送っていただくことが可能です。
関節リウマチの早期治療のためには早期診断が、早期診断のためには発症早期の医療機関への受診が欠かせません。「ひょっとしたらリウマチかも?」と思われる関節の痛みや腫れなどの症状がある場合には、整形外科でも内科でも構いませんので、まずは、お近くのかかりつけ医を速やかに受診して、血液検査やレントゲン撮影などの必要な検査を受けて下さい。かかりつけ医がリウマチ専門医でない場合で、専門医の診察が必要であると判断された場合には、かかりつけ医を通じて専門医の診察を予約して受診下さいますようにお願いします。
法的な資格のない医業類似行為の施術にご注意ください
消費者庁は5月26日にニュースリリースを発行して、法的な資格のない医業類似行為による事故の発生状況について公表するとともに、消費者に注意喚起を促しています。器具を使用しない手技による施術には、「あん摩マッサージ指圧」、「柔道整復」といった法的な資格者によって行われる施術の他に、いわゆる「整体」、「カイロプラクティック」、「リラクゼーションマッサージ」といった法的な資格に基づかない施術が行われています。
「エステティック」を除いた法的な資格に基づかない施術によって、2009年9月から2017年3月までの約7年半の期間に、1,483件の事故が消費者庁に報告されています。このうち治療の期間が1か月を超える「重症」 とされる事故が240件で約16%を占めています。施術の内容では、特に「整体」と「カイロプラクティック」で重症とされる事故の割合が高くなっています。一方、症状としては、「神経・脊髄の損傷」が約20%、「擦過傷・挫傷・打撲傷」が約16%、「骨折」が約8%と順に多くを占めています。なお、年毎の事故の発生件数は2013年以降では毎年約200件程度です。
消費者庁は、疾病がある場合、施術を受ける前に医師に相談することを推奨していますが、施術の質が担保されない法的な資格のない医業類似行為を、関節の変形や機能障害があったり、骨粗鬆症を合併していることが多いリウマチ患者さんへの施術に、医師が同意できる場合は極めて限られています。また、消費者庁は、情報を見極めて施術や施術者を慎重に選ぶことも推奨していますが、法的な資格の有無以外に、患者さんの判断に役立つ信頼できる情報は乏しいのが実情です。
ですので、手技による施術をお受けになりたい場合には、知人の勧めやインターネットの口コミサイトなどの情報で安易に判断されるのではなく、まずは、主治医に相談くださいますようにお願いします。なお、詳細な情報は、消費者庁のホームページ(http://www.caa.go.jp)を参照ください。
イバンドロ酸経口薬(ボンビバ®錠100mg)処方制限解除に関するお知らせ
ビスホスホネート系骨吸収抑制剤であるイバンドロ酸の経口内服薬(商品名ボンビバ®錠100mg、製造販売:中外製薬、販売:大正富山医薬品)は2016年4月に販売開始されましたが、発売開始後1年が経過しましたので、先月から14日間の処方制限が解除され長期処方が可能になりました。なお、神戸大学病院では、ボンビバ®錠は未採用です。
外来休診に関するお知らせ
以下の整形外科リウマチ外来を休診させていただきます。皆様にはご迷惑をお掛けしますが、ご理解ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
7月5日(木)三浦准教授(世界音楽療法学会)、7月14日(金)酒井特任教授(日整会骨軟部腫瘍学会)
8月8日(火)福田医師(夏季休暇)、8月16日(水)・17日(木)三浦准教授(夏季休暇)
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
さて、6月のリウマチ教室では、田渕管理栄養士に、リウマチ患者さんの食生活のポイントに関するお話をしていただく予定です。皆様、お誘い合わせの上、ぜひ、ご参加ください。スタッフ一同、心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2017年6月-2017年9月)
2017年6月29日(木)午後1時-2時
会場: 神緑会館1階多目的ホール
演題:「楽しく学ぼう!食生活のポイント」
講師:栄養管理部 田渕 聡子 管理栄養士
司会:三浦 靖史 准教授
2017年7月27日(木)午後1時-2時
会場: 外来診療棟4階第2会議室(会場が異なります)
演題:「リウマチ患者さんの運動療法〜保存療法から手術療法後のリハビリまで〜」
講師:リハビリテーション部 松野 凌馬 理学療法士
司会:三浦 靖史 准教授
2017年8月31日(木) 午後1時-2時30分(時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会
司会:三浦 靖史 准教授
2017年9月21日(木)(第3週です)午後1時-2時20分(時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授
司会:三浦 靖史 准教授
梅雨に入って湿度が高くなったり、冷房を使用することで、関節の痛みが悪化する患者さんもおられますので、くれぐれも体調管理にお気を付けくださいますようにお願いします。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2017.6.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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