第145号(2016年12月号[16/12/1発行])

インフルエンザの流行が始まっています

 早いものでもう師走になってしまいました。朝夕の冷え込みの厳しい日が続きますが、皆様、体調はいかがでしょうか。さて、今シーズンのインフルエンザワクチンの接種はお済みになりましたでしょうか。今年は11月の後半から兵庫県内の一部の地域で、すでに流行開始の目安となる患者数が報告されています。ですので、接種がまだの患者さんにおかれましては、できるだけ早く、接種を受けていただくことをお勧めします。ときどき、「接種したけどインフルエンザにかかった」、「インフルエンザにかかったことがないので、接種しないで大丈夫」などの理由でワクチン接種を忌避される患者さんがおられますが、多くの抗リウマチ薬は免疫抑制作用を有していますので、卵アレルギーなどで接種できない場合を除いて、リウマチを治療中の患者さんは、ぜひ、接種を受けて頂くようにお願いします。もちろん、ワクチン接種を受けたからインフルエンザに決してかからないという訳ではありませんので、風邪や感染性胃腸炎を予防するためにも、手洗いとうがいには常に努めていただきますようにお願いします。


アダリムマブ(ヒュミラ®)皮下注40mgシリンジ0.4mLおよび
80mgシリンジ0.8mL薬価収載・発売のお知らせ

 抗リウマチ生物学的製剤のひとつで、2015年の世界大型医薬品売り上げランキングで2位と世界的に広く使用されているヒト型抗TNFα抗体製剤アダリムマブ(商品名ヒュミラ®、製造販売:アッヴィ、販売:エーザイ)は、従来、40mg0.8mLのプレフィルドシリンジ製剤として供給されてきました。11月末に、有効成分の量は40mgのままで、薬液の量が半分になった40mg0.4mLプレフィルドシリンジ製剤と、従来80mgを注射する場合には40mg を2本注射しなければならなかったのが、1本の注射でできる80mg0.8mLプレフィルドシリンジ製剤の2種類の剤型が、新たに薬価収載されて発売されました。

 今回の改良に当たっては、注射時の痛みを軽減することが重視され、薬液の量が2分の1に減ったとともに、添加物に注射時の痛みの原因物質と考えられているクエン酸が含まれないようになりました。

 新製剤の薬価は、40mgシリンジは1筒65,144円(年間薬価1,693,744円)と従来と同じですが、80mgシリンジは1筒126,272円と、40mgシリンジを2本使用する場合と較べて約3%安くなっています。とはいえ、80mgを継続的に使用した場合の年間薬価は3,283,072円と非常に高額になります。

 40mgシリンジにつきましては、院内ならびに調剤薬局に在庫されている従来の製剤がなくなり次第、新しいシリンジに順次切り替えられます。一方、80mgシリンジの採用につきましては現時点では未定です。また、ヒュミラ®の自己注射の際にシリンジを握りやすくする自己注射補助具ヒュープラスNを使用中の患者さんにおかれましては、新しいシリンジにもそのまま使用することができますので、ご安心ください。なお、外装パッケージも開けやすい形状に変更になりましたが、箱のサイズは従来と同じです。さらに、容量を区別しやすいように40mgと80mgの製剤でパッケージの色も変えられています(40mgは従来どおりえんじ色、80mgは明るい茶色)。



ヒュミラ®新製剤及び新パッケージの外観


新規抗リウマチ薬Peficitinibの治験に関する御礼

 新規抗リウマチJAK阻害薬Peficitinib(ASP015K)の治験のエントリーが11月末を持って終了になりました。本治験にご参加いただきましたリウマチ患者の皆様、また、候補者をご紹介いただきましたドクターの皆様、本当にありがとうございました。本治験薬の長期試験は今後も継続して行われますため、現在、参加中の患者さんにおかれましては、引き続きご協力いただけますようによろしくお願い申し上げます。

 新しい抗リウマチ薬を世に出すためには、患者さんにご参加いただく治験の実施が欠かせません。当科ではこれからも積極的に治験を実施していく所存ですので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、 新規の参加者優先で、 また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。

 新年1月の教室では、三浦准教授から、年始に当たってリウマチ治療の今後の展望に関する講演をさせて頂く予定です。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2016年12月-2017年3月)

12月は年末につきリウマチ教室はお休みです。


日時:2017年1月26日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「2017年リウマチ治療今年の展望」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2017年2月23日(木)午後1時-2時 

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「若いリウマチ患者さんへ、就職、結婚、妊娠や出産、育児のお話」

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2017年3月23日(木)午後1時-2時 

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「関節リウマチと変形性関節症に対する人工関節置換術」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


 それでは皆様、楽しいクリスマスと良い新年をお迎えください。


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛

発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2016.12.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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