第144号(2016年11月号[16/11/1発行])
今シーズンのインフルエンザワクチン接種について
11月に入って朝夕はかなり寒くなってきましたが、皆様、体調にお変わりありませんでしょうか。10月中旬から既に始まっていますが、11月はインフルエンザワクチン接種がピークになる時期です。インフルエンザは12月から翌年の2月にかけて流行することが多いのですが、接種したワクチンの効果が発揮されるまでには通常2週間程度を要します。ですので、早めに接種を済ませて下さいますようにお願いします。
さて、昨シーズンから、ワクチンの対象となるインフルエンザウイルスは、A型、B型それぞれ2種類、合計4種類に対して有効な四価ワクチンが使用されています。対象となるインフルエンザウイルスの種類が、それまでの三価ワクチンの3種類からひとつ増えたことにより、インフルエンザの予防効果が高まることが期待されています。ただし、種類が増えた分、昨シーズンから、ワクチン接種費用が値上げになっており、定期接種の対象となる65才以上の高齢者は、神戸市では軽減措置が適応された場合で自己負担額は1500円です。また、今シーズンのワクチンは、昨年と異なったA型株(香港/4801/2014(X-263)(H3N2))に対するワクチンも使用されています。ですので、昨シーズン接種したから大丈夫と考えず、接種を受けて頂くようにお願いします。ところで、熊本地震でワクチンメーカーの1つである化学及血清療法研究所(化血研)の工場が被災したため、インフルエンザワクチンの供給量が昨シーズンより1割程度少なくなる見込みです。そのため、本年度は、ワクチンのロスを減らすために、感染症内科と小児科限定での接種となっておりますので、かかりつけ医療機関で接種を受けて頂くか、本院での接種希望の方は感染症内科を紹介受診して頂きます。お手数をお掛けしますが、ご理解いただけますようによろしくお願いいたします。
さらに、ワクチン生産時のロスを減らしてより多くのワクチンを生産するために、全てのワクチンメーカーで一人用の0.5mlワクチンは生産されておらず、1本のバイアルに二人分のワクチンが入った1mlバイアルのみが供給されています。そのため、今シーズンのワクチンは、全ての製品に防腐剤であるエチル水銀チオサリチル酸ナトリウム(チメロサール®)を含んでいます。昨シーズンまでは、妊娠中の方に対しては、チメロサール®非含有のワクチンが通常使用されてきましたが、今シーズンは供給がないこと、また、チメロサール含有のワクチンを妊娠中の方に使用しても差し支えのないことが、日本産婦人科学会から通知されていますので、妊娠中の方も心配なく接種いただければと思います。
アダリムマブ(ヒュミラ®)皮下注40mgシリンジ0.4mL承認のお知らせ
抗リウマチ生物学的製剤のひとつであるヒト型抗TNFα抗体製剤アダリムマブ(商品名ヒュミラ®、製造販売:アッヴィ、販売:エーザイ)は、これまで0.8mLのプレフィルドシリンジ製剤として供給されてきましたが、先月、有効成分の量は40mgのままで、薬液の量が半分になった0.4mLプレフィルドシリンジ製剤が新たに承認されました。また、添加物として、従来はD-マンニトール、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、リン酸水素二ナトリウム二水和物、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート80、水酸化ナトリウムが含まれていましたが、新製品では、D-マンニトールとポリソルベート80のみに変更され、アダリムマブ注射時の痛みの原因物質と考えられているクエン酸を含まないようになり、薬液が減ったことと併せて、注射時の痛みが軽減されると考えられています。
新しい0.4mLのヒュミラ®発売開始後に、従来の0.8mL製剤から0.4mL製剤に順次切り替えられていく予定です。なお、本院での切り替えが決まりましたら、改めて連絡させていただきます。
左:従来の0.8mLヒュミラ®シリンジ、右:新しい0.4mLヒュミラ®シリンジ
新規抗リウマチ薬Peficitinibの治験エントリー終了に関するご案内
新規JAK阻害薬Peficitinib(ASP015K)の第3相試験と長期継続投与試験を、当院で実施して参りましたが、いよいよ、今月末で全てのエントリーが終了になる予定です。本治験にご参加いただけますのは、発病10年以内で、メトトレキサートで現在治療を受けていて効果が十分でないリウマチ患者さんとなります。新しい抗リウマチ薬を世に出すためには、患者さんにご参加いただく治験の実施が欠かせません。本治験に関心をお持ちの患者さんは、主治医に速やかにご相談下さいますようにお願いします。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
さて、11月の教室では、三浦准教授から、リウマチ患者さんの冬の健康管理方法に関して講演させて頂く予定です。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2016年11月-2017年2月)
日時:2016年11月24日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を元気に過ごすために」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
12月は年末につきリウマチ教室はお休みです。
日時:2017年1月26日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「2017年リウマチ治療今年の展望」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
日時:2017年2月23日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「若いリウマチ患者さんへ、就職、結婚、妊娠や出産、育児のお話」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
冬の訪れも間もなくです。くれぐれも健康管理にご配慮いただけますようにお願いします。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2016.11.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
翌月のリウマチだよりはこちら
リウマチだよりのリストに戻る
神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)