第139号(2016年6月号[16/6/1発行])

6月は「リウマチ月間」です

 毎年6月はリウマチ月間です。関節リウマチの症状は、天気の影響を受けることがあり、雨や寒い日に悪化しやすいことから、日本リウマチ財団が6月をリウマチ月間に1989年に制定しました。

 生物学的製剤がリウマチの治療に導入された2003年以降、関節リウマチは適切な治療を積極的に行うことにより、発症前と大差のない日常生活を過ごすことなできる病気となりました。しかし、身体に不自由を生じさせないためには、早期診断に基づく早期治療が欠かせません。朝起きたときに手がこわばる、左右対称に関節が腫れる、腫れて痛い関節が3関節以上ある、などの症状がある場合は関節リウマチが疑われますので、まずは、速やかにかかりつけ医を受診してください。私たちリウマチ専門医は、かかりつけ医と連携して、専門的な治療を行わせて頂きます。


アバタセプト(オレンシア®)皮下注125mgオートインジェクター1mL発売のお知らせ

 T細胞補助シグナル分子であるヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)とヒト免疫グロブリンのFc部分との融合蛋白質であるアバタセプト(商品名オレンシア®、製造販売:ブリストル・マイヤーズ・販売:小野薬品)の皮下注射製剤は、これまでプレフィルドシリンジ製剤として供給されてきましたが、この度、オートインジェクター(自動注射器)製剤が新たに発売されました。薬剤の中身は従来と同じですが、注射ボタンをワンクリックすることで、内蔵された注射針が出てきて皮下に刺さり、自動的に薬液が注入されます。また、終了後には針が自動的に内部に収納される針刺し防止機能も備えられています。すでに、エタネルセプト(エンブレル®)皮下注50mg、トシリズマブ(アクテムラ®)皮下注162mgにつきましてはオートインジェクター製剤が発売されていますが、オレンシア®では、グリップが太く滑り止めが設けられている、薬液確認窓が大きいなどの工夫が取り入れられています(写真)。

 薬価は、従来のプレフィルド製剤が27,947円だったのに対して、オートインジェクター製剤は28,233円で価格差は286円です。オレンシア®皮下注は通常週に1回投与されますので、3割負担の場合の年間の自己負担の差は4,462円となります。なお、オレンシア®皮下注125mgオートインジェクターの採用につきまして速やかに準備を進める所存ですが、決まり次第、皆様にお伝えする予定です。

 
 
  

オレンシア®皮下注製剤の写真(左:オートインジェクター製剤、右:プレフィルドシリンジ製剤)


 インフリキシマブ(レミケード®)の乾癬における用法・用量の変更承認のお知らせ

 抗ヒトTNFαモノクロナール抗体製剤であるインフリキシマブ(レミケード®、製造販売:田辺三菱製薬)は、関節リウマチの他、乾癬(尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症)、強直性脊椎炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、川崎病など、様々な疾患の治療に用いられていますが、用法・用量は疾患によって異なっています。このうち、乾癬につきましては、従来、体重1kg当たり5mg、4回目以降は8週間隔が承認された用法・用量でしたが、この度、4回目投与以降に、効果不十分または、効果が減弱した場合には、投与量の増量(8週間隔の場合には体重1kg当たり最大10mg、6週間隔の場合には最大6mg)と、投与間隔の短縮(最短4週間)が承認されましたので、今後、症状の変化に応じて、レミケード®の投与量または投与間隔の調整を実施することが可能になります。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。

 さて、6月の教室では、検査部の大沼臨床検査技師から、日頃の診療に欠かすことのできない臨床検査に関するお話させていただく予定です。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2016年6月-2016年9月)

日時:2016年6月30日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「臨床検査について」 

講師:検査部 大沼 健一郎 臨床検査技師  

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2016年7月21日(木)(第3週です)午後1時-2時

会場:外来診療棟4階第2会議室(会場が異なります)

演題:「足のお手入れについて」 

講師:看護部 野口 まどか 副看護師長  

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2016年8月25日(木)午後1時-2時30分(時間が異なります)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」

担当:整形外科外来 竹下 副看護師長及び看護部スタッフ、保健学科学生 

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2016年9月15日(木)(第3週です)午後1時-2時10分(時間が異なります)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「健康と音楽」 

講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授 

司会:三浦 靖史 准教授


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


 体調を崩されやすいこの時期、くれぐれも体調管理に努めて頂き、風邪症状など体調に変化があった場合には、速やかにかかりつけ医を受診くださいますようにお願いします。


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛

発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2016.6.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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