第136号(2016年3月号[16/3/1発行])
梅花の美しい時期となりました
「三寒四温」という言葉は、本来は、冬に、寒い日が3日、暖かい日が4日の周期で気温が変化することを意味しますが、春の始まりに、数日ごとに生じる気温の著しい変化を上手く表現しているようにも思います。今年は、例年より遅れて始まったインフルエンザの流行が、まだ続いていることからも、気温の激しい変化に体調を崩さないで上手く対応できるように、十分な配慮をして頂く必要があります。
一方で、外に目を向けてみると、梅の花が美しく咲いており、本格的な春の訪れがあと少しであることが感じられます。卒業式、送別会、転勤や引っ越しなど、何かと忙しくお過ごしの患者さんが多いと思いますが、くれぐれも体調管理と感染予防に努めていただきますようにお願いします。
2016年度診療報酬改定について
いよいよ4月から始まる診療報酬の改定ですが、2月末の時点では、薬価がいくらになるかなどは発表されておりません。
一方で、以前にお話しておりました湿布の枚数制限、在宅自己注射指導管理料と外来化学療法加算の変更など、リウマチ患者さんに影響のある変更がすでに発表されていますので、説明させていただきます。
①湿布薬の枚数制限について
これまでにも繰り返し議論されてきた、湿布薬の枚数制限がついに導入されます。具体的には、外来患者さんを対象に、院外、院内処方のいずれでも、1回の処方につき「70枚以内」に制限されます。これを超えて処方する場合には、調剤料、処方料、処方箋料、調剤技術基本料のいずれも診療報酬に算定できず、薬剤料も、超過分について算定不可になって、医療機関に損失が生じるため、真にやむを得ない場合の例外規定はあるものの、実質的に規定の範囲でしか処方ができなくなります。
このような枚数制限に至った背景には、湿布薬の濫用(貼りすぎ)、使い回し(他への譲渡)、一般医薬品との違いのなさ、海外ではほとんど使用されていないことなど、様々な理由があると思われます。
実際、同一部位に複数の湿布薬を貼ったり、神経の走行に沿って並べて貼るなど、一度に大量の湿布を貼られている患者さんをときどき見かけます。しかし、枚数が多い分だけ効果が高いとは必ずしも言えず、むしろ皮膚障害などの副作用のリスクが増えてしまうリスクが高まります。また、坐骨神経痛は腰の部分で神経が圧迫されて生じる場合がほとんどですので、足に湿布薬を並べて貼っても効果は期待できません。
もちろん、湿布薬に限らず、処方された薬の他への譲渡は論外ですが、今回の改定をきっかけとして、皆様におかれましては、湿布薬の適性使用について、改めてお考え頂けますようによろしくお願いします。
②在宅自己注射指導管理料の変更について
2014年度の改定において、生物学的製剤を自己注射しているリウマチ患者さんは、自己注射の頻度に応じて減額になった在宅自己注射管理指導料でしたが、今回の改定においては一転増額になりました。
改定前の、月3回以下100点、月4回以上7回以下190点、月8回以上27回以下290点、月28回以上810点、の4区分から、改定後は、月27回以下650点、月28回以上750点、の2区分となることから、通常、月2回から8回の生物学的製剤の自己注射を行うリウマチ患者さんでは、改定後は全て650点となって、360〜550点の増額になります(診療報酬の1点は10円に相当します)。
③外来化学療法加算の変更について
外来化学療法室(通院治療室)で行う生物学的製剤の点滴については、専任のスタッフによる調剤やケアを受けることから、外来化学療法加算の算定が認められています。神戸大学医学部附属病院では手厚い体制での実施に対して外来化学療法室加算1が認められており、15才以上の患者さんへの生物学的製剤の点滴には、加算Bとして従来430点が算定されていますが、改定後は450点と、20点の増額になります。
新規抗リウマチ薬Peficitinibの長期試験に関するご案内(再掲)
抗リウマチ薬として国内外で開発が進められている新規JAK阻害薬Peficitinib(ASP015K)の二つの第3相試験を、整形外科と膠原病リウマチ内科の両科で昨年秋より実施しています。また、昨年の10月からは、これらの治験を終了された患者さんで一定の条件を満たす場合に、治験薬が承認されるまで継続的に治験薬を使用いただける長期継続投与試験を開始しています。新しい抗リウマチ薬を世に出すためには、患者さんにご参加いただく治験の実施が欠かせません。治験の性質上、ご参加頂ける人数は限られていますが、本治験では、ご参加頂ける患者さんを引き続き募集しております。なお、参加の締め切りは現時点では3月頃の見込みですので、治験に興味をお持ちの患者さんは、主治医まで早めにご相談いただけますようによろしくお願いします。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
さて、3月の教室では、三浦准教授から、関節リウマチならびに変形性関節症の患者さんに向けて、人工関節置換術やその他の手術についてお話させていただく予定です。手術を勧められたけれど、迷っておられる患者さんは少なくないのではないでしょうか。ぜひ、ご参加いただき、手術に関する疑問や不安の解決の一助としていただければと思います。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2016年3月-2016年9月)
日時:2016年3月31日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチの手術と人工関節置換術」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
日時:2016年4月28日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチって目も悪くなるんですか?」
講師:眼科 長井 隆行 助教
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2016年5月19日(木)(第3週です)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「装具のある生活」
講師:澤村義肢製作所 岡田 佳奈 義肢装具士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2016年6月30日(木)午後1時-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール
日時:2016年7月21日(木)(第3週です)午後1時-2時
会場:外来診療棟4階第2会議室
演題:「足のお手入れについて」
講師:看護部 野口 まどか 副看護師長
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2016年8月25日(木)午後1時-2時30分 会場:神緑会館1階多目的ホール
日時:2016年9月15日(木)(第3週です)午後1時-2時10分(時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授
司会:三浦 靖史 准教授
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2016.3.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
翌月のリウマチだよりはこちら
リウマチだよりのリストに戻る
神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)