第134号(2016年1月号[16/1/1発行])

新年明けましておめでとうございます

本年もよろしくお願い申し上げます

神戸大学整形外科リウマチ診療グループ・外来診療スタッフ一同


 1962年から用いられてきた「慢性関節リウマチ」という病名から、2002年に「慢性」の二文字が取り除かれて今年でもう14年になります。病名が「関節リウマチ」に変更された理由はいくつかありますが、リウマチの病態解明が進んで優れた治療薬が開発された結果、早期に発見して早期に治療を行うことにより、不可逆的な身体の障害が引き起こされることなく、ごく普通に暮らせる疾患に変わったことが大きな一因です。

 病名が変更されたときには、1999年に承認されたメトトレキサートしかリウマチの治療に用いられる免疫抑制剤はありませんでしたが、その後、レフルノミドやタクロリムスといった免疫抑制剤、7種類の生物学的製剤、さらには低分子量分子標的薬トファシチニブが承認され、抗リウマチ薬の効果は飛躍的に向上し、選択肢も増えています。

 将来、リウマチの発症メカニズムが完全に明らかになって根治療法が開発され、治癒が可能になるまで、これからも患者さんとご家族、医療従事者が力を合わせて、療養に努めて参りましょう。


2016年度の診療報酬改定について

 塩崎厚生労働大臣が、本年4月から実施される診療報酬改定で、診療報酬全体で1.03%引き下げることを昨年末に発表しました。技術料に相当する診療報酬本体は0.49%(医科は0.46%、歯科は0.61%、調剤は0.17%)引き上げられる一方で、薬価は1.22%の引き下げに加え、薬価収載時の想定より売れ過ぎた医薬品(予想売り上げ規模の2倍以上で年間150億円以上の売り上げがある場合)に対して通常の下落幅を上回る最大25%引き下げを行う市場拡大再算定制度により0.19%を引き下げ、さらに、年間販売額が極めて大きい医薬品に対する特例再算定(予想売り上げ規模の1.5倍以上で年間1000億円超1500億円以下の売り上げがある場合に最大25%引き下げ、予想売り上げ規模の1.3倍以上で年間1500億円超の売り上げがある場合に最大50%引き下げ)により0.28%を引き下げることが決まりました。また、新規収載された後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、現行の先発品の60%から50%(10銘柄を超える内服薬については40%)に引き下げられます。このように薬価が全般的に引き下げられることに加えて、適正使用の観点から1処方当たりの湿布薬の枚数制限も導入される予定です。その他、医療材料価格も0.11%引き下げられます。今後、新年度の開始までに、詳細が決定され発表されますが、抗リウマチ薬の薬価引き下げや湿布薬の枚数制限など、リウマチ患者さんにとって影響が少なくない項目につきましては、詳細が分かりましたら改めてお伝えさせていただきます。


 新規抗リウマチ薬Peficitinibの長期試験に関するご案内(再掲)

 抗リウマチ薬として国内外で開発が進められている新規JAK阻害薬Peficitinib(ASP015K)の二つの第3相試験を、整形外科と膠原病リウマチ内科の両科で昨年秋より実施しています。また、昨年の10月からは、これらの治験を終了された患者さんで一定の条件を満たす場合に、治験薬が承認されるまで継続的に治験薬を使用いただける長期継続投与試験を開始しています。新しい抗リウマチ薬を世に出すためには、患者さんにご参加いただく治験の実施が欠かせません。治験の性質上、ご参加頂ける人数は限られていますが、本治験ではまだ人数に余裕がありますため、ご参加頂ける患者さんを引き続き募集しております。なお、参加の締め切りは現時点では3月頃の見込みですので、治験に興味をお持ちの患者さんは、主治医まで早めにご相談いただけますようによろしくお願いします。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。

  さて、1月の教室では、三浦准教授から新年の初めに当たって、これからのリウマチ治療の展望についてお話させていただく予定です。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2016年1月-2016年9月)

日時:2016年1月28日(木)午後1時-2時 

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「2016年のリウマチ治療の展望」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2016年2月18日(木)午後1時-2時(第3週です)

会場:外来診療棟4階第2会議室(場所が異なります)

演題:「若いリウマチ患者さんへ:仕事、結婚、妊娠、育児などについて」

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2016年3月31日(木)午後1時-2時 

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「リウマチの手術と人工関節置換術」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2016年4月28日(木)午後1時-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール

日時:2016年5月19日(木)午後1時-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール

日時:2016年6月30日(木)午後1時-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール

日時:2016年7月21日(木)午後1時-2時 会場:外来診療棟4階第2会議室

日時:2016年8月25日(木)午後1時-2時30分 会場:神緑会館1階多目的ホール

日時:2016年9月15日(木)午後1時-2時10分 会場:神緑会館1階多目的ホール

(4月以降の講演内容は決まり次第順次お知らせする予定です)


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


 暖冬とは言え、真冬ですので、くれぐれもご自愛くださいますようにお願いします。


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛

発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2016.1.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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