第109号(2013年12月号[13/12/1発行])
元気に冬を乗り切りましょう
12月に入ってすっかり寒くなりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。さて、元気にこの冬を乗り切っていただくために、先月のリウマチ教室で取り上げた冬対策の一部をご紹介させて頂きます。
冬を元気に過ごすための方法には様々なポイントがありますが、まずは、リウマチが上手くコントロールされていることがとても大切です。メトトレキサート(リウマトレックス®)や生物学的製剤の登場により、リウマチの薬物療法は飛躍的に進歩しました。そこで、積極的にリウマチの治療を受けて頂き十分に症状が改善していれば、寒さによる悪影響も最小限に留めることができます。適切な治療を行うためには正しい薬の使用と定期的な検査に加えて、治療方法(薬)と健康状態(検査値と、レントゲン検査での関節・骨の状態)を患者さん自身が知っていることが大切です。また、薬の副作用に最初に気付くことができるのは患者さん自身ですので、起こり得る副作用を知っておくことも大切です。受診に際しては、限られた診察時間内に、ご自身の症状や困っていることを主治医にしっかりと伝えるために、メモの持参や問診票への記入を行いましょう。また、風邪気味であれば、周囲への影響を避けるために、マスクを着用して来院してください。そして、帰宅時には、手洗いとうがいをしっかりと行ってください。手洗いは、手洗い用石けん(ハンドソープ)を用いて念入りに行い、きれいなタオルで手を拭いた後に、うがい薬、あるいは、水だけでも構いませんので、口の中を「くちゅくちゅ」とすすいだ後に、「がらがら」と少なくとも2回はうがいをしっかりと行ってください。
さて、気をつけても風邪を引いてしまった際には、速やかにかかりつけ医を受診しましょう。風邪だと思っていても、インフルエンザや肺炎である場合がありますので、市販の風邪薬で症状を抑えるのではなく、医師の診察を必ず受けて頂けますようにお願いします。せっかくの抗インフルエンザ薬も発症48時間以内に使用を開始しないと効果がありません。メトトレキサート(リウマトレックス®)を内服している患者さんは、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかってしまった場合には、完全に治るまでリウマトレックス®の内服は休んで下さい。内服を何週間か休んでも、リウマチの状態はほとんど変化しません。なお、リウマトレックス®の内服を休んだ週には、フォリアミン®(葉酸)を内服する必要はありません。
ところで、冬といっても、天気の良い暖かい日には、外出して適度に運動をしましょう。室内でも、ダイナミックフラミンゴ体操(片足立ちをする軽い運動)やリウマチ体操(日本リウマチ友の会でDVDを頒布しています)を行って身体を動かしましょう。
くれぐれも感染症には注意して、年末年始の諸行事は適当に手を抜いて、楽しいクリスマスとお正月をお過ごしくださいますようにお願いします。
イバンドロネート注射剤(ボンビバ®静注1mgシリンジ)採用のお知らせ
ビスホスホネート系骨吸収抑制剤イバンドロネート注射剤(商品名ボンビバ®静注1mgシリンジ、製造販売:中外製薬・販売:大正富山医薬品)が、今月中に大学病院で採用され処方が可能になる予定です。骨粗鬆症に対してボンビバ®は1カ月に1回の静脈注射で、既存のビスホスホネート製剤と同等の有効性が報告されています。ボンビバ®静注1mgシリンジの薬価は4,918円です。ボンビバ®による治療を希望される患者さんは、主治医にご相談頂きますようにお願いします。
リウマチ患者さんの口腔ケアに関する調査への協力のお願い(再掲)
近年、口腔衛生と関節リウマチの病態に関わりがあるのではないかと考えられるようになってきました。そこで、11月よりリウマチ患者さんの口腔ケアに関するアンケート調査を実施させていただいております。お手数をお掛けしますが、ご協力いただけますようにどうぞよろしくお願い申し上げます。
三浦准教授の診療の遅延に関するお詫び
諸事情により11月第2週より医療秘書の入力業務補助なしで水曜日の外来診療を行っておりますために、三浦准教授の外来の診療の待ち時間が通常よりかなり長くなり、皆様にご迷惑をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。元の診療体制に戻るまでしばらく時間を要しますことへのご理解をお願いしますとともに、受診に際して、ご質問事項、過不足のある薬の数、次回受診に都合の良い・悪い日程など、予めご確認いただけますようにご協力のほど切にお願い申し上げます。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
さて、年の瀬となる12月は慌ただしい時期となりますので、毎年お休みとさせていただいております。年が明けての1月には三浦准教授から、年始に当たりこれからのリウマチと類縁疾患の治療や医療制度に関わる展望について講演を行う予定としております。寒い時期ですので、ご無理のない範囲での皆様のご参加をスタッフ一同、お待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2013年12月-2014年3月)
12月は年末につきリウマチ教室はお休みです。
日時:2014年1月30日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「2014年、今年のリウマチ治療の展望」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
日時:2014年2月27日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「若いリウマチ患者さんへ:就職や妊娠、育児について」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
日時:2014年3月20日(木)午後1時-2時(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「手術療法:人工関節置換術について」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
年末年始の救急診療医療機関は、各自治体の広報等に掲載されていますが、予めご確認くださいますようにお願いします。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2013.12.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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