第100号(2013年3月号[13/3/1発行])

 もうすぐ春ですね。 この冬はとても寒くそして長く感じられましたが、まもなく冬に終わりを告げられそうです。この冬の寒さのために、体調が悪くなってしまったリウマチ患者さんも少なくありませんでしたので、暖かい春の到来は本当に嬉しい限りです。

 ただし、昔から「暑さ寒さも彼岸まで」や「三寒四温」と言いますが、季節の変わり目のこの時期、数日毎の短い周期で、また、一日の内でも、気温が大きく変わりながら徐々に暖かくなっていきます。急激な気温の変化は、風邪など体調を崩す原因になりますので、気温に応じた衣服となるように重ね着をしておき、適宜調整して頂くようにお願いします。

 ところで、今年の春のスギとヒノキの花粉の飛散は、近畿地方では3月中旬から下旬にピークを迎え、飛散量は昨シーズンより増加することが予想されています。毎年、花粉症でお悩みの皆様は、症状が出始める前に、抗アレルギー薬を内服することによって症状を予防あるいは軽くすることが可能ですので、早めにかかりつけ医を受診されるようにお願いします。


当リウマチだよりが100号になりました 

 2004年11月に第1号を発行した「神戸大学整形外科リウマチだより」が本号で100号になりました。足掛け8年の長きに渡ってこれまで発行を続けてこられましたのは、リウマチだよりを読んでくださっている患者さんやご家族の皆様と、発行にご助力を頂いております関係者の皆様のおかげです。紙面を借りて深く御礼を申し上げます。

 さて、2004年といえば、インフリキシマブ(レミケード®)は、最初の、そして唯一の抗リウマチ生物学的製剤としてすでに承認されていましたが、少数の患者さんしかまだ使用されていませんでした。今日のリウマチの標準的な治療薬であるメトトレキサート(リウマトレックス®)も今ほど多くは使用されておらず、現在のリウマチの薬物療法からはすでに隔世の感があります。

 この8年間、新薬や感染予防対策など、療養に関して皆様にお知らせする情報は絶えることはありませんでしたが、これからも同様だと思います。今日、電子化が進むなど情報発信の方法は多様化していますが、紙媒体には手軽に読めるという大きな特徴があります。これからもリウマチだよりとリウマチ教室を通じて、皆様に様々な情報をお伝えする所存ですので、今後ともどうぞよろしくお願いします。


リセドロネート月1回製剤 (ベネット®/アクトネル®錠75mg)発売のお知らせ 

 骨粗鬆症の治療薬であるリセドロネート(ベネット®/アクトネル®)は、従来、毎日あるいは週1回内服する必要がありましたが、2月末に、月に1回の内服で同様の効果がある月1回製剤(マンスリー製剤)が発売開始されました。リセドロネートのマンスリー製剤(75㎎)は2945.50円/錠(1日薬価約98.20円)で、ウィークリー製剤(17.5mg)の711.40円/錠(1日薬価約101.60円)、ディリー製剤(2.5㎎)の113.20円/錠(1日薬価113.20円)と比較して若干価格が下がっています。当院での処方開始までは準備にもう少し時間がかかりますが、変更をご希望の患者さんは主治医までご相談ください。


セルトリズマブ ペゴル(シムジア®皮下注200mgシリンジ)薬価決定のお知らせ 

 関節リウマチの原因物質のひとつである炎症性サイトカインTNFαを標的とした5番目の生物学的製剤であるセルトリズマブ ペゴル(商品名シムジア®皮下注200mgシリンジ、製造販売:アステラス製薬・ユーシービージャパン)が3月上旬に発売開始予定ですが、薬価がシリンジ1本あたり71,297円と決定されました。セルトリズマブ ペゴルは初回、2週後、4週後は400mg(1回につき200mgシリンジを2本)を、以後は2週間毎に200mg(1本)を注射しますので、年間薬価は初年度が2,085,883円、次年度以降は1,870,102円となります。処方開始まではしばらくお待ちください。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、限られた時間ですが、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。

 さて、3月は、三浦准教授から、関節リウマチや変形性関節症によって関節破壊が生じてしまった膝や股関節に対する人工関節置換術に関する講演を予定しています。スタッフ一同、皆様の参加を心からお待ちしております。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2013年3月-2013年6月)

日時:2013年3月21日(木)午後1時-2時(第3週です) 

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「人工関節置換術について」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授

  

日時:2013年4月25日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「リウマチの足趾変形に対する装具」 

講師:澤村義肢製作所 大西 智樹 義肢装具士

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2013年5月30日(木)午後1時-2時

会場:外来診療棟4階第2会議室(会場が異なります)

演題:「リウマチとお口の管理の必要性」 

講師:歯科口腔外科・医療技術部 歯科部門 西井 美佳 歯科衛生士 

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2013年6月27日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「関節リウマチのリハビリテーション」 

講師:リハビリテーション部 井上 順一朗 理学療法士

司会:三浦 靖史 准教授


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


第10回神戸海星病院リウマチ教室のご案内

 関連医療機関である神戸海星病院との共催で、土曜日にもリウマチ教室を開催しています。大学病院でのリウマチ教室に加えて、こちらにも是非ご参加ください。

日時:2013年5月11日(土)午後2時-4時30分 (午後1時30分開場) 

会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)

演題:最新のリウマチ治療薬に関する話題など(来月号で詳細をアナウンス予定)

参加は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。

申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201


いよいよ春が来るのも目前です。暖かくなりましたら、外出して適度な運動を行いましょう。


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛

発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2013.3.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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