第95号(2012年10月号[12/10/1発行])

 10月に入って気候はすっかり秋らしくなりました。残暑の疲れが取れないうちに、急に下がった気温のために、風邪を引かれてしまった患者さんも増えております。過ごしやすい気候と秋の味覚に油断されることなく、風邪の予防や健康体重の維持など、体調管理に努めていただきますようにお願いします。


新規抗リウマチ薬イグラチモドが発売されました

 富山化学工業が創製し、エーザイと共同開発した新規の抗リウマチ薬イグラチモドが9月に発売されました。イグラチモドは、今日のリウマチ治療の中心となっているメトトレキサート(リウマトレックス®など)、タクロリムス(プログラフ®)などの免疫抑制剤や、インフリキシマブ(レミケード®)、エタネルセプト(エンブレル®)、トシリズマブ(アクテムラ®)、アダリムマブ(ヒュミラ®)、アバタセプト(オレンシア®)、ゴリムマブ(シンポニー®)といった特定の分子を標的とした生物学的製剤とは異なり、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン®)やブシラミン(リマチル®)などと同様に、効果の発現まで3-4ヶ月を要する疾患修飾性抗リウマチ薬と呼ばれるタイプの内服薬です。治験の結果では、中等度の抗リウマチ作用を持つアザルフィジン®と同様の効果と、リウマトレックス®に追加して使用した際の有効性が報告されています。イグラチモドの用法用量は、通常、成人は25mg錠を1日1回朝食後に4週間以上経口で服用し、その後、1回25mgを1日2回朝夕食後に増量します。主な副作用として、腹痛、発疹、蕁麻疹、紅斑、光線過敏性反応、かゆみ、口内炎などが報告されています。

 イグラチモドは、エーザイからは「ケアラム®錠25mg」、大正富山医薬品からは「コルベット®錠25mg」と、二つの商品名で販売されます。薬価は1錠あたり150.50円で、年間薬価は109,865円(初年度105,651円)になります。販売後、一定の期間、イグラチモドを使用される全ての患者さんを対象にした特定使用成績調査が実施される予定です。なお、新薬のため、発売後1年間は処方の期間は1回につき2週間までに制限されます。当大学病院での処方が可能になりましたら、改めて皆様にご案内させていただきます。


ボナロン®の経口ゼリー剤が承認されました

 骨粗鬆症治療剤として世界初の経口ゼリー剤である、アレンドロネート経口ゼリー剤「ボナロン®経口ゼリー35mg」が承認されました。アレンドロネート(ボナロン®、フォサマック®)、リセドロネート(ベネット®、アクトネル®)、ミノドロネート(ボノテオ®、リカルボン®)などのビスホスホネート経口剤は、起床時に内服する必要がありますが、加齢などによって嚥下機能が低下している患者さんでは、錠剤を飲みにくい場合が少なくありません。今回承認されたボナロン®経口ゼリー製剤は、既存の週1回投与製剤と同様の効果を持つ一方で、内服が容易なことから利便性に優れています。なお、ボナロン®には、経口での内服が難しい患者さんにも使用することができる、骨粗鬆症治療剤として国内初の点滴投与剤である「ボナロン®点滴静注バッグ900µg」も本年5月から発売されています。ボナロン®経口ゼリー35mgは今冬に発売開始の見込みですので、当大学病院での処方が可能になりましたら、改めて皆様にご案内させていただきます。ボナロン®点滴静注バッグ900µgは、院内での使用が限定的にですが可能になっています。


休診のご案内(再掲)

以下の三浦准教授の外来を、学会出席のために休診させていただきます。木曜日が2週連続で休診となりますため、リウマチ生物製剤外来で点滴を実施中の皆様には、個別に受診日を調整させていただきますので、ご迷惑をお掛けしますが、ご協力をいただけますようによろしくお願い申し上げます。

11月8日(木) リウマチ生物製剤外来(日本関節病学会のため)         代診:なし

11月14日(水)リウマチ外来(アメリカリウマチ学会のため)         代診:福田医師

11月15日(木)リウマチ生物製剤外来(アメリカリウマチ学会のため)    代診:なし


新規生物学的製剤治験のご案内(再掲)

 整形外科リウマチ診療部門では、昨年から、国際共同で開発が進められている新規抗リウマチ生物学的製剤の治験の第3相試験を行っております。この生物学的製剤は、主にBリンパ球に作用するBAFFというサイトカインに対して特異的に結合する抗体製剤で、高い有効性が期待されています。

 製薬会社と医療従事者だけでは、新しいリウマチ薬を誕生させることはできません。リウマチ患者さんやご家族の協力があって初めて可能になります。治験に際しては、より一層の安全性の確保と、経済的負担の軽減、さらには、効果が不十分な場合の対策などに様々な配慮がなされています。皆様のご協力をいただけましたら幸いです。

 なお、当治験の参加申し込みの締め切りが迫ってまいりましたため、ご興味をお持ちの場合には、主治医あるいは治験コーディネーターまで、早めにご相談いただけますようによろしくお願いいたします。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、限られた時間ですが、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。

さて、10月は、患者支援センターの都成ソーシャルワーカーによる、介護保険の利用法に関する講演を予定しています。スタッフ一同、皆様の参加を心からお待ちしております。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2012年10月-2013年1月)

日時:2012年10月25日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「介護保険を賢く利用するには」

講師:患者支援センター 都成 祥子 ソーシャルワーカー

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2012年11月29日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「冬場の健康対策」

講師・司会:三浦 靖史 准教授


12月は年末となりますので、リウマチ教室はお休みです。


日時:2013年1月31日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「2013年リウマチ治療の展望」

講師・司会:三浦 靖史 准教授


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


第9回神戸海星病院リウマチ教室のご案内

 関連医療機関である神戸海星病院との共催で、土曜日にもリウマチ教室を開催しています。大学病院でのリウマチ教室に加えて、こちらにも是非ご参加ください。

日時:2012年11月17日(土)午後2時-4時30分 (午後1時30分開場) 

会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)

プログラム:

演題:「インフルエンザ・肺炎の対策」    講師:薬剤部 濵名 則子 薬剤師

演題:「冬場の転倒には注意しましょう!」 講師:リハビリテーションセンター 井澤 克俊 理学療法士

演題:「冬の健康づくり」         講師:神戸大学保健学研究科/整形外科 三浦 靖史 准教授

個別相談・ワクチン接種(費用がかかります)・施設見学(介護付有料老人ホームコンフォートヒルズ六甲)

参加は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。

申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療部門宛

発行:神戸大学整形外科リウマチ診療部門© 発行日:2012.10.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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