第94号(2012年9月号[12/9/1発行])
9月に入って朝夕は多少涼しくなったものの、相変わらず厳しい残暑が続いています。夏の疲れが貯まったこの時期、体調を崩されないように、くれぐれもご自愛くださいますようにお願いいたします。
台風への備えは大丈夫ですか?
6月に発生した台風4号により、姫路で洪水が起きたことは記憶にまだ新しいことと思いますが、今年は8月末の時点ですでに15個もの台風が発生しています。次の台風が発生する前に、避難場所の確認と、懐中電灯や非常食など防災用品の準備を、ご家族と一緒に実施していただきますようにお願いします。また、リウマチに限らず持病があって薬を使用されておられる方は、避難時に薬をすぐに持ち出せるように、薬は手元に保管してください。また、悪天候や他の急な都合で予約日に受診できない場合に備えて、少なくとも1週間分の予備の薬は日頃から持っておくようにお願いします。
リリカ®の副作用にご注意ください
末梢性神経障害性疼痛と線維筋痛症に対して処方されるリリカ®(プレガバリン)の内服により、めまい、眠気、意識消失などが生じて、自動車事故に至った例が複数報告されたため、運転など危険を伴う機械の操作に従事しないように厚生労働省が注意を呼びかけています。リリカ®の内服中に転倒される患者さんもおられますので、副作用かどうか気になる症状がある場合には、主治医あるいは薬剤師にご相談ください。
抜歯とビスホスホネート製剤について
当科では、毎年、春と秋に、かかりつけの歯科医への受診を推奨しています。嫌いなことの例として歯科治療が挙げられることがありますが、私は半年ごとにかかりつけの歯科医院で定期健診(チェックアップ)と歯石除去(クリーニング)をして貰うことを楽しみにしています。自分では気づかない初期の虫歯や詰め物の破損などを早々に治療して貰えるだけでなく、歯科衛生士さんに歯石をきれいに除去して貰って実に爽快な気分になります。また、自分の歯と歯茎の健康状態を教えて貰うことによって、歯磨きが適切かどうかを知ることもでき、毎日の歯磨きの「やる気」の維持にも役立っています。
リウマチ患者さんは、日頃使用されている非ステロイド系消炎鎮痛剤(セレコックス®、ハイペン®など)が虫歯の痛みも抑えてしまいますので、軽い歯の痛みを感じるようになったときには、抜歯しなければいけないほどのひどい虫歯や歯周病になってしまっていることがあります。また、シェーグレン症候群を合併している患者さんは、口腔内の清潔保持に働く唾液の分泌不全のために、虫歯や歯周病のリスクが更に高くなっていますので、特に注意が必要です。
ところで、骨粗鬆症治療薬であるビスホスホネート製剤(ベネット®、アクトネル®、ボナロン®、フォサマック®、ボノテオ®、リカルボン®など)の内服は、通常、抜歯が必要であることが予想される場合には、顎骨壊死という病気の発症を予防するために、抜歯の3か月前からビスホスホネート製剤を休薬することが推奨されています。抜歯が必要になるかもしれない歯科治療を受けられる場合には、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(ビビアント®、エビスタ®)など、ビスホスホネート製剤以外の骨粗鬆症治療薬に予め切り替えて対応しますので、主治医にご相談ください。
休診のご案内
以下の三浦准教授の外来を、学会出席のために休診させていただきます。木曜日が2週連続で休診となりますため、リウマチ生物製剤外来で点滴を実施中の皆様には、個別に受診日を調整させていただきますので、ご迷惑をお掛けしますが、ご協力をいただけますようによろしくお願い申し上げます。
11月8日(木) リウマチ生物製剤外来(日本関節病学会のため) 代診:なし
11月14日(水)リウマチ外来(アメリカリウマチ学会のため) 代診:福田医師
11月15日(木)リウマチ生物製剤外来(アメリカリウマチ学会のため) 代診:なし
新規生物学的製剤治験のご案内(再掲)
整形外科リウマチ診療部門では、昨年から、国際共同で開発が進められている新規抗リウマチ生物学的製剤の治験の第3相試験を行っております。この生物学的製剤は、主にBリンパ球に作用するBAFFというサイトカインに対して特異的に結合する抗体製剤で、高い有効性が期待されています。
製薬会社と医療従事者だけでは、新しいリウマチ薬を誕生させることはできません。リウマチ患者さんやご家族の協力があって初めて可能になります。治験に際しては、より一層の安全性の確保と、経済的負担の軽減、さらには、効果が不十分な場合の対策などに様々な配慮がなされています。皆様のご協力をいただけましたら幸いです。
なお、当治験の参加申し込みの締め切りが迫ってまいりましたため、ご興味をお持ちの場合には、主治医あるいは治験コーディネーターまで、早めにご相談いただけますようによろしくお願いいたします。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、限られた時間ですが、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
さて、9月は「健康と音楽」と題し、東京から音楽療法士の山崎郁子先生をお迎えして、参加者の皆様と音楽を楽しむリウマチ教室を予定しています。今年は新たな企画も予定にしていますので、多くの皆様の参加を心からお待ちしております。なお、例年同様に、教室の前後にアンケートを実施しますので、お手数をお掛けしますが、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2012年9月-12月)
日時:2012年9月27日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:東京工科大学医療保健学部 山崎 郁子 教授
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年10月25日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「介護保険を賢く利用するには」
講師:患者支援センター 都成 祥子 ソーシャルワーカー
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年11月29日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬場の健康対策」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
12月は年末となりますので、リウマチ教室はお休みです。
第9回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
関連医療機関である神戸海星病院との共催で、土曜日にもリウマチ教室を開催しています。大学病院でのリウマチ教室に加えて、こちらにも是非ご参加ください。
日時:2012年11月17日(土)午後2時-4時30分 (午後1時30分開場)
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
演題:冬の健康作りに関する話題など(来月号で詳細をアナウンス予定)
司会:神戸大学保健学研究科・整形外科 三浦 靖史 准教授
参加は無料ですが、定員がありますので、事前にお電話で申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部 電話:078-871-5201
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療部門宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療部門© 発行日:2012.9.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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