第93号(2012年8月号[12/8/1発行])

暑中・残暑お見舞い申し上げます

 本当に猛暑といって良い暑い暑い毎日が続いておりますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。これだけ気温の高い日が続きますと、リウマチの調子にかかわらず、様々な体調の悪さを感じている患者さんも多いことと思います。夏を元気に乗り切るためにも、くれぐれも体調管理にお気を付けいただけますようによろしくお願いいたします。


夏を元気に乗り越えるために

(1)熱中症を予防しましょう

連日、多くの熱中症の患者さんが病院で治療を受けておられることが報道されております。近年、熱中症への感心が高まったことから、皆様、それぞれ熱中症対策を実施されておられることと思いますが、特に高齢のリウマチ患者さんは以下の点にご注意頂けましたら幸いです。
①屋内での発症が増えているので、家にいるから大丈夫と思って安心せず、また、夜になっても気温が下がらない熱帯夜もあるので、夜も対策を継続する

②のどが渇く前に、また、暑く感じる前に、スポーツ飲料などで水分と電解質を定期的に補給する

③屋内では適宜エアコンを使用して室温を下げ、下肢の関節が冷えて痛むようなら膝掛けを使用する

④外出が必要なときは朝夕のなるべく涼しい時間帯にし、外出時には帽子で直射日光を遮る

(2)膀胱炎を予防しましょう

トイレに尿に行く回数が減ってくると、尿道から逆行性に細菌が膀胱に入って細菌性膀胱炎を起こす危険が高くなります。これは尿道が男性と比較して短い女性にしばしば起きる病気ですが、メトトレキサート(リウマトレックス®など)やステロイド、生物学的製剤など、免疫抑制作用を持つ薬を使用している患者さんでは特に起きやすく、また、細菌が尿管を通って腎盂に達すると腎盂炎になり高熱が出るなど重篤な状況になる恐れもあります。ですので、日頃から尿量と回数を確保するように、特に夏場は熱中症対策を兼ねた十分な水分補給をお願いします。もし、残尿感がある、頻尿になる、尿が濁っているなどの異常がありましたら、症状が軽くても放置せずにかかりつけ医を受診していただきますようにお願いします。

(3)夏風邪をひいたらメトトレキサートの内服は休みましょう

夏風邪をひいてしまった場合には、必ずかかりつけ医を受診するとともに、治るまでの1-2週間は、メトトレキサート(リウマトレックス®など)の内服を休んでください。メトトレキサートは免疫抑制剤であるため、病原体に対する抵抗力を抑えてしまうので、風邪を治りにくく、かつ、こじらせて肺炎などに、なりやすくしてしまいます。メトトレキサートを休んでも、リウマチの症状はすぐには影響を受けませんので、リウマチが悪くなったら心配なので内服を続けるということのないようにお願いします。

(4)栄養バランスの良い食事を取りましょう

暑いこの時期、ついつい冷たい食品ばかりに偏りがちになりますが、酸味や香辛料などを上手く使って食欲が出るように献立を工夫いただき、タンパク質やビタミン不足にならないようにお願いします。

(5)寝不足を避けましょう

暑さとオリンピック観戦でついつい寝不足になりがちですが、十分に睡眠を取って頂きますようにお願いします。


8月休診のご案内

以下の外来を、休診させていただきます。ご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

8月15日(水)リウマチ外来(三浦准教授)代診:福田医師

8月16日(木)リウマチ生物製剤外来(三浦准教授)代診:なし

8月29日(水)リウマチ外来(福田医師)代診:三浦准教授


新規生物学的製剤治験のご案内(再掲)

 整形外科リウマチ診療部門では、昨年から、国際共同で開発が進められている新規抗リウマチ生物学的製剤の治験の第3相試験を行っております。この生物学的製剤は、主にBリンパ球に作用するBAFFというサイトカインに対して特異的に結合する抗体製剤で、高い有効性が期待されています。

 製薬会社と医療従事者だけでは、新しいリウマチ薬を誕生させることはできません。リウマチ患者さんやご家族の協力があって初めて可能になります。治験に際しては、より一層の安全性の確保と、経済的負担の軽減、さらには、効果が不十分な場合の対策などに様々な配慮がなされています。皆様のご協力をいただけましたら幸いです。

 なお、当治験の参加申し込みの締め切りが迫ってまいりましたため、ご興味をお持ちの場合には、主治医あるいは治験コーディネーターまで、早めにご相談いただけますようによろしくお願いいたします。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、限られた時間ですが、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。さて、8月のリウマチ教室では毎年恒例の、整形外科外来の看護部スタッフと保健学科の学生による、「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」を開催する予定です。暑い時期ではありますが、皆様のご参加を心からお待ちしております。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2012年8月-12月)

日時:2012年8月30日(木)午後1時-2時30分(時間が異なります)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」

講師:整形外科外来 小林 久美子 副看護師長及び看護部スタッフ 

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2012年9月27日(木)午後1時-2時 

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「健康と音楽」

講師:東京工科大学医療保健学部 山崎 郁子 教授 

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2012年10月25日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「介護保険を賢く利用するには」

講師:患者支援センター 都成 祥子 ソーシャルワーカー

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2012年11月29日(木)午後1時-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「冬場の健康対策」

講師・司会:三浦 靖史 准教授


12月は年末となりますので、リウマチ教室はお休みです。


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療部門宛

発行:神戸大学整形外科リウマチ診療部門© 発行日:2012.8.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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