第92号(2012年7月号[12/7/1発行])
夏場の健康管理:食中毒を防ぎましょう
梅雨らしい天候が続いておりますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。この時期の高い湿度は、リウマチの症状に影響を与えるだけでなく、食中毒や熱中症の危険を高めます。皆様におかれましては、くれぐれも夏場の健康管理に努めていただきますようにお願いします。
さて、報道などですでにご存じのことと思いますが、7月から牛肝臓の生食(レバ刺し)が禁止されましたので、今号では食中毒の予防についてお話させていただきます。
昨年、ユッケによる集団食中毒が発生しましたが、牛が腸内に保有している腸管出血性大腸菌(O-157など)が肝臓内に予め入り込んでいる場合に、肝臓内の腸管出血性大腸菌の有無を効果的に確認する方法がなく、また、加熱以外の有効な殺菌方法がないこと、腸管出血性大腸菌は極めて病原性が強く少数の菌の摂取で食中毒が発生することにより、新鮮な肝臓を十分に衛生管理しても腸管出血性大腸菌による食中毒の発生を予防することができません。溶血性尿毒症症候群や脳症などを併発すると死亡する恐れもありますので、牛肝臓の生食は絶対に避けていただきますように、また、高齢の方、免疫抑制剤で治療中の患者さんにおかれましては肉類の生食も控えて頂きますようにお願いします。
腸管出血性大腸菌の他に、カンピロバクターやサルモネラ菌などの細菌が、夏場の高い温度と湿度を好んで活発に増殖することから、この時期に増加する食中毒の主な原因となっています。食中毒は、飲食店などで発生すると大きく報道されるため、外食やお弁当で発生するものと考えられがちですが、家庭での毎日の食事で多く発生しています。食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」ことが食中毒予防の三原則です。厚生労働省が発表している「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」の要約を以下に掲載させていただきますので、皆様に改めてご確認頂けましたら幸いです。
①食品の購入
・生鮮食品は新鮮な物を、消費期限などが表示されている食品は表示を確認して購入する
・肉や魚などは水分がもれて他の食品につかないようにビニール袋に分けて包む
・温度管理が必要な食品は買い物の最後に購入し、まっすぐに帰宅してすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる
②食品の保存
・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に設定し、冷蔵庫や冷凍庫に中身を詰めすぎない
③料理の下準備
・調理前、さらには、肉、魚、卵などを取り扱う前後に必ず石けんで手を洗う
・野菜などの食材はラップされていたり、カット済みであっても流水できれいに洗う
・冷凍された食品の解凍は室温では行わず、冷蔵庫の中か電子レンジで行う
・台所のふきんやタオルは清潔なものを使用する(煮沸するなどして消毒後にしっかりと乾燥させる)
・調理器具は使った後にすぐに洗剤と流水で洗い、熱湯をかけるなどして消毒する
④調理
・加熱して調理する食品は十分に加熱する
・調理前の食品や調理後の食品を長時間室温に放置しない
⑤食事
・食べる前に石けんで手を洗う
・清潔な食器を使い、温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べる
⑥残った食品
・清潔な容器に保存し、温め直す際には十分に加熱する
・時間が経ち過ぎたら、ちょっとでも怪しいと思ったら、思い切って食べずに捨てる
新規生物学的製剤治験のご案内(再掲)
整形外科リウマチ診療部門では、昨年から、国際共同で開発が進められている新規抗リウマチ生物学的製剤の治験の第3相試験を行っております。この生物学的製剤は、主にBリンパ球に作用するBAFFというサイトカインに対して特異的に結合する抗体製剤で、高い有効性が期待されています。
製薬会社と医療従事者だけでは、新しいリウマチ薬を誕生させることはできません。リウマチ患者さんやご家族の協力があって初めて可能になります。治験に際しては、より一層の安全性の確保と、経済的負担の軽減、さらには、効果が不十分な場合の対策などに様々な配慮がなされています。皆様のご協力をいただけましたら幸いです
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、限られた時間ですが、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。さて、7月のリウマチ教室では、リハビリテーション部の井上理学療法士に、リウマチ患者さんの健康維持に大切な運動療法について講演をしていただく予定です。皆様のご参加を心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2012年7月-11月)
日時:2012年7月26日(木)午後1時-2時
会場:外来診療棟4階第2会議室(会場が異なります)
演題:「関節リウマチの運動療法」
講師:リハビリテーション部 井上 順一朗 理学療法士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年8月30日(木)午後1時-2時30分(時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」
講師:整形外科外来 小林 久美子 副看護師長及び看護部スタッフ
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年9月27日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:東京工科大学医療保健学部 山崎 郁子 教授
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年10月25日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「介護保険を賢く利用するには」
講師:患者支援センター 都成 祥子 ソーシャルワーカー
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年11月29日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬場の健康対策」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療部門宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療部門© 発行日:2012.7.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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