第90号(2012年5月号[12/5/1発行])
口腔管理について
4月のリウマチ教室で西井歯科衛生士にリウマチ患者さんの口腔管理の必要性について講演いただきましたので、その要点を皆様にお伝えしたいと思います。
リウマチの治療薬は、口内炎や歯肉出血、味覚障害などの口腔内の副作用を起こす場合がある他、免疫抑制作用を持つ抗リウマチ薬は、口腔内の化膿性疾患や真菌感染を悪化させる恐れがあるため、口腔が不潔だとリウマチの治療を制限せざるを得ない場合もあり、口腔の状態とリウマチ治療とは密接な関わりがあります。また、関節リウマチなどの全身性疾患は歯周病の誘因となると考えられていますが、リウマチが直接、歯周病を生じるさせる訳ではなく、歯周病の発症のきっかけとなっているのは歯垢(プラーク)です。糖尿病などの他の全身性疾患を合併していたり、上肢が不自由で自分で上手く歯磨きができない場合も同様ですが、特にシェーグレン症候群を合併しているリウマチ患者さんでは、唾液の減少により、口腔内を清潔に保つ作用が低下しているため、虫歯、歯周炎、さらには誤嚥性肺炎の危険もあります。
しかし、歯科で健診を受け、歯科医が実施する虫歯や歯周病の処置と、歯科衛生士が実施する機械的歯面清掃による、口腔管理をきっちりと受けることにより、口腔環境を不潔な状態から清潔な状態に改善することができます。ただし、毎日の歯磨きが上手くできていないと、すぐに不潔な状態に戻ってしまいますし、きちんと歯磨きしていても、自分では除去することが困難な歯石やバイオフィルムが徐々にできてきますので、口腔管理は定期的に実施して貰う必要があります。
また、リウマチ患者さんは、関節痛や炎症を和らげる消炎鎮痛剤を使用されていることが多いため、虫歯や歯周病の痛みに鈍感になっています。そのため、全く痛みがないのに虫歯や歯周病になってしまっていることがあります。そこで、特に症状がなくても、かかりつけ歯科医を定期的に受診することが必須です。歯が痛くなってからの治療は時間もかかりますし痛い治療となることも多くなります。これまで、歯科を受診していない患者さんも、この春こそは受診していただきますようにお願いします。
なお、兵庫県にお住まいで、お近くの歯科医が分からない場合は、兵庫県歯科医師会にご相談ください。
社団法人 兵庫県歯科医師会 〒650-0003神戸市中央区山本通5-7-18 電話番号:078-351-4181
日本リウマチ友の会のご案内
リウマチ患者さんにより1960年に設立された日本リウマチ友の会は、 新薬の早期承認、専門病院の拡充、患者さん同士の交流や情報交換などに、大きな役割を果たしてきました。近年、インターネットなどでリウマチに関する情報を簡単に入手することができますが、その中身は玉石混淆です。友の会の会誌「流(ながれ)」は、リウマチ専門医が患者さん向けに寄稿している雑誌で、療養に非常に役立ちます。新年度となりましたことをきっかけに、是非、友の会への加入を検討ください。入会案内は、整形外科外来にも用意しておりますので、必要な方は、主治医あるいは看護師にお声かけください。
公益社団法人 日本リウマチ友の会 〒101-0047東京都千代田区内神田2-7-7 新内神田ビル3階
電話番号:03-3258-6565(月-金 9:30-16:30 土・日・祝日休)
整形外科外来看護スタッフ交代のお知らせ
3月に小坂看護師が移動になり、4月から服部看護師が新たに整形外科外来に加わりましたので、小林副看護師長、内山看護師ともどもよろしくお願いします。
休診のご案内
以下の外来を休診させていただきます。ご迷惑をお掛けしますが、ご協力をお願いいたします。
5月31日(木)生物製剤外来(三浦准教授):日本リハビリテーション医学会のため(代診:なし)
6月6日(水)リウマチ外来(福田医師):ヨーロッパリウマチ会議のため(代診:三浦准教授)
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、限られた時間ですが、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。さて、5月のリウマチ教室では、宮川薬剤師から、薬を正しく使用していただくために必要な薬に関する基礎知識について講演させていただく予定です。皆様のご参加を心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2012年5月-9月)
日時:2012年5月24日(木)(第4週です)午後1時-2時
会場:外来診療棟4階第2会議室(会場が異なります)
演題:「お薬の基礎知識~正しく薬を服用するために~」
講師:薬剤部 宮川 典子 薬剤師
司会:三浦 靖史 准教授
*5月の演題と講師が変更になりました!
日時:2012年6月28日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「装具製作にかかわる医療・福祉制度」
講師:澤村義肢製作所 大西 智樹 義肢装具士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年7月26日(木)午後1時-2時
会場:外来診療棟4階第2会議室(会場が異なります)
演題:「関節リウマチの運動療法」
講師:リハビリテーション部 井上 順一朗 理学療法士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年8月30日(木)午後1時-2時30分(時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」
講師:整形外科外来 小林 久美子 副看護師長及び看護部スタッフ
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年9月27日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:東京工科大学医療保健学部 山崎 郁子 教授
司会:三浦 靖史 准教授
第8回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
関連医療機関である神戸海星病院との共催で、土曜日にもリウマチ教室を開催しています。大学病院でのリウマチ教室に加えて、こちらにも是非ご参加ください。
日時:2012年5月12日(土)午後2時-4時30分 (午後1時30分開場)
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
演題:「リウマチのケア・患者支援」 講師:整形外科外来 矢倉 万里子 看護師
演題:「関節リウマチに対する適切な運動-最新の動向について-」 講師:リハビリテーション部 井澤 克俊 理学療法士
演題:「リウマチの最新治療」 講師:神戸大学保健学研究科・整形外科 三浦 靖史 准教授
司会:神戸大学保健学研究科・整形外科 三浦 靖史 准教授
参加は無料ですが、定員が60名ですので、事前にお電話で申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部 電話:078-871-5201
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療部門宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療部門© 発行日:2012.5.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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