第69号(2010年8月号[10/8/1発行])
熱中症対策は十分に!
皆様、暑中お見舞い申し上げます。梅雨がようやく終わったら、いきなりの猛暑となり、連日うだるような厳しい暑さが続いています。報道などでご存じのとおり、今年は熱中症で病院に運ばれたり、亡くなる方が相次いでいます。近年の二酸化炭素排出量の増大に伴う地球温暖化と、都市部でのヒートアイランド現象による気温上昇のために、熱中症にかかる危険が増すと同時に、高齢化社会の進行により、熱中症にかかりやすい高齢者が増加しています。
熱中症とは、気温や湿度が高い時期に、体から熱を逃がして、体温を一定に維持する機能に不調を来して、体の中に熱が貯まってしまう「うつ熱」状態が起き、その結果、引き起こされる様々な病態のことを言います。屋外の強い日差しや運動が誘因となりますが、近年では、これらの誘因がない場合も増えています。また、真夏にだけ生じるものではなく、一般に運動に適した気候とされる春や秋にも生じます。
熱中症には、その程度により、こむら返りや立ちくらみを起こす「熱けいれん」、倦怠感、脱力感、めまい、頭痛、吐き気、体温の軽度の上昇などを起こす「熱疲労」、体温が40℃以上に上昇し、意識消失、うわごと、ふらつき、けいれんなど、中枢神経を含む全身の臓器障害と血液凝固障害を来たし、死亡に至る危険が高い「熱射病」の3段階があります。
体に水分の占める割合が多い子供や、臓器の機能が低下している高齢者、肥満者、利尿剤や抗うつ剤などによる治療を受けている病者、アルコール摂取や様々な原因による脱水状態、旅行などでの暑い環境への突然の移動、風邪や下痢などの体調不良、睡眠不足などは、全てうつ熱の誘因となります。特に、高齢の方は、暑さに鈍感で対応が遅れがちになること、エアコンを使用した生活に慣れていなこと、運動をしないので大丈夫、あるいは、以前は大丈夫だったので今年も大丈夫と考えがちなこと(昔の夏は今ほど暑くはなく、年齢も若くて元気だったはずです!)なので、とりわけ注意が必要です。
熱中症は、治療よりも予防が何より大切で、そのために、気候や体調を十分に把握して、十分な水分補給を行うことと、外出や運動を減らすことが対策の基本となります。
具体的な対策として、
① 年齢、肥満度、体力低下の度合い、薬物の使用状況、体調全般から自分の熱中症リスクを知っておく
② 熱中症の発症に影響する毎日の気温、湿度、天候などの情報を天気予報で知っておく
③ 屋内での発症が増えているので、家にいるから大丈夫と思って安心せず、対策を実施する
④ 夜になっても気温が下がらない熱帯夜もあるので、夜になっても油断せず、対策を継続する
⑤ のどが渇かなくても、スポーツ飲料や経口補水液で、水分と必要な電解質を定期的に十分補給する
⑥ 吸湿性や通気性の良い素材の衣服を着て、汗をかいたらこまめに着替える
⑦ 日中は適宜エアコンを使用して室温を下げる、下肢の関節が冷えて痛むようなら膝掛けを使用する
⑧ 外出が必要なときは朝夕のなるべく涼しい時間帯にする
⑨ 日中の外出時には帽子や日傘で直射日光を遮る
⑩ 直射日光が当たるので、エアコンの使用で車内温度は高くなくても、自動車内では特に注意する
⑪ 外出先でもすぐに水分補給できるように、水筒やペットボトルを持参する
⑫ 具合が悪くなったら、すぐに必要な処置を行う などです。
万が一、熱中症になってしまった場合には、
① 速やかに体を冷却する、② 水分と電解質を十分に補給する、③ 涼しい場所で十分に休息を取る必要があります。経口で水分を取れない場合には、点滴を行う必要がありますので、速やかに医療機関を受診して下さい。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者の方もご参加いただけます。ただし、リウマチと無関係の方の興味本位での参加は患者さんへの迷惑となりますため、ご遠慮下さい。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。皆様の参加を心からお待ちしております。
講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ、かかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
8月のリウマチ教室では、リウマチ患者さんとご家族を対象にした「おしゃべり会」を、川島副看護師長を中心とする整形外科外来の看護スタッフにより、開催する予定にしています。 皆様の参加を心からお待ちしております。
8月-12月の整形外科リウマチ教室の予定:
日時:2010年8月26日(木) 午後1-2時30分 会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」 (患者さんとご家族に限定させていただきます)
講師:川島 良子 整形外科外来副看護師長及び看護部スタッフ 司会:三浦 靖史 准教授
日時:2010年9月30日(木) 午後1-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:山崎 郁子 教授(東京工科大学医療保健学部) 司会:三浦 靖史 准教授
日時:2010年10月28日(木) 午後1-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチと装具」
講師:村田 恭子 義肢装具士(澤村義肢製作所)司会:三浦 靖史 准教授
日時:2010年11月25日(木) 午後1-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を健康に過ごすために」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
*12月は年末につきリウマチ教室はお休みです
第4回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
関連病院である神戸海星病院との共催で、4ヶ月毎に土曜日にリウマチ教室を開催しています。大学病院での平日のリウマチ教室に参加することが困難な皆様は、こちらにご参加ください。
日時:2010年10月31日(土) 午後2時-4時30分 ( 午後1時30分開場 )
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
演題:
「リウマチの治療を変えるタイミング」 三浦 靖史 准教授
「リウマチのお薬のポイント③ 消炎鎮痛剤について」 神戸海星病院 薬剤部 濱名 則子 管理薬剤師
「身体の上手な使い方④ 自分で治せる痛みの話」 神戸海星病院 リハビリテーションセンター 阿部 渉 理学療法士
「リウマチの血液検査」 神戸海星病院 検査部 江尻 いずみ 臨床検査技師
参加費は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部 電話:078-871-5201
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