第70号(2010年9月号[10/9/1発行])
熱中症について(その2)
 残暑お見舞い申し上げます。例年ならそろそろ秋の気配が感じられるはずの9月だというのに、まだまだ真夏のような気候が続いており、今しばらくは最高気温が30℃を越えそうです。
 さて、先月号のリウマチだよりでも熱中症についてお話しましたが、今夏は、熱中症で病院に搬送される患者さん、特に高齢者は記録的な数になっています。リウマチ患者さんは、合併症や加齢による臓器機能の低下や、ステロイド剤の副作用や運動不足による肥満を伴うことがあり、体に熱が溜まった状態であるうつ熱の結果生じる熱中症にかかりやすいと考えられます。熱中症の対策としては、治療よりも予防が何より重要ですので、9月に入ったからと言ってくれぐれも楽観視せず、引き続き熱中症予防対策を十分に実施してくださいますようにお願いします。なお、具体的な対策については先月号のリウマチだよりを参照にしてください。

台風に備えましょう
 昨年は、台風9号の接近に伴う豪雨が、佐用町を中心とした地域に大きな被害をもたらしました。本格的に台風が到来する前に、自宅近くの避難場所と避難経路の確認、懐中電灯の電池や非常食などの防災用品の点検を、ご家族と協力して実施して下さいますようにお願いします。また、受診予約日に悪天候等で受診できない場合に備えて、常用している薬の少なくとも1週間分の予備は持っておいてください。予備の薬は常に新しい薬と入れ替えて頂き、避難時にすぐに持ち出せるように、ポーチなどに入れて手元に保管してください。

アバタセプト(オレンシア®)承認のお知らせ(第1報)
 全く新しい作用機序を持つ生物学的製剤であるアバタセプト(商品名オレンシア®、ブリストル・マイヤーズ社)が、関節リウマチの治療薬として承認されました。アバタセプトは、T細胞補助シグナル分子であるヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)とヒト免疫グロブリンのFc部分との融合蛋白質であり、抗原提示細胞上のCD80/86分子と結合して、CD80/86分子がT細胞上のCD28と結合するのを競合的に阻害することにより、T細胞の活性を抑制して、抗リウマチ作用を発揮します。今月中には薬価が収載される見込みですので、発売開始後、できるだけ早く院内で使用できるように現在手続きを進めております。処方可能になりましたら、リウマチだよりで詳細をお知らせしますので、今しばらくお待ちください。

レントゲン撮影のお願い
 リウマチの症状に大きな変化がなくても、少なくとも1年に1回は、手、足、胸、その他症状のある部位のレントゲン写真を撮影することは、リウマチの進行具合を正確に評価し、また、肺などの合併症を早期に発見するために非常に有用です。通常、春か秋かに撮影をお願いしておりますので、昨年の秋に撮影された皆様は、冬になるまでにレントゲン撮影を受けていただくようにお願いします。また、必要な患者さんには骨粗鬆症の検査も合わせて実施しておりますので、ご協力いただけますようにお願いします。

外来休診のお知らせ
 整形外科リウマチ外来を以下の通り休診とさせていただきますので、ご了承くださいますようにお願いします。
	9月8日(水)	福田医師	  (代診:三浦)
	9月22日(水)	三浦准教授(代診:福田)

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者の方もご参加いただけます。ただし、リウマチと無関係の方の興味本位での参加は患者さんへの迷惑となりますため、ご遠慮下さい。
 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。皆様の参加を心からお待ちしております。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ、かかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 9月のリウマチ教室では、音楽療法士の山崎郁子先生をお迎えして、神戸大学医学部保健学科の学生さんの協力により、音楽と歌と講演による楽しい教室を予定していますので是非ご参加下さい。 皆様の参加を心からお待ちしております。

2010年9月-2011年1月の整形外科リウマチ教室の予定:
日時:2010年9月30日(木) 午後1-2時                      		    会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:山崎 郁子 教授(東京工科大学医療保健学部)、神戸大学医学部保健学科学生有志
司会:三浦 靖史 准教授

日時:2010年10月28日(木) 午後1-2時				         会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチと装具」 
講師:村田 恭子 義肢装具士(澤村義肢製作所)
司会:三浦 靖史 准教授

日時:2010年11月25日(木) 午後1-2時				         会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を健康に過ごすために」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授

*12月は年末につきリウマチ教室はお休みです

日時:2011年1月25日(木) 午後1-2時				    会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「2011年:リウマチ治療の展望」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授	

神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

第4回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
 関連病院である神戸海星病院との共催で、4ヶ月毎に土曜日にリウマチ教室を開催しています。大学病院での平日のリウマチ教室に参加することが困難な皆様は、こちらにご参加ください。
日時:2010年10月31日(土) 午後2時-4時30分 ( 午後1時30分開場 )
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
演題:
「リウマチの治療を変えるタイミング」 三浦 靖史 准教授
「リウマチのお薬のポイント③ 消炎鎮痛剤について」  神戸海星病院 薬剤部 濱名 則子 管理薬剤師
「身体の上手な使い方④ 自分で治せる痛みの話」  神戸海星病院 リハビリテーションセンター 阿部 渉 理学療法士
「リウマチの血液検査」  神戸海星病院 検査部 江尻 いずみ 臨床検査技師
参加費は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)