葉緑体の遺伝子発現はどのように行われているのか? |
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植物の葉緑体は器官によって様々な形と機能に分化する色素体の一形態であり、原始ラン藻が酵母のような生物に入り込んで進化した究極の共生体です。 もとが大腸菌と同じグラム陰性菌由来の色素体は高等植物でも150kbほどのDNAを今なお維持しており、約120の遺伝子がコードされています。これらの転写はバクテリア型(PEP)とT7ファージ型(NEP)の2種類の異なるRNAポリメラ
ーゼで制御されていますが、その全貌解明には至っていません。さらにRNA編集やスプライシングといった真性細菌にはない転写後修飾を受けて成熟RNAとなるものが多数存在しますが、その分子機構も謎だらけです。またPEPとNEPは独自の機能をもちつつも互いに相関しあって全体のバランスをとっているようなのですがその機構もまだ一部しかわかっていません。これらを分子生物学、分子遺伝学、生化学、植物生理学細胞生物学といった様々な手法を駆使して
明らかにしようとしています。 |
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