プレゼンテーションやテレビ放送などのリアルタイムコンテンツ視聴中のコミュニケーションには,先の展開を議論して影響を与えられるなど独特の魅力があり,さまざまなシステムの運用が試みられている.しかし,コンテンツとコミュニケーションを同時並行的に把握し続けるのは参加者にとっての負荷が高く,コンテンツを視聴中の興奮やほかの発言に対する同意といった単純な反応を返すことで精いっぱいになってしまう局面も少なくない.そうした反応には,集団としての一体感を生みだし,大勢が注目している箇所を明らかにするプラスの効果があるが,議論を行おうとする参加者にとっては妨げとなってしまうことがある.こうした課題に対して我々は,1) 発言と話題の関係を入力・把握しやすくする,2) コンテンツへの没頭度合いに応じた発言の入力方法を提供する,3) 議論と単純な反応が共存できる表示を行うという解決指針を提案し,この指針に基づいたシステム, On-Air Forum を開発した.On-Air Forum は,タイムラグを考慮した発言の結び付け機能によって発言と話題の関係の入力と把握を支援する.また,コンテンツに没頭しているときでも利用できるエキサイトメッセージ,テキストを入力する余裕がないときでも利用できる反応ボタンと選択肢付き発言を提供する.こうした機能を用いて発信される参加者の反応は,議論の妨げとならないよう,グラフなどを用いてわかりやすく表示される.