遺伝子をみる

細胞には、それぞれすべてに、ゲノムDNAが含まれています。ゲノムが、細胞分裂の際に、22対の常染色体とXYの性染色体(女性はXX)24種類の染色体にわかれます。そして、自然突然変異、環境ストレス、また遺伝疾患や癌化した細胞の多くに染色体異常が認められます。染色体異常は、切断、逆位、欠失、転座、遺伝子増幅といわれるものです。

 取り組んでいるのは、ガン細胞の染色体異常を可視的に解析することです。その方法として使われる多色蛍光分子雑種成法(M-FISH)法は、遺伝子の位置を染色体上で多蛍光色で検出する方法です。簡単に言えば、ヒト細胞の中の24本の染色体をすべて違う色で塗り分けるペインティングです。

 まず、ヒト染色体について特異的反復配列をDNAプロープとして24種類作製します。用いる蛍光色素の数をnとすると、検出できる色の数は2n-1。つまり3種類の蛍光色素、FITC(緑)、ローダミン(赤)、AMCA(青)を組み合わせることによって、7種類のターゲットを同時検出する事が可能となり、さらに5種類の蛍光色素を使えば、31種類のターゲットが識別可能となります。ターゲットとなる24種類のDNAプローブを混合して、M-FISH法を行い、最終的に顕微鏡に取り付けたCCDカメラで結果の画像を取り込みます。開発した画像開発(プログラム特許取得済)を行うことによって、ヒトの全ての染色体が24色で識別・同定されます。検出された異常の1例として、リンパ球細胞に生じた第4染色体と第8染色体の転座が認められています。

 このようにM-FISH法をもちいることで、従来の解析に主流であった白黒の縞のパターン(バンディング法)に比べて、染色体の解析を飛躍的に進展させました。M-FISH法では、バンディング法では発見されない様な微小なレベルの染色体変異について解析が可能になりました。発ガンに関係する染色体異常を全域にわたって、可視的に精査することが出来るのです。

 さらに研究室では、蛍光色素の核酸の標識もおこなっており、安価で、高濃度のプローブの提供も可能です。M-FISH法による染色体異常診断について、独自の画像解析を用いたヒト遺伝子のマッピング総合解析を進めていきます。今後もDNAの位置や遺伝子をカラーで見る技術で遺伝子研究を推進することに努めていきたいと考えています。


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