キンデルダイクの風車.
オランダの歴史,生活において風車は不可欠な構造物です.
2007年現在,オランダには6つの世界遺産が存在し,
キンデルダイク(Kinderdijk)にある風車群はその1つです.
1997年に「キンデルダイク=エルスハウトの風車網」としてユネスコの世界遺産に登録されています.
現在,オランダ国内には約1000基の風車が現存していますが,
19基の風車をまとめて見ることができるのはキンデルダイクだけです.
キンデルダイクはオランダの観光地の1つとして日本人にも有名なスポットですから,
オランダ滞在中はあまり見かけなかった日本人観光客の方々にもお会いしました.
風車を利用した干拓は1542年にアルクマール近郊で始まりました.
その頃は,チャスカータイプの風車やウィップ型風車のような原始的な風車を利用した
干拓でありました.
オランダの代表的なポルダーであるベームスター干拓地(こちらも世界遺産です.)や
スヘルメール干拓地は17世紀の初頭に
風車技術の進展に伴って創生された地域です.
1558年には,風車内部からキャップ部分を風の方向に向けて回転できる
八角形の風車が発明され,干拓の効率性向上に貢献しました.
風車を利用することで干拓対象地内の水を排水するとともに,水位を制御しています.
現代の鉄製らせんスクリュー.
キンデルダイクの風車群.
改良が重ねられた風車ですが,水車方式による排水方法では
約1メートルしか水を引き上げることができませんでした.
そのため,干拓地の水深が深い場合には
風車を何台も並べることで各風車が1メートル程度の水を上げていくことで排水をしていました.
これを多段式風車配列(モーレンガンフ:Molengang)といいます.
水車方式に替わり,らせん水揚機方式が発明され,約3メートルの高さまで
水を引き上げることができるようになったのは,1635年のことです.
この当時のスクリューは細かい木片を組み合わせて作っていました.
写真のように,鉄製のスクリューが採用されたのは比較的近年のことのようです.
ツアーの船.結構快適です.
船から見える風景.
エラスムス大橋のたもとにある船ツアーの案内板.