スパールンダムのハンス少年像.右手で漏水地点を押さえています.
ある日,堤防からの漏水に気づいたハンス少年は,一晩中,
自分の右腕を漏水箇所に突っ込むことで漏水を防ぎ,堤防の決壊を防ぎました.
メアリー・メイプスドッジの物語に登場するハンス少年の話はオランダだけでなく,
世界各地で有名です.
フィクションである点が残念ですが,
オランダにおける堤防の重要性を示すとともに,
勇敢なハンス少年を称える銅像がオランダ国内には存在します.
こちらはスパールンダムにある有名なハンス少年の銅像です(日本大学理工学部鎌尾先生のご提供).
ハンス少年の銅像というと大抵の場合,こちらの銅像が有名です.
実は,オランダにはもう1つ別の場所にハンス少年の銅像があるらしいのです.
普通ならば,有名なハンス少年の銅像を目指すのでしょうが,アマノジャクな性格である私は
あまり知られていない方の銅像を見たい衝動に掻き立てられ,情報収集を始めました.
ハルリンゲンのハンス少年像.
地盤工学を専攻する上で,関連する情報はいろいろと収集しておきたいものですし,
結果はどうあれ,情報収集の過程は自分にとってプラスになることがほとんどです.
テンションの上がる中,ハンス少年の銅像がハルリンゲンに存在するということまでは突き止めましたが,
正確な場所まではわからず,しばらくの間,途方に暮れておりました.
それでもめげずに,Google EarthとGoogle Nederlandでひたすら探し,
ようやく銅像の場所を見つけました.
幸い,NSの駅(ハルリンゲンハーフェン駅)から近い場所のようです.
ハルリンゲンのハンス少年像.こちらは左手で漏水地点を押さえています.
ところで,ハルリンゲンってどこ?
ハルリンゲンはオランダ北部,フリースランド州の西端,ヴァッテン海(北海ではない)を望む小さな街です.
時刻表を見るとデルフトから約4時間の距離.一泊コースが頭によぎりましたが,
お目当てはハルリンゲンだけではないし,
宿泊するとお金も結構かかる(2007年当時,1ユーロは170円以上!)わけなんで,
朝早くにデルフトを出発し,ハンス少年とレーワルデン散策の日帰りコースを選択しました.
別に書きますが,レーワルデンは地盤工学を専攻する上でこれまた興味深いスポットがあるため,
電車の乗り換え駅ということもあって,足を運ぶことにしました.
ハルリンゲンハーフェン駅から歩くことわずか1分.居ました居ました.
会いたかったハンス少年です.
少々高めの台座の上で,漏水箇所を押えながら,大人を呼ぶために叫んでいます.
オランダにおいて堤防の決壊は生死に関わる大問題なだけに,ちょっとした漏水であっても軽視できないわけです.
あれっ?左手で,漏水を防いでる…スパールンダムの像や物語では右手だったような…
まぁ,細かいことはさておき,
念願のハンス少年像にご対面できて,大満足なのでありました.
ヴァッテン海.
ハルリンゲンの街.
ハルリンゲンハーフェン駅前.
帰りのロッテルダムからデルフトへ向かうNS車内での車掌さんとの一幕. 「切符拝見します」「はい,どうぞ」「Harlingen Haven? ha,ha,ha」. 寒い中,ハルリンゲンまでしかも日帰りで行ったことを笑われたのか, ハルリンゲンという辺境の地に行ったことそのものを笑われたのか, よくわかりませんが,いい体験でありました.