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半導体、金属、誘電体を問わず多様な物質について、様々な機能を持つナノ構造を開発しています。さらに、作製したナノ構造に発現する新奇な光学的、電気的特性の解明を行う共に、それらの特性を利用した新機能性材料や光デバイスの提案を行っています。

Optical Properties of Low Dimensional Semiconductor Nanostructures

新しい電子デバイス材料、光電子デバイス材料として、半導体ナノワイヤや半導体ナノ結晶(量子ドット)等の低次元半導体材料の作製と物性評価に関する研究を行っています。
Group IV Semiconductor (Si, Ge) Nanowires
  • 半導体ナノワイヤを薄膜トランジスタ、太陽電池等の電子デバイス、光電子デバイスに応用する場合、精密な不純物制御とその評価技術の開発が不可欠です。Raman散乱等の光学的な手法を用いてシリコンやシリコンゲルマニウムナノワイヤ中の活性な不純物の分布を測定する方法を開発しています。
Luminescence Properties of (Intrinsic) Group IV (Si, Ge) Semiconductor Nanocrystals
  • シリコンベースの新しい発光材料として、シリコンナノ結晶発光特性について研究を行っています。量子サイズ効果により、サイズに依存して発光特性が大きく変化する様子が観測されています。
  • シリコンとゲルマニウムは全率固溶で、任意の比率で混晶を作成することができます。シリコンゲルマニウム混晶ナノ結晶を作成することにより、より広い範囲で発光波長の制御が可能な発光材料の開発を行っています。
  • ゲルマニウムはシリコンと同じIV族半導体ですが、そのエネルギーバンド構造はシリコンと大きく異なっています。ゲルマニウムナノ結晶について、量子サイズ効果によるエネルギーバンド構造の変化について研究を行っています。
  • 顕微分光法を用いて、直径数ナノメートルのナノ結晶一個からの発光を検出し、サイズや形の分布を排除した、シリコンナノ結晶本来の物性を明らかにする研究を行っています。
Non-linear Optical Properties of Group IV (Si, Ge) Semiconductor Nanocrystals
  • 半導体ナノ結晶は、非常に大きい非線形光学応答を示します。この現象を利用すると超高速光スイッチを実現できる可能性があります。フェムト秒レーザーを用いて、シリコンナノ結晶やゲルマニウムナノ結晶を埋め込んだシリカ薄膜の非線形光学応答の評価とその増大に関する研究を行っています。
  • 当グループにおいて、シリコンナノ結晶に不純物をドーピングすると非線形光学応答が増大することを見出しました。そのメカニズムの解明と、非線形屈折率が最大となる条件を見出すべく研究を行っています。
Impurity Doping in Group IV (Si, Ge) Semiconductor Nanocrystals
  • 半導体が半導体である所以は、不純物ドーピングにより物性を非常に広範囲に制御できることにあります。すべての半導体デバイスは、非常に複雑な不純物プロファイルを精密に制御することにより複雑な動作を実現しています。一方、ナノの世界では、材料を構成する原子数が非常に少ないため、バルク結晶の世界と不純物ドーピングの意味合いが大きく異なってきます。例えば、バルク結晶の世界では、不純物濃度という表現をしますが、ナノ結晶では不純物数を議論する必要があります。もし、ナノ結晶中の不純物を0,1,2,3,...とディジタル的に制御できると、全く新しい物性を示す新材料を実現できる可能性があります。様々な形態の不純物ドープシリコンナノ結晶(ガラス薄膜中、多層膜中、溶液中等)の作成と評価に関する研究を行っています。
Colloidal Group IV (Si, Ge) Semiconductor Nanocrystals
  • 半導体ナノ結晶を溶液に分散した半導体ナノ結晶コロイドは、電子デバイスのみならずバイオイメージング等への応用が期待されています。その中でも、生体に無害で環境親和性の高いシリコンナノ結晶コロイドの開発が精力的に行われています。本研究室では、全く新しタイプのシリコンナノ結晶コロイドを開発し、その物性評価とデバイス応用に関する研究を行っています。
Singlet Oxygen Generation by Energy Transfer from Silicon Nanocrystals
  • シリコンナノ結晶は、直径数ナノメートル程度になると、酸素分子に対して光増感剤として機能し、活性酸素の一種である一重項酸素を生成します。この現象を利用すると光線力学的療法(Photo-dynamic Therapy:PDT)による癌治療にシリコンナノ結晶を利用できる可能性があります。シリコンナノ結晶による一重項酸素生成のメカニズムの解明と生成した一重項酸素による化学反応の実証に関する研究を行っています。
Oxide Semiconductor Nanostructures
  • 様々な形状の酸化物半導体ナノ構造の開発を行っています。

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Optical-center Doping in Low-dimensional and Porous Materials

遷移金属イオンや希土類イオンは、d殻内遷移やf殻内遷移に伴う高効率の発光を示すため、白色LED、プラズマディスプレー、蛍光灯等の蛍光体やレーザー、光増幅器などの様々な分野で利用されています。当研究室では、新しい発光材料として、遷移金属イオンや希土類イオンをドーピングしたナノワイヤーやナノ粒子を開発しています。特に、遷移金属イオン、希土類イオン、その他のイオンと半導体ナノ構造が結合し、それぞれの長所を併せ持つ、新しいハイブリッド蛍光材料や光増幅器材料の開発を行っています。また、半導体ナノ構造から発光センターへのエネルギー移動について研究を行っています。
Rare-earth Ions and Silicon Nanocrystals Coupled Systems
  • 希土類元素であるエルビウム(Er)は固体中で3価のイオンの状態をとります。Er3+は、4f軌道内のスピン軌道相互作用により分裂した準位間の遷移に伴うシャープな発光を可視から近赤外領域に示します。第一励起状態から基底状態への遷移に伴う発光は波長1.54μmにあり、この波長がシリカ光ファイバーの最低損失領域に対応していることから、エルビウムはEDFA(Erbium-doped Silica Fiber Amplifier)として長距離光ファイバー通信に不可欠なデバイスとなっています。当グループでは、シリカガラス中にエルビウムとシリコンナノ結晶を同時にドーピングすると両者の電子状態が強く結合し、シリコンナノ結晶からのエネルギー移動によりEr3+が高効率に励起されることを発見しました。この現象を利用すると、EDFAを大幅に小型化できる可能性があり、世界中で応用に向けた研究が行われています。
  • イッテルビウムイオン (Yb3+) は、希土類イオンの中で最もシンプルな電子状態を持ち、基底状態から980nm付近に唯一の励起準位が存在します。Yb3+ は、それ自身が発光センターとして機能するのみならず、他の希土類イオンを励起する光増感剤として広く用いられていますが、励起波長が非常に限定されているという問題があります。当グループにおいて、シリコンナノ結晶がYb3+に対しても光増感作用を示すことを明らかにし、紫外~近赤外の広い波長でYb3+の励起が可能なシリコンナノ結晶-Yb3+結合材料を開発しました。  
  • シリコンナノ結晶は他の希土類イオンに対しても光増感作用を示し、ユニバーサルな光増感剤として利用できることを実証しました。
Rare-earth Doped Nanomaterials
  • 希土類イオンをドーピングしたナノ粒子、ナノ結晶、ナノワイヤを開発しています。
Bismuth-doped Near Infrared Luminescent Nanomaterials
  • 固体(ガラス)中にドーピングされたビスマスは、p軌道内遷移に伴うブロードな発光を可視-近赤外領域に示します。特に、ビスマスイオンの広帯域近赤外発光は、光ファイバー通信用広帯域光増幅器への応用が期待されています。しかしながら、広帯域近赤外発光のメカニズムはほとんど明らかになっていないのが現状です。
  • 様々なビスマスドープナノ材料の合成とその物性評価を行い、ビスマスの近赤外発光の起源について研究を行っています。
Bismuth-doped Near Infrared Luminescencet Thin Films
  • 一般的なガラスの製造方法であるMelt-quench法とは全く異なる薄膜プロセスでビスマスドープガラスを作製し、広帯域近赤外発光のメカニズム解明にむけて研究を行っています。さらに、ガラス薄膜中にビスマスイオンとシリコンナノ結晶を同時にドーピングすることにより、シリコンナノ結晶からのエネルギー移動によるビスマスイオンの高効率励起に関する研究を行っています。
Transition Metal-doped Near Infrared Luminescence Nanomaterials
  • 遷移金属イオンをドーピングしたナノ粒子やナノワイヤを開発しています。
  • 遷移金属イオンをドーピングした近赤外発光ガラスセラミックス薄膜を開発しています。特に、Niイオンの近赤外発光に注目して研究を行っています。
Zeolites Based Visible and Near-infrared Emitting Materials
  • ゼオライトは、周期的に配列した微細孔を持つアルミノケイ酸塩結晶であり、微細孔に原子、イオン、分子をドーピングすることにより、様々な機能を持たせることができます。独自に開発した方法により、ゼオライトに様々な近赤外発光センターをドーピングし、多様な用途に対応可能な近赤外発光ゼオライト粒子を開発しています。特に、ゼオライトの細孔にビスマスイオンや希土類イオンをドーピングした発光材料の開発を行っています。また、近赤外発光ゼオライトをポリマー中に分散した、無機有機ハイブリッド近赤外発光材料の開発を行っています。
Porous Glass Based Visible and Near-infrared Emitting Materials
  • 数ナノメートル程度の細孔を持つポーラスシリカに発光センターをドーピングすることにより新機能性材料を開発しています。特に、ポーラスガラスの細孔にビスマスイオンをドーピングした発光材料の開発を行っています。
  • ポーラスガラスに色素をドーピングすることによりランダムレージングを実現してます。

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Plasmonics: Enhancement of Lumincecence and Energy Transfer by Surface Plamson Excitation

金属ナノ構造の表面には、表面プラズモン励起に伴う強い電場が誘起されています。その強い電場を利用してラマン散乱を増強する表面増強ラマン散乱は、すでに多方面でで実用化されています。また、蛍光増強に関しても広く研究されています。当グループでは、表面プラズモン励起による蛍光増強の新しい展開を図るべく、これまであまり研究されてこなかった材料や現象の蛍光増強に関する研究を行っています。また、より複雑な系として、二つ以上の物質が電磁気的に結合し互いにエネルギーのやり取り(エネルギー移動)をしている系のエネルギー移動を、表面プラズモン励起により増強する研究を行っています。
Surface Plasmon Enhanced Luminescence from Silicon Nanocrystals
  • 表面プラズモン励起に伴う強い電場を利用したシリコンナノ結晶の発光性結合レートの増大を目的に、研究を行っています。
  • 金属薄膜の近傍にシリコンナノ結晶を配置した時の発光レートの変化から、シリコンナノ結晶の発光再結合レートと非発光再結合レートを個別に見積もっています。また、そのサイズ依存性について研究を行っています。
Surface Plamson Enhanced Luminescence in Rare-earth doped materials
  • 表面プラズモン励起に伴う強い電場を利用して希土類イオンの発光を増強する研究を行っています。
Surface Plamson Enhanced Upconversion Luminescence in Rare-earth doped materials
  • 低エネルギーフォトンの高エネルギーフォトンに変換するアップコンバージョン現象は、バイオイメージング等への応用が期待されています。表面プラズモン励起に伴う強い電場を利用して、アップコンバージョン発光を増強する研究を行っています。
  • バイオイメージング等への応用を目的に、アップコンバージョンナノ粒子と金属ナノ構造の複合アップコンバージョンナノ粒子を開発しています。
Surface Plamson Enhanced Energy Transfer
  • エネルギー移動現象は様々な分野で一般的にみられる現象で、この現象を利用すると、吸収断面積の小さい材料を高効率に励起することができます。表面プラズモン励起に伴う強い電場がエネルギー移動現象にどのような影響を及ぼすかについては諸説があり、明確な結論が得られていません。金属近傍でエネルギー移動レートがどのように変化するのかについて研究を行っています。
Plasmonic Nanostructures
  • 発光増強や表面増強ラマン散乱(SERS)に適した金属ナノ構造の開発を行っています。

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Sub-wavlength (Birefringent) Optical Devices

ナノシリコンにより形成されている多孔質シリコン(ポーラスシリコン)の構造を、面内及び深さ方向に制御することにより、可視~赤外領域で使用可能な(複屈折)光学素子を開発しています。作成した素子は、市販の光学素子には無い様々な特徴を持っています。また、ポーラスシリコンを酸化して作成するポーラスシリカにより、深紫外~紫外領域用光学素子の開発を行っています。
Porous Silicon Based Polarizing Elements for Visible to Infrared Range
  • (110)シリコンウエハーから作製したポーラスシリコンは面内に屈折率異方性(構造複屈折)を持ちます。この複屈折性ポーラスシリコンを用いて多様な偏光素子を作製しています。
Porous Silica Based Polarizing Elements for UV Range
  • ポーラスシリコンの熱酸化により作製したポーラスシリカを用いて、深紫外光用の高性能波長板(True zero-order waveplate)の開発を行っています。

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Quantized Vibrational Modes in Nanocrystals

固体の振動モードは光学フォノンと音響フォノンに分類され、それぞれに縦波と横波が存在しますが、ナノ結晶の場合は、その形状を反映した特徴的な振動モードが現れます。これらの振動モードは、ナノ結晶発光素子の励起、緩和過程に深くかかわっていると考えられており、その理解は非常に重要です。金属や半導体のナノ結晶について、極低波数領域のラマン散乱を測定することにより、ナノ結晶特有の振動モードについて研究を行っています。
Acoustic Phonons Confined in Nanocrystals
  • 超低波数領域のラマン散乱測定により、ナノ結晶に閉じ込められた音響フォノンの振る舞いについて研究を行っています。特に、そのサイズ依存性について明らかにしてきました。

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Single-electron Tunneling via Metal and Semiconductor Nanocrystals

ナノ結晶は静電容量が小さいため、帯電エネルギーが非常に大きい。そのため、ナノ結晶を介したトンネル接合に電流を流すと、ナノ結晶への電子一個の帯電に対応するステップが観測されます。これは、クーロンブロッケードやクーロンステアケースと呼ばれる現象です。様々なナノ結晶を埋め込んだ薄膜のクーロンステアケースを観測し、ナノ結晶を介した電気伝導について研究を行っています。
Single-electron Tunneling via Nanocrystals
  • 金属や半導体ナノ結晶を分散した極薄シリカ薄膜の電気伝導測定により比較的高い温度で単電子トンネリング現象を観測しました。
  • 有機物であるナイロンの極薄薄膜中に金属ナノ結晶を分散し、その電気伝導特性について研究を行いました。ナイロン薄膜中の金属ナノ結晶を介した単電子トンネリング現象を見出しています。
Electrical Transport Properties of Nanocrystal (Nanoclusters) Assemblies
  • ナノ結晶やナノクラスターがランダムに分散した系の電気伝導特性を研究しています。バリアブルレンジホッピングによる電気伝導を見出しています。

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Carbonaceous Materials

カーボンオニオンと呼ばれる玉葱状のカーボンナノ粒子やカーボンの一次元分子(ポリイン)をはじめとする、様々な炭素ベース材料の作製と評価を行っています。
Carbon Nanostructure
  • Carbon onions
  • Carbon nanotubes
Carbon-coated Magnetic Nanoparticles
  • Carbon onions
  • Carbon nanotubes

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