<第1回公開講演会>
この度,神戸大学にて,岡田 努 先生の公開講演会を開催いたします。
岡田先生は,「青年期の対人関係と自己概念」に関する心理学的研究を専門としておりまして,この領域の第一人者です。
関心のある方は,どなたでも参加は自由です。
周りの方々にも是非お声をおかけ下さい。
多くの皆様のご参加をお待ちいたしております。
日 時: 2002年2月22日(金)16:30〜18:30
場 所: 神戸大学発達科学部 A615室
題 目: 現代青年の対人関係と自己概念の特質
講演者: 岡田 努(金沢大学文学部 人間学科心理学講座)
司 会: 谷 冬彦(神戸大学発達科学部 発達基礎論講座)
●講演概要
従来,青年期は,形式的操作の完成にともなって,内省が深まり,内面的な苦悩や強い感情の揺れ(疾風怒濤)にさらされるとともに,親密な友人関係を通して,これらの内面的体験を共有する時期である,とされてきた。
一方,社会学や精神医学などを中心として,こうした「青年らしい青年像」では説明できない若者像が記述されるようになってきている。
今回は,まずそうした社会学や精神医学などからの「現代の若者」についての記述を紹介し,果たしてこれらが,心理学において実証されうるものなのか,をいくつかの研究を通して紹介したい。
第一に青年期の友人関係の取り方において「現代的」とされる様々な言説に合致するものであるのか?,またそれらの青年群は,自己像,自己の内面への関わり方などについてどのような特徴を持つのか,等について行った研究を紹介する。
第二に「援助交際」などに代表される新しいタイプの非行が問題となってきており,これらの逸脱行動に関する青少年の意識の在り方についての調査研究を紹介したい。
こうしたテーマは青年期研究においても,十分市民権を得たものとはいえず,その方法論も必ずしも確立されたものではないが,様々な現象を量的に押さえていくことで,少しでも,青年期の心理学理論を,現実の青年に近づけることができれば幸いと考えている。
●講演者略歴
1983.3:学習院大学文学部心理学科 卒業
1985.3:立教大学文学研究科博士課程前期課程 心理学専攻 修了
1991.3:東京都立大学人文科学研究科博士課程 心理学専攻単位取得退学
1991.4:新潟大学教育学部 助手
1992.4:新潟大学教育学部 講師
1994.4:新潟大学教育学部 助教授
1998.4:立教大学文学部 学校・社会教育講座 助教授
2000.9:金沢大学文学部 人間学科心理学講座 助教授(現在に至る)
●主要研究業績
岡田 努 1987 青年期男子の自我理想とその形成過程 教育心理学研究,35,
116-121.
岡田 努・永井 撤 1990 青年期の自己評価と対人恐怖的心性との関係
心理学研究,60,386-389.
岡田 努 1993 現代の大学生における「内省および友人関係のあり方」と
「対人恐怖的心性」との関係 発達心理学研究,4,162-170.
岡田 努 1995 現代大学生の友人関係と自己像・友人像に関する考察
教育心理学研究,43,354-363.
岡田 努 1999 現代大学生の認知された友人関係と自己意識の関連について
教育心理学研究,47,442-449.
主 催 :神戸大学 人間科学研究会
HuSSトップページへ戻る