<HuSS 第5回研究会>
日時 : 2002 年 1 月 30 日(水) 16:00〜18:00
場所 : 神戸大学発達科学部 F254
話題提供者: 相澤 直樹 (神戸大学大学院総合人間科学研究科 発達臨床論講座)
テーマ : 自己愛的人格における誇大さと傷つきやすさ
司会 : 谷 冬彦 (神戸大学発達科学部 発達基礎論講座)
○発表要旨
本研究では,誇大特性と過敏特性からなる自己愛的人格項目群を作成し,自己愛的人格の構造を検討した.まず,67項目からなる自己愛的人格項目
群を作成し,YG性格検査の10下位尺度とともに一般の大学生・大学院生545名に実施した.得られたデータにプロマックス回転による因子分析を
施したところ,“対人過敏”,“対人違和感”,“自己誇大感”,“自己萎縮感”,“賞賛願望”,“権威的操作”,“自己愛的憤怒”の7因子が抽出された.その後,これらの下位尺度について,項目−総得点間相関とα係数を用いてその内的一貫性を検討した.また,YG性格検査との関係を検討したところ,その併存的妥当性が確かめられた.次に,共分散構造分析を用いて自己愛的人格の潜在変数に関するモデルを検討した.モデル1は,2つの独立的な潜在的因子である“誇大特性”“過敏特性”が別々
に誇大特性と過敏特性を規定するという仮説から構成された.モデル2は,“誇大自己イメージ”と“萎縮自己イメージ”の2極性から“自己愛的傷つき易さ”が生じるという潜在的因果関係により構成された.分析の結果,両モデルにおいてすべての因果係数は有意な値を示したが,十分な適合度(GFI)を示したのはモデル2のみであった.以上の結果について,誇大特性と過敏特性を含む自己愛的人格を包括的にとらえる視点から考察を行
った.
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