<HuSS 第14回研究会>
日時 : 2004 年 6 月 17 日(木) 16:30〜18:30
場所 : 神戸大学発達科学部 F254
テーマ : 日本的自己愛の構造に関する研究
話題提供者: 稲垣実果(神戸大学総合人間科学研究科 D1)
○発表要旨
これまでの自己愛についての多くの実証的研究は,自己愛人格目録尺度
(以下NPIと略記)が代表的な測定尺度として用いられてきた。NPIによって
測定される自己愛人格は,欧米的な自己観に基づいた誇大性・自己主張性
が,中心的な概念になっている。しかし,日本における自己観は欧米に比べ
関係志向的であり,他者規定的な形をとる自己愛の存在も考えられる。
日本人の心性の鍵概念とされるものとして,「甘え」の概念(土居,1971,
2001)がある。本研究では「甘え」と関連した,より対他性の高い自己愛の
存在があると考え,「屈折的甘え」「配慮の要求」「許容への過度の期待」
の3つの概念に基いた「日本的自己愛尺度」を作成した。そして,探索的
因子分析,確認的因子分析によって,上記の3因子構造を確認した。
また,日本的自己愛は対人恐怖的心性,被害妄想的心性とも関連があること
が示された。
HuSSトップページへ戻る