<HuSS 第10回研究会>

日時   : 2002 年 12 月 3 日(火) 17:00〜19:00
場所   : 神戸大学発達科学部 F254
話題提供者: 板野 光男(神戸大学大学院総合人間科学研究科 臨床心理学コース M2)
         谷  冬彦(神戸大学発達科学部 発達基礎論講座)
テーマ  : 自己愛人格の構造に関する研究

○発表要旨
「自己愛」という言葉は,本来の意味合いである「自分自身を愛すること」 (小此木, 1981)から離れて,「自分を過剰に賛美した愛し方」という意味で 用いられていることが多い。しかし,両者が明確には分かれておらず,さらに 多様な意味合いを含んで用いられているところに自己愛理解への困難さがある。 そこで本研究の予備調査では,自己愛を「不安定かつ脆弱な自己と,それを補 おうとする自己への心的関心の集中を特徴とする精神構造」と定義し直し,自 己愛の傷つきやすさを含めた尺度を新たに作成した。各下位尺度の合成得点を 算出し,因子分析を行った結果,自己愛には「誇大性」と「過敏性」という2 つの側面が存在し,両側面は無相関ではあるが,「注目・賞賛欲求」がその仲 立ちをしていることが示唆された。
上記の板野の結果に加えて,谷は自己愛人格の次元を用いて,自己愛人格の類型化を行った。自己 愛人格の質的な違いについて,類型論的観点から分析したデータを報告する。



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