※本ページは東海大学の公開シラバスをもとに作成しています。
基本情報
- 2021年度 春学期・秋学期
- 授業科目名:心理学統計法(統計学)
- テーマ心理統計の基本となる記述統計・推測統計について理解する
- キーワード:統計法,データ分析
授業要旨または授業概要
心理学の研究においてデータを分析するために必要な統計学の基礎知識を学習します。心理学の研究を行う上で統計学は避けることができません。また,『統計リテラシー』を獲得することは,研究以外の場面に置いても,世の中にはびこるデータを正しく理解し騙されないために重要なスキルの一つです。
本講義でははじめに心理学と統計学の関係、なぜ研究する上で統計が必要なのかを理解し、記述統計・推測統計学の基礎を身につけていきます。そのなかで、人や集団、社会について、データに基づいて理解できる力を身につけていきます。
学修の到達目標
本科目は、心理・社会学科のディプロマ・ポリシーのうち、特に「現代社会の仕組みとそこで生きる人間の課題を学び,そこでの課題解決に向けて,各専門分野について自らの問題意識に即して理解する基礎的能力」(知識・理解)を身につけることを目標とする。具体的な到達目標は、以下の通りである。
- 心理学研究における統計学の必要性・重要性を理解する
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すべての統計の基礎となる、記述統計・推測統計について説明できるようになる
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記述統計量・要約統計量を算出したり,その結果をもとに統計的に物事を考えられるようになる
授業計画
◆スケジュール
※シラバスは,各自手元で確認できるようにしておいてください。
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授業はすべてTeams上でのライブ授業形式で行います。ただし,すべての授業は録画してStreamにアップロードするので,リアルタイムで参加できなくても特に問題はありません。
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予習および復習を毎回合わせて200分行う前提で,基本的に演習を中心とした授業を行います。(この200分の根拠については授業の初回で説明します。)
この授業では予習(自学自習)を重要視するため,おおよそ予習150分,復習50分くらいのバランスになるように予習の比重を高めています。場合によってはほとんど予習に充てられるかもしれません。毎回,演習問題を用意しているので,問題を解きながら理解を確認していってください。
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下記のスケジュールは公認心理師科目の標準シラバスからするとかなり少ないですが、全ての統計的分析手法の基本となる部分なので、この授業の内容は理解できていないとその先の学習も困難になるでしょう。
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ガイダンス:心理統計学の必要性
なぜ心理学に統計が必要なのか,「心理学という学問がやろうとしていること」をもとに説明してみます。
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データの性質
心理学で扱うデータに登場する変数のタイプ(離散変数・連続変数など)について学びます。
Keyword: 尺度水準・変数変換・棒グラフ・ヒストグラム
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1変数の記述統計:代表値
1変数の性質を要約する方法として、平均値・中央値・最頻値などの代表値と,偏差や分散・標準偏差といった散布度の指標を学びます。
Keyword:
代表値(平均値・中央値・最頻値)散布度(偏差・平均偏差・分散・標準偏差・四分位範囲)
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標準化
異なるスケールのデータを比較するなど、統計学では要所要所で登場する標準化の方法と、その意味について学びます。
Keyword: 標準化・偏差値
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2変数の記述統計:散布図と共分散
2変数の関係性を視覚的にチェックするための散布図および関係の強さを表す指標として、共分散を学びます。
Keyword: 散布図・共分散
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2変数の記述統計:相関係数
量的な2つの変数の関係性の指標である相関係数について学びます。
Keyword: 相関係数
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2変数の記述統計:連関係数・回帰
質的な2つの変数の関係性の指標である連関係数がもつ性質を学びます。
相関と同様に2変数の関係性を表すための方法である回帰分析について学びます。
Keyword: 連関係数・回帰分析
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推測統計:母集団と標本
推測統計を学ぶ上で非常に重要な「母集団」と「標本」という考え方に触れます。
※8回の内容は他の回と比べると抽象的でわかりにくいですが、あらゆる推測統計の基礎となる内容なので、特に確実に理解したいところです。
Keyword: 母集団と標本・母集団分布
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推測統計:正規分布
統計学で非常に重要な、また心理データでも頻繁に登場する正規分布について学びます。
Keyword: 正規分布・確率(密度)・標準正規分布
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推測統計:標本分布と標準誤差、確率分布
母数を推定するために、標本統計量の分布を考えます。
正規分布以外の確率分布もいくつか紹介します。
Keyword:
標本分布・標準誤差・確率分布(二項分布・ポアソン分布)・中心極限定理・大数の法則
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推測統計:点推定と不偏性
推測統計の理論的な根拠となる不偏性という考え方を学びます。
Keyword: 点推定・不偏性・不偏分散
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推測統計:区間推定、信頼性と妥当性
母数を区間推定する方法について学びます。
心理データの分析でよく問題となる信頼性と妥当性の考え方を学びます。
Keyword: 区間推定・信頼性・妥当性
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統計的仮説検定の考え方
あらゆる統計的仮説検定の背景にある「帰無仮説・対立仮説」「有意水準」「検定統計量」などの概念を学びます。
Keyword:
統計的仮説検定・帰無仮説と対立仮説・検定統計量・有意水準・p値・両側検定と片側検定・検定力
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統計的仮説検定の例
統計的仮説検定の最も基本的な例を考えます。
Keyword: 二項分布の検定・標準正規分布の検定
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レポート
◆予習・復習
【予習:150分~】
- 教科書を読む
- ネット上の記事や動画を見て内容への理解を深める
- 演習問題を解いてみる
- わからないことは(基本オープンで)質問する
- 課題を提出する→これが出席確認の役割を果たします
【授業時間】
- 頂いた疑問・質問について解説していきます
- 特に質問などがなければ演習問題の解説をします
※授業は録画するので、リアルタイムで参加できなくても大丈夫です
→授業はすべて録画していきます。
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ガイダンス:心理統計学の必要性
(予習:10分)シラバスに目を通しておく
(復習:30分)「心理学」「統計学」の位置づけを理解し,その必要性を整理しておく
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データの性質
(予習:150分)尺度水準・変数変換・棒グラフ・ヒストグラムについて教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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1変数の記述統計:代表値
(予習:150分)代表値・散布度について教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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標準化
(予習:150分)標準化・偏差値について教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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2変数の記述統計:散布図と共分散
(予習:150分)散布図・共分散について教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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2変数の記述統計:相関係数
(予習:150分) 相関係数について教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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2変数の記述統計:連関係数・回帰
(予習:150分)連関係数・回帰分析について教科書・配布資料等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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推測統計:母集団と標本
(予習:150分)母集団と標本・母集団分布について教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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推測統計:正規分布
(予習:150分)正規分布・確率(密度)・標準正規分布について教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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推測統計:標本分布と標準誤差、確率分布
(予習:150分)標本分布・標準誤差・確率分布(二項分布・ポアソン分布)・中心極限定理・大数の法則について教科書・配布資料等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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推測統計:点推定と不偏性
(予習:150分)点推定・不偏性・不偏分散について教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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推測統計:区間推定、信頼性と妥当性
(予習:150分)区間推定・信頼性・妥当性について教科書・配布資料等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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統計的仮説検定の考え方
(予習:150分)統計的仮説検定について教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。
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統計的仮説検定の例
(予習:150分)二項分布の検定・標準正規分布の検定について教科書等を読み,演習問題に回答する
(復習:50分~)解説授業を踏まえ復習し,知識を定着させる。レポートを作成する。
履修上の注意点
- この科目は、公認心理師養成科目です。
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本授業は文系の初学者を対象としたものです。数理統計の理論的な側面を学習したいという学生は,別の授業を履修してください。
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先に履修するべき科目は特にありません。心理学の研究を理解する上で統計学的な基礎を理解していることは重要なので、本授業を受講したあとで心理学研究法や心理学測定演習、心理学実験、多変量解析、質問紙調査演習などを受講すると良いでしょう。
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基本的に,学習のペースは学生個人に委ねられます。それなりに自主性をもって取り組む意志が無い場合には確実についていけないので,覚悟をもって受講してください。
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また,自習では必ず分からないところが出てくるはずです。教員への質問はいつでも可能なので,分からないときに分からないことをそのままにするのではなく,きちんと質問するようにしてください。
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授業資料の配布および授業のライブ配信はTeamsを通して行います。授業開始が近づいてきたら授業支援システムを通して連絡するので,見逃さないように気をつけてください。
成績評価の基準および方法
最終レポート100%です。演習問題および授業で扱ったトピックを発展させた内容に関して,自分で調べてレポートを作成してもらう予定です。
点数に応じて以下のように評価します。
90点以上:S
80点以上:A
70点以上:B
60点以上:C
59点以下:E
出席点はありませんが,毎回の課題提出によって出席調査の代わりとします。
欠席回数が全授業回数の2/3以上の場合は/になります。
教科書・参考書
区分 |
書名 |
著者名 |
発行元 |
定価 |
教科書 |
よくわかる心理統計 |
山田剛史・村井潤一郎 |
ミネルヴァ書房 |
3024 |
参考書 |
ウォームアップ心理統計 |
村井潤一郎・柏木惠子 |
東京大学出版会 |
2160 |
参考書 |
心理統計学の基礎 |
南風原朝和 |
有斐閣アルマ |
2376 |
その他の教材
基本的には教科書に沿って授業を行います。教科書にかかれていない一部内容については講義スライドを用意しています。演習問題と解説スライドはOpenLMSにアップロードしていきます。