※本ページは東海大学の公開シラバスをもとに作成しています。


基本情報

授業要旨または授業概要

心理学の研究においてデータを分析するために必要な統計学の基礎知識を学習します。心理学の研究を行う上で統計学は避けることができません。また,『統計リテラシー』を獲得することは,研究以外の場面に置いても,世の中にはびこるデータを正しく理解し騙されないために重要なスキルの一つです。 本講義でははじめに心理学と統計学の関係、なぜ研究する上で統計が必要なのかを理解し、記述統計・推測統計学の基礎を身につけていきます。また,ExcelおよびSPSSを用いて簡単なデータ分析の演習も行います。同時に、人や集団、社会について、データに基づいて理解できる力を身につけていきます。

学修の到達目標

本科目は、心理・社会学科のディプロマ・ポリシーのうち、特に心理学における統計法の基礎的な知識を身につけるこを目標とし、科学的なものの考え方を修得することが目標である。具体的な到達目標は、以下の通りである。

授業計画

◆スケジュール

※シラバスは,各自手元で確認できるようにしておいてください。 授業のスピードは受講する学生の理解度などによっても多少変動しますが、最低限のラインとして以下の内容は必ず学習します。ただし予習および復習を毎回各100分行う前提であればもう少し早いペースで進む可能性が高いです。 下記のスケジュールは公認心理師科目の標準シラバスからするとかなり少ないですが、全ての統計的分析手法の基本となる部分なので、この授業の内容は理解できていないとその先の学習も困難になるでしょう。

  1. ガイダンス:心理統計学の必要性
  2. データの性質
    心理学で扱うデータに登場する変数のタイプ(離散変数・連続変数など)について学びます。
  3. 1変数の記述統計:代表値
    1変数の性質を要約する方法として、平均値・中央値・最頻値などの代表値を学びます。
  4. 1変数の記述統計:散布度
    代表値と同様に、1変数の性質(散らばり)を要約するために、偏差や分散・標準偏差といった指標を学びます。
  5. 標準化
    異なるスケールのデータを比較するなど、統計学では要所要所で登場する標準化の方法と、その意味について学びます。
  6. 2変数の記述統計:共分散と相関係数
    2変数の関係性を表す指標として、共分散および相関係数について学びます。
  7. 2変数の記述統計:相関と回帰
    相関係数がもつ性質を学びます。
    相関と同様に2変数の関係性を表すための方法である回帰分析について学びます。
  8. 2変数の記述統計:連関
    質的な2つの変数の関係性の指標である連関係数について学びます。
  9. 推測統計:母集団と標本
    推測統計を学ぶ上で非常に重要な「母集団」と「標本」という考え方に触れます。
    ※9回、10回の内容は他の回と比べると抽象的でわかりにくいですが、あらゆる推測統計の基礎となる内容なので、特に確実に理解したいところです。
  10. 推測統計:母集団分布
    推測統計学の前提にある「母集団分布」の考え方を学びます。
  11. 推測統計:正規分布
    統計学で非常に重要な、また心理データでも頻繁に登場する正規分布について学び ます。
  12. 推測統計:標本分布と標準誤差、確率分布
    母数を推定するために、標本統計量の分布を考えます。
    正規分布以外の確率分布もいくつか紹介します。
  13. 推測統計:点推定と不偏性
    推測統計の理論的な根拠となる不偏性という考え方を学びます。
  14. 推測統計:区間推定、信頼性と妥当性
    母数を区間推定する方法について学びます。
    心理データの分析でよく問題となる信頼性と妥当性の考え方を学びます。
  15. レポート

◆予習・復習

【復習:100分】授業の内容に関して用意する演習問題を宿題として解いてきておいてください。次の回のはじめに解説を行います。授業で扱った数学的な知識・内容は,復習時間において教科書や参考書等を参照したり,ネットでいろいろな人が解説しているものを読んで計算を繰り返して慣れるようにしてください。

【予習:100分】授業は「初めてのことを学ぶ場所」というよりは「自分で教科書を読んでも理解できなかったところの解説を聞く場所」くらいの気持ちで望めると良いと思います。授業の前に教科書を読んで自分で理解しようとしてみてください。

  1. ガイダンス:心理統計学の必要性
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…変数のタイプについて教科書を読んでおく。
  2. データの性質
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…平均値・中央値・最頻値などの代表値について教科書を読んでおく。
  3. 1変数の記述統計:代表値
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…偏差や分散・標準偏差について教科書を読んでおく。
  4. 1変数の記述統計:散布度
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…標準化の方法とその意義について教科書を読んでおく。
  5. 標準化
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…共分散と相関係数について教科書を読んでおく。
  6. 2変数の記述統計:共分散と相関係数
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…相関と回帰について教科書を読んでおく。
  7. 2変数の記述統計:相関と回帰
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…連関係数について教科書を読んでおく。
  8. 2変数の記述統計:連関
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…推測統計、母集団と標本について教科書を読んでおく。
  9. 推測統計:母集団と標本
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…母集団分布について教科書を読んでおく
  10. 推測統計:母集団分布
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…正規分布について教科書を読んでおく
  11. 推測統計:正規分布
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…標本分布と標準誤差、確率分布について教科書を読んでおく
  12. 推測統計:標本分布と標準誤差、確率分布
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…点推定と不偏性について教科書を読んでおく。
  13. 推測統計:点推定と不偏性
    復習…教科書や参考書等を参照しながら演習問題を解いておく。
    予習…区間推定、信頼性と妥当性について教科書を読んでおく。
  14. 推測統計:区間推定、信頼性と妥当性
    復習…区間推定、信頼性と妥当性についてまとめておく。

履修上の注意点

成績評価の基準および方法

最終レポート100%です。授業で扱った内容について「完璧な解説」を作ってもらう予定です。
点数に応じて以下のように評価します。
90点以上:S
80点以上:A
70点以上:B
60点以上:C
59点以下:E
点数にかかわらず,欠席回数が4回以上の場合は/になります。

教科書・参考書

区分 書名 著者名 発行元 定価
教科書 よくわかる心理統計 山田剛史・村井潤一郎 ミネルヴァ書房 3024
参考書 ウォームアップ心理統計 村井潤一郎・柏木惠子 東京大学出版会 2160
参考書 心理統計学の基礎 南風原朝和 有斐閣アルマ 2376

その他の教材

基本的には教科書に沿って授業を行います。教科書にかかれていない一部内容については講義スライドを用意しています。演習問題と講義スライドはオンラインにアップロードする予定です。どうしても紙で配布してほしい人は初回講義の時に教えてください。