■報告者(共同報告の場合は代表者)
□氏名:権藤眞由美
■報告題目(40字以内):「ヴェトナムハノイILセンターの現状と課題」
■発表要旨(2,000字以内)[註、文献、図表等を含む]:

社会主義国であるヴェトナムでは、団体をつくることは容易なことではない。2008年、ハノイ障害者協会(DPハノイ)と障害者団体BF(Bright Future)、NCCD(障害団体調整委員会)の協力のもとで、ハノイILセンターが開設された。ハノイILセンターのメンバーは、ヴェトナムの慣習などに照らし合わせつつ、障害者の生活に添った「自立生活」を営んでいるのではないかと考える。(中西,2008)によれば、「IL運動は途上国のものか否かとなどという議論はだんだんと古いものとなり、先進国での技能を応用する妥当性が論じられ、途上国経験に立脚したILを主張する論客が登場することになるであろう」と論じている。現在までにヴェトナムに関する論客はごくわずかである。日本国内でも自立生活の多様性について岩田は以下のように記している。「自立生活のスタイルは全国一律にする必要などなく、地域特性や独自の社会資源をもっと評価し、これらを活かした自立生活をリクエストしていくことが求められていると思う。」(岩田,2012)また、堀は、九州沖縄には「共同体的な関係」が色濃く残っていると言い「「共同体的な関係」は、個の自立の阻害要因でもあり、多数者が少数者の生活習慣や価値を排除したり、同化を強要させたりしてきた。一方で、「共同体的な関係」は共生の感受性の母胎でもある。」という。現在も「共同体的な関係」が一般的なヴェトナムにおいてハノイILセンターメンバーの「自立生活」の現状及び課題について報告を行う。
【参考文献】
石川准・長瀬修,『障害学への招待』,2009,明石書店.
岩田直子,「自立生活の多様性を求めて――沖縄県宮古島市を事例にして」,堀正嗣編,2012,『共生の障害学――排除と隔離を越えて』,明石書店.
角岡伸彦,『カニは横に歩く――自立障害者たちの半世紀』,2010,講談社.
中西正司「World Now ベトナム初のILセンターオープン」,日本障害者リハビリテーション協会,『月間ノーマライゼーション障害者の福祉』, 2009,教宣文化社.
中西由起子,「アジア・アフリカの障害者」,福祉労働編集委員会,1997,『季刊福祉労働第76号』,現代書館.
中西由起子,「途上国での自立生活運動発展の可能性に関する考察」,森荘也編,2008,『障害と開発』,アジア経済研究所.
寺本実,「ベトナムの障害者の生計――外部環境とのかかわりについての事例調査を通した考察」,森荘也編,2010,『途上国障害者の貧困削減――かれらはどう生計を営んでいるか』,岩波書店.
全国自立生活センター協議会編,『自立生活運動と障害と文化――当事者からの福祉論』,2001,現代書館.