We Wish You
Happy Merry Christmas
And
A Happy New Year !


 早いもので、ウィーンに来て早くも半年が過ぎようとしています。ウィーン市内だけではなく、インスブルックのアルプス、ザルツブルクやドナウ川下りなどウィーン以外のオーストリアも楽しむことができました。最近では、クリスマス・マーケットやオペラ、バレーなど冬の楽しみをようやく覚えてきました。イルミネーションが輝く旧市街の散策は楽しいものです。滞在もあと3ヶ月ほどとなり、イースターを待たずに帰国しなければいけないのが残念です。そろそろウィーンでの成果をまとめなければいけないのかと頭を悩ます頃となってしまいました。
 1月1日のEuro導入という大実験を経験した後、3月8日にウィーンを出て、9日に帰国の予定です。皆様のますますの御健勝をお祈り申し上げますとともに、新年もこれまでに変わらずよろしくお願いいたします。

                                             

2001年12月 ウィーンにて
 吉井 昌彦

ウィーン便り 3 (2001年12月3日)

 ウィーンは、日中も0度を越えない、日本で言えば真冬日の氷点下の世界になってきました。霧も出て、すっきりしないお天気が続くようです。

 冬の楽しみの一つは、音楽鑑賞なのでしょうか。今シーズンからウィーンフィルの音楽監督に就任した小澤征爾が、先月、楽友協会に初登場しました。来年のニューイヤーコンサートはもちろん小澤が指揮します。他のチケットを探すため、楽友協会のホームページを眺めていたら、11月22日の立ち見が残っていたので、行ってきました。開場後直ちに立ち見の最前列は埋まってしまったのと、2時間立ちっぱなしは大変なので、最後尾の壁にもたれて聴いていました。前に1m80〜90cmのお兄さんが何人か立ってくれたので、指揮風景はつま先立ちをしてかろうじて垣間見ることができるだけでしたが、トレードマークだった白のハイネックセーターではなく、蝶ネクタイでの演奏というのが印象的でした。それと、音楽志望の学生さんが立ち見のほとんどかと思っていましたが、年配の人も結構いたのは驚きでした。

 日本であまり見ないのが、このクラシックコンサートの立ち見。96シリング(1シリング=8円弱)でした。そしてもう一つ、子供割引です。オペラ座では、200人の枠付きですが、3,500シリングの一番高い席を含めてどの席でも一律200シリングの、フォルクスオーパーは75%引きの(900シリングの一番高い席が225シリングで)子供料金があります。しかも、15歳まで子供扱い。というわけで、どのようなオペラ、オペレッタを見に行っても必ず子供がいます。先日聴きに行った「ワルキューレ」でも、私の前には小学校2年生くらいの男の子が座っていました。オペラ座は、今シーズンから各席にスーパーインポーズの液晶が付いたので、大人でも液晶を見ながら聞いている難しいオペラですが、この値段なら子供も連れて行こうかなという気になるのでしょう。みんな身を乗り出して、静かに見入っています。楽友協会とコンツェルトハウスでも、月に2度程度、子供向けのコンサートがあります。こうやって、次世代の音楽ファンを育てていく姿勢には感心します。

 先日、ショッテントァ駅から比較経済研究所へ行く途中に、ウィーンがまだ城壁で囲まれていた頃の跡があるので初めて上がってみました。ふと見ると、ベートーベンが住んだ家がひっそりとありました。家に帰って、色々なパンフレットを眺めてみましたが、この家のことは出ていません。ザルツブルクには負けますが、ウィーンの名物はモーツァルトだし、ベートーベンの記念館(遺書を書いた家など)は別の所にもあるとは言え、第4交響曲などを作曲したとあるので、城壁の下に標識くらいあってもいいのでしょうが。とにかく、大作曲家が少し住んだだけでは、話題にもならないほど、歴史的遺産はたくさんあるということなのでしょう。(注)

 このようにウィーンは、古い言い方ですが、やはり「音楽の都」だと感じさせてくれます。在留日本人の半分くらいは音楽関係の留学生のようです。

 滞在は残り3ヶ月ほどになりました。スキーが出来ない私としては、初心者ながらに、音楽(とホイリゲ)を少し楽しんで帰りたいと思います。

 日照不足でビタミンDが不足しているのか、運動不足なのか、家が寒いのか、こちらに来てからよく風邪をひきます。1ヵ月半に1回はひいているでしょうか。今もゴホゴホやっています。熱が出ないのが助けです。皆さんも寒い中、忘年会シーズンでお忙しい頃かと思いますが、お体に気をつけてお過ごしください。それでは失礼いたします。

(注) ベートーベンはウィーンで68回も引っ越したそうで、ここは建物が現存している幾つかの一つで、パウクヴァラティ・ハウス(記念館)として公開されています。
    詳しくは、http://www.music-vienna.com/information/beethoven.html を参照。