ウィーン便り 1 (2001年9月8日)
吉井です。 皆さんにはお元気にお過ごしのことと存じます。 ご存知のように、今年度は文部科学省在外研究員という名前でウィーンで暮らしています。 日本を5月中旬に出て、そろそろ4ヶ月。ウィーンに着いてからでもそろそろ3ヶ月が過ぎようとしています。在外研究の期間も残り半年になりました。 家族が7月中旬にこちらに来てからはバタバタと過ごす毎日が続いています。日本からの宿題が8月中旬で終わってからはなんとなく気の抜けた日を過ごしています。ウィーン比較経済研究所というところにお世話になっているのですが、部屋も与えられておらず、研究所のパソコンでは日本語は処理できませんので、家で仕事をしていますので、研究所には1週間に1回かせいぜい2回顔を出す程度。このままではカウンターパートのHunyaに本当に吉井は何をしに来たんだろうと思われそうで、ちゃんと勉強しなければな〜と考え始めているところです。 8月下旬にはゼミ生第1弾として(と言っても今のところそれに続く話はありませんが)浜中さんがウィーンにやって来ました。家内の友人がその後に来て、来週は大学院の先輩が来ます。そして家内の別の友人が月末に来ます。1990年から2年間ルーマニアで暮らしていた時には、私と家内の友人がそれぞれ1人ずつ来ただけだったのにと思い起こすと、やはりウィーンは日本人から見るといい所なのかもしれません。 家はウィーンの市内中心から北西に市電とバスで40分ほど乗り継いだところにあります。家の前はブドウ畑。ホイリゲというワイン居酒屋もたくさんあります。(家の写真をHPに載せています。)研究所の人にどうしてそんな遠いところにといわれたのですが、西神から大学には1時間20分かかるし、ウィーンでの1月の交通費(560シリング、4500円弱で市内乗り放題)は神戸の3日分。毎日行くわけでなし、日本人からすれば軽いものです。 今年の日本はたいへん暑かったようですが、ウィーンは冷夏でした。先ほど書いたように、家はウィーンの郊外にあり、しかも1階なので、けっこう寒く、長袖のセーターを着て過ごす日が続きました。9月に入ってからはもう秋です。家の外に置いてある温度計は13〜15度というあたりを指しています。一昨日から軽くですが、暖房を入れ始めました。ご存知のように、私はたいへんな寒がりなので、これからの冬が恐怖です。 ウィーンで結構いやなところは、買い物に行ったときにお店がお客を信用していないこと。多くのスーパーでは、万引き対策で、入り口に柵がしてあって、入り口からは出れないようになっています。大きなスーパーでは、レジでカバンを開けて、何もとってないよ、と証明しなければいけません。子供のキックボードが買って数日で壊れたので、お店に修理に持っていったときには、見るからにお店の外で使った跡があるのに、念入りに点検して、最後に万引き防止用のアラームを通して、やっと返してくれました。日本の「お客様は神様です。」が懐かしいです。 と言って、あらゆる所で人を信用しないのかというとそうでもなく、例えば、公共交通機関には改札口がありません。時々、検札があって、切符を持っていないことが見つかると、1か月分の定期代を取られることになっています。しかし、毎日、バスやトラムや地下鉄を利用しますが、(この10年間にウィーンを訪れた時を含めて)1度も検札にお目にかかったことがありません(注)。5月にハンガリーに1週間いた時は3〜4回検札に会いましたし、昔、初めてフランクフルトを訪問した時にも、しょっぱなの電車で検札が来ました。でも、ウィーンの人は検札対策でみんなまめに切符に日付の刻印を入れています。 こんな風に、ウィーンはとってもファジーです。 そして、私にとって最大のファジーだったのは、(6ヶ月以上オーストリアに滞在するときに必要な)滞在許可をもらう時でした。手続き開始が今年の1月。結局、日本でもらえずに、こちらに来て、住むところも見つけた後、ようやく滞在許可がもらえることになったのですが、日本で言えば入国管理事務所の担当官が、これは本来国外で出すものだからオーストリア国外に出てとって欲しいと言われました。ところが、この話を在東京のオーストリア大使館の人(日本人)にしたら、ほぼ同じような条件でオーストリアに入った別の大学の先生は、オーストリアで滞在許可を出せると言われたとか。そして、大使館の領事のオーストリア人が、「オーストリアって面白い国だよね。」と言ったとか。 こんな国ですが、11月11日にワインの新酒(ホイリガー)が出ます。まちがいなく、ボジョレーヌーボーよりおいしいです。今年は天気がよくなかったので、おそらくブドウの生育がよくなく、大きな期待は出来ないところですが、それでもホイリガーの出荷が待ち遠しいところ。 そして、何よりも、音楽の都でしょうか。経済学部のオペラ好きの某先生からは、11月3日の「ワルキューレ」のチケットを取るようにとの厳命が下っています。 家は中心よりちょっと遠いですが、その分広めで、ベッドも余っています。ウィーンに行って見たいと思う人。ぜひお越しをお待ちしております。 つまらない話を長々書いてしまいました。また、こんなメールをお送りするかもしれませんが、その時もご寛容を。それではこの辺で失礼します。 (注)12月に1度だけ地下鉄の中で検札に会いました。前に座っていたお兄さんが切符を持っていなくて、電車からおろされました。 |
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