神大整形マーク 神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)神戸大学マーク

第215号(2022年10月号[22/10/1発行])

MTX皮下注射製剤メトジェクト®皮下注シリンジが承認されました

 葉酸代謝拮抗薬メトトレキサート(methotrexate: MTX) は、関節リウマチ治療のアンカードラッグ(中心的薬剤)であり、治療ガイドラインで第一選択薬に位置づけられています。日本では1999年にMTXの経口製剤(先行品商品名:リウマトレックス®、製造販売:ファイザー)が承認されていますが、本年9月に、関節リウマチの治療薬として自己投与可能なMTX皮下注射製剤であるメトジェクト®皮下注(一般名:メトトレキサート、製造販売:日本メディック、販売:エーザイ)の7.5mgシリンジ0.15mL、10mgシリンジ0.20mL、12.5mgシリンジ0.25mL、15mgシリンジ0.30mLの4製剤が承認されました。
 メトジェクト®の剤形は用量が違っても共通ですが、外筒のラベルの端とつばもとが、7.5mgは赤、10mgは緑、12.5mgは水色、15mgは紫に色分けされています。メトジェクト®は、在宅自己注射が可能で、新医薬品に課される最大14日までの処方日数制限の対象となりません。
              メトジェクト剤形写真
            (写真はメトジェクト®皮下注7.5mgシリンジ)

抗TNFαナノボディ®製剤ナノゾラ®皮下注シリンジが承認されました

 抗リウマチ生物学的製剤として日本では現在、8種類のバイオ先行品と3種8剤のバイオ後続品が承認されていますが、先行品のうち5種類と全ての後続品は、炎症性サイトカインであるTNFαを治療標的としています。本年9月に、独自の構造を持つ抗TNFα製剤である抗TNFαナノボディ®製剤ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え)、製造販売:大正製薬)が承認されました。ナノゾラ®の適応症は、既存治療で効果不十分な関節リウマチであり、用法用量は、通常、成人には1回30mgを4週間の間隔で皮下投与します。
 ナノボディ®(シングルドメイン抗体)とは、ラクダ科の動物で生成される軽鎖のない重鎖抗体の抗原結合部位を分離したものです。オゾラリズマブは国内初のナノボディ®製剤となります。

イグラチモドのオーソライズドジェネリックが承認されました

 イグラチモド(先行品商品名ケアラム®、製造販売:エーザイ)は日本で開発された従来型の疾患修飾性抗リウマチ薬で、2012年から使用されていますが、特許が切れたため、今年の始めから後発医薬品(ジェネリック医薬品)が登場しています。本年8月に、ケアラム®錠25mgのオーソライズドジェネリックであるイグラチモド錠25mg「あゆみ」(製造販売:あゆみ製薬)が新たに承認されました。オーソライズドジェネリック(authorized generic: AG)とは、「許諾を受けたジェネリック医薬品」という意味です。AGは先発医薬品メーカーから許諾を得て製造され、有効成分だけでなく、原薬・添加物・製造方法なども先発医薬品と同一であることから、通常のジェネリックにおいて懸念される製法や添加物の違いによる薬効や副作用の懸念がないという利点があります。

 上記の3種類の製剤が薬価収載されて発売が開始されましたら、薬価ならびに当院での採用の予定については、改めて当リウマチだよりでお伝えさえていただきます。


今月からインフルエンザワクチンの接種が始まりました

 10月3日から今シーズンのインフルエンザワクチンの接種が当院でも開始されます。接種を希望される当院に通院中の方は、主治医までお申し出ください。

整形外科リウマチ教室のご案内

 神戸大学整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中でより良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております(開催週は月により異なりますので予めご確認ください)。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
10月のリウマチ教室では、栄養管理部の齋藤管理栄養士から、リウマチの食事療法に関してお話させていただきますので、ぜひ、ご参加ください。
オンラインでのリウマチ教室は、通常のリウマチ教室への来院が困難な遠方にお住まいの方でも、パソコンあるいはスマートフォンからインターネットへの接続ができれば、当院への通院の有無にかかわらず、どなたでもご参加いただけます。また、Zoomのブレークルーム機能を使用しての個別相談も再開しています。新型コロナウイルス感染症の流行はまだ予断を許さない状況であり、当面の間、オンラインでの開催を続ける予定ですので、自宅からご参加ください。
なお、通常の対面での教室と異なり、セキュリティーを保護してオンライン上のトラブルを防止するために、オンライン教室への参加はウェブでの事前申し込み制とさせていただきます。

オンラインリウマチ教室のスケジュール(2022年10月-2022年12月)


日時:2022年10月20日(木)13:30-14:30(第3木曜日です)
講師:栄養管理部 齋藤 沙緒理 管理栄養士
演題:「すぐできる!リウマチの食事療法」
司会:三浦 靖史 准教授
参加登録先:
https://forms.gle/V3ds6Ywgxn4UaBX68

日時:2022年11月24日(木)13:30-14:30(第4木曜日です)
講師・司会: 三浦 靖史 准教授
演題:「冬の健康維持方法」
参加登録先:
https://forms.gle/SKHpiccEa7xr2XjT7

12月は年末のため、リウマチ教室はお休みです


オンラインリウマチ教室参加申し込み方法

 開催前日の17:00までに、グーグルフォーム(上記の「参加登録先」をクリック、あるいはQRコードをスマートフォンやiPadで読み込んでください)から参加登録いただきますようにお願いします。
前日の申し込み締め切り後に、Zoomでの参加に必要なリンク、会議IDとパスワードをお送りします。携帯アドレスをご利用の場合、こちらからの返信を受信できない場合がありますので、PC用のアドレスを登録ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
開始時間までにZoomのアプリを予めインストールいただけますとスムーズに参加いただけます。

神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2022.10.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用

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