神大整形マーク 神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)神戸大学マーク

第244号(2025年2月号[25/3/1発行])


高額療養費制度の現状と今後

3月に入って、いよいよ春本番が目前に迫ってきましたが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。冬の厳しい寒さにさよならして春の陽気を迎えられるのは嬉しい限りですが、春は別れと出会いのシーズンでもあります。学校を卒業して社会人1年生になられる方、新たな仕事に転職される方、退職して年金生活を始められる方、あるいは、ご自身には変わりがなくても、健康保険の主保険者である配偶者や保護者の方が転職されたり、退職される場合もあると思います。
日本では国民皆保険制度が徹底していますので、国民は、市町村国保、協会けんぽ、組合健保、共済組合、後期高齢者医療制度のいずれかの公的保険に加入しなければなりませんが、雇用先の変更に伴って保険の加入先が変更になると、高額療養費制度の多数回該当の支給回数が通算されず、リセットされてしまうことは、長期的に制度を利用されている患者さんにとって切実な問題です。
現在、見直しが議論されている高額療養費制度ですが、高額療養費制度とは、医療費の家計負担が過重なものにならないように、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(1日から末日までの歴月)のうちに自己負担上限額を超えた場合に、その超えた額が支給される制度です。
事前に申請して交付を受けた限度額適用認定証を窓口で提示するか、マイナンバーカードの健康保険証利用、いわゆる「マイナ保険証」で受付することで、窓口での支払いは月毎の上限額までとなり、上限を超える金額を窓口で一旦支払って、後で申請して還付を受ける必要がなくなります。
また、高額療養費制度では、負担を更に軽減するための仕組みとして、世帯内の同一の医療保険の加入者の自己負担額を合算できる「世帯合算」制度や、直近の12ヶ月のうちに、すでに3回以上高額療養費の支給を受けている場合に、その月の自己負担上限額がさらに引き下げられる「多数回該当」制度が設けられています。ただし、加入している医療保険が変更になった場合には、支給回数が通算されず、再び3回の高額療養費の支給を受けるまで、上限額は引き下げられません。
なお、保険組合によっては高額療養費制度に上乗せして独自に自己負担額を軽減する「付加給付」が設けられている場合があります。
高額療養費制度が「月」単位で負担を軽減するのに対して、「月」単位での負担軽減があっても、なお重い負担が残る場合に「年」単位で負担軽減を図る、世帯内の同一の医療保険の加入者の、毎年8月から1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額を合計し、基準額を超えた金額を支給する「高額医療・高額介護合算療養費制度」も別途に設けられています。
全ての国民が安心して医療を受けられる社会を維持するために、特に高齢者と若者の間での世代間公平が図られるように、高額療養費制度はこれまでに何度か見直しが行われてきましたが、近年、高齢化の進行や、高額な薬剤の普及などによって、その総額が年々増加していることから、セフティーネットとしての高額療養費の役割を維持しつつ、健康な方を含めた全ての世代の被保険者の保険料負担の軽減を図る観点から、厚生労働省で見直し作業が進められており、2025年8月から、自己負担上限額の引き上げなどの変更が順次行われる予定です。ただし、見直しについて様々な意見が議論されていることから、厚生労働省の当初の案どおりに進むのかどうかは見通せない状況です。制度の変更が確定しましたら、当リウマチだよりで改めてお知らせさせて頂きます。





リウマチ教室のご案内(オンラインで開催しています)

神戸大学整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中でより良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております(開催週は月により異なりますので、予めリウマチだよりか、神戸大学医学部附属病院のホームページでご確認ください)。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
3月のリウマチ教室では、三浦准教授から、関節リウマチや変形性関節症に対して行われる人工関節置換術についてお話させていただきますので、ぜひ、ご参加ください。
当院への通院の有無にかかわらず、どなたでもご参加いただけます。また、Zoomのブレークルーム機能を使用しての個別相談も行っていますので、お気軽にお申し込みください。
なお、教室への参加ならびに個別相談はウェブでの事前申し込み制とさせていただきます。



日時:2025年3月27日(木)13:30-14:30(第4木曜日です)
演題:「もう一度、元気に歩こう!人工関節置換術について」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
参加登録先:
https://forms.gle/jSw96y5m9JT9sNH5A



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日時:2025年4月17日(木)13:30-14:30(第3木曜日です)
開催方法:オンラインと対面でのハイブリッド開催(対面開催の有無は開催1週間前までにご登録頂いた参加予定者数で判断させて頂きます)
(オンライン、対面のいずれも要事前登録)
場所:神戸大学医学部附属病院外来診療棟4階 談話室(神戸市中央区楠町7-5-1)
演題:「リウマチ患者さんの装具に関するお話(仮)」
講師:澤村義肢製作所 義肢装具士、司会:三浦 靖史 准教授

参加登録先:
https://forms.gle/4DVnkxjsoFWkGtsV9


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日時:2025年5月 調整中


日時:2025年6月26日(木)13:30-14:30(第4木曜日です)
演題:「リウマチとお口の管理の必要性」
講師:歯科口腔外科・医療技術部 歯科部門 西井 美佳 歯科衛生士
司会:三浦 靖史 准教授
参加登録先:
https://forms.gle/yJUEPJbaNasbtErG9


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オンラインリウマチ教室参加申し込み方法

開催前日の17:00までに上記参加登録先リンクからグーグルフォームを用いてインターネットで事前参加登録をしていただきますようにお願いします。
前日の申し込み締め切り後に、Zoomでの参加に必要なリンク、会議IDとパスワードをお送りします。携帯アドレスをご利用の場合、こちらからの返信を受信できない場合がありますので、PC用のアドレスを登録ください。

皆様のご参加をお待ちしております。
開始時間までにZoomのアプリを予めインストールいただけますとスムーズに参加いただけます。

神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2025.3.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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