神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)
第228号(2023年11月号[23/11/1発行])
関節リウマチ患者さんに必要な食事療法について
秋が徐々に深まり、紅葉が美しくなるのも目前ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今シーズンは早くもインフルエンザの流行が広がりつつあり、学級閉鎖や学年閉鎖が行われている学校もありますので、まだインフルエンザワクチンの接種を受けておられないリウマチ患者さんにおかれましては、速やかに接種を受けていただけますようにお願いします。
さて、秋と言えば、紅葉だけでなく、スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋など、楽しむものが色々とありますが、実りの秋、食欲の秋というように、あまりの暑さに食欲が落ちてしまった夏から一変して、過ごしやすい気候の下、旬を迎えた果物も野菜も魚も美味しく、ついつい、食べ過ぎてしまう方も少なくないのではないでしょうか。
そこで、先月のリウマチ教室で、管理栄養士の真壁先生にお話頂いた関節リウマチに必要な食事療法について紹介させていただきます。リウマチ患者さんは、関節の痛みにより運動量が減少したり、治療に必要なステロイドの影響によって、肥満、糖尿病、そして、脂質異常症になりやすいことから、薬の副作用による病気を生じにくくする食事を意識する必要があります。そのためには、自分の肥満の状態をまず把握してください。体格指数(body mass index: BMI)= [体重(kg)]÷[身長(m)の二乗]を計算しましょう。BMI≧25だと肥満となり、下肢の関節への負担も増えた状態と考えられます。目標体重は、60才未満の場合、[身長(m)の二乗]x22(kg)、65才以上では、[身長(m)の二乗]x22〜25(kg)で計算できます。食事療法の基本は、適切なエネルギーであることと、栄養バランスの良いことの2点です。このような食事は、適切な体重を保ち、必要な栄養素の不足や偏りを避けて、合併症の予防に繋がります。1日のエネルギー必要量(kcal)=目標体重(kg)x身体活動量(kcal/kg目標体重)であり、身体活動量は、デスクワークが多い軽労作の職業の場合25~30、立ち仕事などの普通の労作の場合30~35、力仕事などの重い労作の場合35~となります。適切なエネルギーに加えて栄養バランスを良くするために、主食、主菜、副菜の3つを揃えることが大切です。
ところで、油脂のうち、アジやイワシなどの青魚やなたね油、しそ油、えごま油などに含まれるEPA、DHA、α-リノレン酸といったn-3系脂肪酸は多価不飽和脂肪酸のひとつで、炎症を抑える作用があると考えられています。ちなみに、肉の脂身、バター、生クリーム、チョコレートなどに含まれるのは飽和脂肪酸で異なります。
調理においては、お鍋などの調理器具は軽いものを、鍋は両手鍋を使い、カボチャなどの固いものは電子レンジで柔らかくしてから切ること、ジャガイモなどの皮むきは、茹でたり、電子レンジにかけた後にすること、さらには、カット野菜や冷凍野菜を使用することで、調理によって手に掛かる負担を減らすことができます。
なお、肥満を避ける必要があると同時に、エネルギーが不足して、低栄養になってしまうことも避ける必要があります。炭水化物に偏った食事で運動量が不足すると筋肉量が減少したサルコペニアという状態に陥ってしまう恐れもあります。”You are what you eat!”(あなたの食べたもので体はできている)ということを、ぜひ、意識してください。
リウマチ教室のご案内(オンラインで開催しています)
神戸大学整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中でより良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております(開催週は月により異なりますので予めご確認ください)。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
11月のリウマチ教室では、冬の療養のポイントについて三浦准教授からお話させていただきますので、ぜひ、ご参加ください。
オンラインでのリウマチ教室は、通常のリウマチ教室への来院が困難な遠方にお住まいの方でも、パソコンあるいはスマートフォンからインターネットへの接続ができれば、当院への通院の有無にかかわらず、どなたでもご参加いただけます。また、Zoomのブレークルーム機能を使用しての個別相談も行っています。当面の間、リウマチ教室の開催はオンライン行う予定としていますので、自宅からお気軽にご参加ください。
なお、通常の対面での教室と異なり、セキュリティーを保護してオンライン上のトラブルを防止するために、オンライン教室への参加ならびに個別相談はウェブでの事前申し込み制とさせていただきます。
オンラインリウマチ教室のスケジュール(2023年9月-2023年11月)
日時:2023年11月30日(木)13:30-14:30(第5木曜日です)
演題:「冬に備えて」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
参加登録先: https://forms.gle/A23hnQ5UcMv7xcsD9
12月は年末につきリウマチ教室はお休みです。

日時:2024年1月25日(木)13:30-14:30(第4木曜日です)
演題:「2024年:今年のリウマチ治療の展望」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
参加登録先: https://forms.gle/AXzKZiwfjEnUJ8Xx5

日時:2024年2月29日(木)13:30-14:30(第5木曜日です)
演題:「若いリウマチ患者さんへ:ライフステージとプレコンセプションケアについて」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
参加登録先:https://forms.gle/z8KShsj9ZsTVCeSV7

オンラインリウマチ教室参加申し込み方法
開催前日の17:00までに上記参加登録先リンクからグーグルフォームを用いてインターネットで事前参加登録をしていただきますようにお願いします。
前日の申し込み締め切り後に、Zoomでの参加に必要なリンク、会議IDとパスワードをお送りします。携帯アドレスをご利用の場合、こちらからの返信を受信できない場合がありますので、PC用のアドレスを登録ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
開始時間までにZoomのアプリを予めインストールいただけますとスムーズに参加いただけます。
神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2023.11.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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