第63号(2010年2月号[10/2/1発行])  
冬の感染症予防対策
 昔から、「一月は往ぬ、二月は逃げる、三月は去る」と、年が明けてから春が来るまで、時間が経つのは早いと言われていますが、まだまだ寒い日が続きますので、改めて、冬の健康に重要な感染症予防対策のポイントを説明させていただきます。多くのリウマチ患者さんが使用されているリウマトレックス®(メトトレキサート)やプログラフ®(タクロリムス)などの抗リウマチ薬、プレドニン®(プレドニゾロン)などのステロイドと生物学的製剤は、いずれも免疫を抑制する作用がありますので、治療により必然的にリウマチ患者さんの免疫力はある程度低下しています。そのため、ウイルスや細菌が原因となる感染症にかかりやすくなっていますので、季節に関わらず常に感染症に注意していただく必要がありますが、特に寒い冬の時期は、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスやロタウイルスによる胃腸炎などが流行するために、より一層、注意して頂く必要があります。
1.ワクチンの接種を受けましょう
 新型インフルエンザ、季節性インフルエンザ、及び肺炎球菌による肺炎に対する予防ワクチンは、いずれも不活化ワクチンであるため、免疫抑制剤を使用しているリウマチ患者さんも接種を受けることができます(麻疹などの生ワクチンは接種できません)。接種がまだの方には、是非、接種を受けられることをお勧めします。
2.風邪やインフルエンザをひいたと思ったら、かかりつけ医に診て貰いましょう
 自分で判断して市販薬で症状を抑えてはいけません。必ず、速やかにかかりつけ医を受診して、適切な薬を貰ってください。なお、タミフル®などの抗インフルエンザ薬は発症48時間以内に開始しないと効果がありません。
3.リウマトレックス®は休みましょう
 感染症にかかってしまった場合には、治るまでリウマトレックス®の内服は必ず休んで下さい。内服を何週か休んでも、リウマチの状態はほとんど変化しません。また、リウマトレックス®を休んだ週には、フォリアミン®(葉酸)を内服する必要はありません。
4.うがいと手洗いを励行しましょう
 帰宅時には、うがいと手洗いをしっかりと行ってください。また周囲の状況に応じて、マスクを使用しましょう。
5.乾燥を防ぎましょう
 暖房により室内の空気が乾燥すると、ウイルスが遠くまで飛びやすくなるとともに、のどや鼻の抵抗力が低下するので、暖房に合わせて加湿器も使用しましょう。また、部屋の換気も行いましょう。

新型インフルエンザ第8報:インフルエンザワクチン情報
 昨年末より、新型インフルエンザワクチン接種に関する問い合わせが相次いでおりましたため、リウマチだよりならびにホームページにより最新の情報を発信して参りましたが、兵庫県でも1月25日より、基礎疾患のない一般成人への接種が開始されましたため、リウマチ教室のホームページにおける情報の更新は一旦終了させていただきました。2月初めの現在、新型インフルエンザの流行は一段落しておりますが、まだ、寒い日が続いており、今後、再び流行する恐れもありますので、引き続き、対策をおとりいただけますようにお願い申し上げます。

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さんやご家族、医療、教育関係者の方々もご参加いただけます。
 2月のリウマチ教室では、三浦准教授から、春に向けて新たな一歩を踏み出される若いリウマチ患者さんに向けて、就職、結婚、妊娠などに関する講演を予定しています(参加年齢に制限はありません)。3月は、神戸学院大学薬学部の上町先生より、かかりつけ薬局の活用に関する講演を、4月は、三浦准教授より、関節機能の再建に非常に有効な治療法である人工関節手術に関する講演を、5月は産婦人科医である保健学研究科の松尾教授より、更年期に関する講演を、それぞれ予定しています。スタッフ一同、皆様の参加をお待ちしておりますので、ぜひ、ご参加下さい。
これからのリウマチ教室の予定 

第2回神戸海星病院リウマチ教室のご案内(再掲)
 関連病院である神戸海星病院との共催で、4ヶ月毎に土曜日にリウマチ教室を開催しています。大学病院での平日のリウマチ教室に参加することが困難な方は、こちらにご参加ください。
日時:2010年3月6日(土)午後2時-4時30分 ( 午後1時30分開場 )
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
演題:「今年のリウマチ治療の展望」 三浦 靖史 准教授
     「リウマチのお薬のポイント①:メトトレキサートについて」神戸海星病院 薬剤部 濱名 則子 管理薬剤師
     「上手な身体の操り方②」神戸海星病院 リハビリテーションセンター 阿部 渉 理学療法士
     「車椅子からの回復体験」 神戸市こころの健康センター 三好 彩 医師
参加費は無料ですが、会場の定員が60名ですので、事前に電話でお申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201

 それでは、まだまだ寒い日が続きます。くれぐれも流行が去ったと油断することなく、インフルエンザや風邪の予防に、日々、努めて頂きますようにお願いします。

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)