第47号(2008年10月号[08/10/1発行])
年2回は歯医者さんに行きましょう!
 台風が時折やってくるものの、10月は、とても気持ちの良い季候の日が続きます。ご家族の運動会や小旅行などのさまざまな予定で、スケジュールがびっしりと詰まっているという患者さんも、おられることと思います。そんな大事な要件での外出中に、突如、歯が痛くなってしまっては大変だと思われませんか。整形外科リウマチ診療部門では、毎年、春と秋に、かかりつけの歯科医を受診することをお勧めしております。未だ、歯科には、歯が痛くなってから行けば良いと考えておられる患者さんはおられないでしょうか。ハイペン®やセレコックス®といったリウマチ患者さんが内服する消炎鎮痛剤により、虫歯や歯周病の痛みも軽くなってしまうことから、痛みを感じるようになったときには、抜歯しなければいけないほどの、ひどい虫歯や歯周病になってしまっていることがあります。そこで、症状の有無にかかわらず、半年に1回、歯の定期健診と歯石の除去を受けることが、とても重要です。この秋こそは、虫歯と歯周病の予防と早期治療を行いましょう。かかりつけ歯科医がおらず、兵庫県内のお近くの歯科医がわからない場合には、兵庫県歯科医師会(電話番号:078-351-4181)にご相談ください。

妊娠を希望されるリウマチ患者の皆様へ(連載第2回)
 9月号の続編です。近年、不妊治療に熱心に取り組まれているマタニティークリニックの多くで、週末も診療を行っておられることから、平日は仕事で忙しい配偶者の方も、ご一緒に受診して検査を受けていただくとともに、妊娠に関する様々な指導を行っていただけますので、お二人でマタニティークリニックを受診していただくことは、非常に有意義です。一般に、不妊の原因は女性にあると考えられがちですが、実際には、不妊の半分程度は男性、あるいは、男性と女性の双方に原因があると報告されていますので、不妊を女性のみの問題と捉えないことは、極めて重要です。
 リウマチ患者さんが、様々な条件をクリアして、妊娠を試みても、必ずしもすぐに妊娠が成立するものではありません。リウマチの活動性が高いと妊娠しにくくなる場合がありますし、また、消炎鎮痛剤の使用は、受精卵の着床を阻害する可能性があります。ですので、妊娠を試みられている間の、リウマチの良好なコントロールは、体のためにも妊娠のためにも重要です。また、一定期間を経て、妊娠されない場合は、不妊治療の適応について、マタニティークリニックでご相談ください。
 上手く妊娠が成立した場合、遺伝子の半分を父親から受け継いでいる胎児が、母体の免疫機構により異物と認識されて流産されてしまわないように、母体の免疫は、ある程度、自然に抑制された状態となります。そのため、自己免疫疾患であるリウマチの症状は軽くなる場合が多いのですが、期待したほど症状が変化しなかったり、逆に悪化する場合もありますので、妊娠中の症状の変化に応じて、治療を調整する必要があります。また、妊娠中は、体重が増加するため、リウマチによる下肢の関節痛や腰痛などが増悪する場合がありますので、運動療法や装具療法など、適切なリハビリテーションを行う必要があります。
 出産に際しては、股関節が開きにくいなどの障害がなければ、出産そのものにリウマチが大きな影響を与えることはありません。出産後は、個人差はありますが、一定の期間の後に、母体の免疫能の回復に伴い、リウマチが再燃する場合が多いのが実情です。また、出産後は育児で非常に忙しくなるため、関節を酷使しがちであり、そのことが、リウマチを再燃や悪化させる原因になる場合があります。それでなくても忙しい育児の時期にリウマチが悪化すると大変ですので、できるだけ長く授乳を続けられたいお母様の気持ちは良く理解できるのですが、再燃する以前に、授乳を速やかに中止して頂いて、メトトレキサートや生物学的製剤による十分に強力なリウマチ治療を再開することが望まれます。
 当然のことながら、育児は、ご夫婦で力を合わせて行う大切かつ大変な事柄ですが、リウマチ患者さんの場合は、より一層の、配偶者と周囲の方々の、理解と協力が必要です。(次号に続く)

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、関節リウマチの皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より、整形外科リウマチ教室を開催して参りました。教室は、毎月最終木曜日、午後1時から2時に、定期的に開催しております。ただし、事情により、最終週に開催が困難な場合には、他の週に変更させて頂いております。また、会場は神緑会館多目的ホールを予定しておりますが、使用できない場合は他の部屋へ変更になります。お手数ですが、最新のリウマチだより、あるいは、大学病院ホームページで、日時と会場を予めご確認の上、ご来院いただけますように、お願い致します。
 講演は、予約不要、参加費無料ですので、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる方も、ご自由に参加下さい。教室では、療養に役立てて頂くために、関節リウマチの治療法、健康維持法や、保健制度など、様々な話題を取り上げております。参加頂いている皆様は、リウマチ教室を、患者相互や、患者と医療従事者の交流の場として活用されておられますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、時間が許す限り、個別の療養や治療に関する相談にも応じておりますので、ご希望の方は、検査結果や薬のリスト、レントゲン写真などをご持参ください。
 さて、10月のリウマチ教室は、薬剤部の久米治験管理室長と三浦准教授から、国内外で開発中の2種類の抗リウマチ生物学的製剤の治験について講演を行う予定です。11月は、沢村義肢製作所の戸石・佐野・小西義肢装具士から、足袋式装具について、それぞれ講演を行う頂く予定です。是非、ご出席ください。

整形外科外来看護スタッフ交代のお知らせ
 村田典子看護師が転出され、9月から、小村礼看護師が新たに整形外科外来に加わりましたので、日高美樹子副看護師長、村田美千代看護師とともに、どうぞよろしくお願いします。

整形外科リウマチ教室に関するアンケートへのご協力の御礼とご報告
 7月-9月のリウマチ教室に参加頂きました52名の方々にご協力いただきましたアンケートは、現在、研究室所属の看護学生(岡田、近澤、野村)の3名により、解析を行っている真っ最中です。また、頂いた貴重なご意見を参考に、現在、来年のリウマチ教室のスケジュールを検討しております。皆様への結果報告まで、もうしばらく時間を頂けましたら、幸いです。ご協力、ありがとうございました。

それでは皆様、風邪を引かれないように、帰宅時のうがいと手洗いを励行してお過ごし下さい。

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)