第45号(2008年8月号[08/8/1発行])
暑中お見舞い申し上げます!
 今年も昨年同様に、猛暑が続いております。夏休みとなるこの時期、リウマチ外来に通院中の皆様は、旅行や、ご家族の里帰りなどで、いつも以上に体に負担を掛けておられないでしょうか。寒いときより暑いときの方が、関節痛は一般的には軽いことが多いのですが、エアコンの冷気により、痛みが増悪する場合があります。特に、乗り物での長時間の移動や、ショッピングモールなどでは、冷房の効きすぎにより体が冷えてしまうことがしばしばです。ですので、暑い時期でも、寒さ対策として簡単な上着を、外出時に持参してください。しかし、逆に、エアコンは体に悪いと思って一切使用されないと、今度は、熱中症になる恐れがありますので、日中の極端に暑い時間帯は、経済的な冷房温度とされる28℃程度に設定して、自宅でもエアコンを使用して下さい。もちろん、水分を十分に補給していただきますようにお願いします。また、ご旅行に行かれたり、ご家族の帰省をお迎えになるときには、ついつい張り切りたくなる気持ちは良くわかりますが、体調を崩してしまっては大変です。多少できないことがあっても、他の人に迷惑をかけるのではなどと気にしないで、のんびりとマイペースで無理をしないことが、楽しく夏を過ごすことの何よりのポイントです。

抗リウマチ新薬ヒュミラ®が処方可能になりました
 4月に厚生労働省から、抗インターロイキン6受容体抗体製剤トシリズマブ(アクテムラ®)と同時に承認された、もうひとつの抗リウマチ生物学的製剤である、完全ヒト型抗TNFα抗体製剤アダリムマブ(商品名ヒュミラ®、製造販売:アボットジャパン・エーザイ)が、病院内の審査を経て、8月より当科で処方ができるようになりました。ヒュミラ®は、すでにリウマチ治療に大きな成果を上げているインフリキシマブ(レミケード®)やエタネルセプト(エンブレル®)と同様に、リウマチ患者さんの体内で過剰に産生されて、関節炎を引き起こす炎症性サイトカインのひとつであるTNFα(腫瘍壊死因子α)に狙いを絞って抑制します。ヒュミラ®は、抗体製剤であることから、体内のTNFαと結合して抑制するだけでなく、レミケード®同様に、TNFαを産生している細胞そのものも攻撃します。一方、ヒト以外の動物由来のタンパク質を1/4程度含むキメラ型抗体であるレミケード®と異なり、ヒトのタンパク質のみで構成される完全ヒト型抗体であるため、ヒュミラ®は、中和抗体の産生防止のために、メトトレキサート(リウマトレックス®)を必ずしも一緒に使用する必要がありません(一緒に使用できる場合は、一緒に使用した方が、より強い抗リウマチ作用を発揮します)。そのため、エンブレル®同様に、リウマトレックス®を副作用などの理由により使用できない患者さんでも使用でき、また、点滴ではなく、皮下注射により短時間で投与できるという長所があります。ヒュミラ®は、通常2週間に1回の割合で、1回につき40mg(1シリンジ)を皮下注射しますが、患者さん自身による自己注射も既に承認されています(発売後1年間は、1回の診察につき2週間分(1回分)の処方しか認められていません)。ヒュミラ®は、エンブレル®皮下注シリンジと同様に、注射針がついた注射器の中に、すぐ注射できる状態で予め詰められた、プレフィルドシリンジ製剤(写真)であるため、簡単な訓練で、自己注射に移行することが可能です。なお、ヒュミラ®は、安全性と有効性を確認するため、発売後一定の期間、全ての使用患者さんの状態を報告することが、厚生労働省により義務づけられています。ヒュミラ®の使用を希望される場合、主治医までご相談ください。



整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、関節リウマチの皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より、整形外科リウマチ教室を開催して参りました。教室は、毎月最終木曜日、午後1時から2時に、定期的に開催しております。ただし、事情により、最終週に開催が困難な場合には、他の週に変更させて頂いております。また、会場は神緑会館多目的ホールを予定しておりますが、使用できない場合は他の部屋へ変更になります。お手数ですが、最新のリウマチだより、あるいは、大学病院ホームページで、日時と会場を予めご確認の上、ご来院いただけますように、お願い致します。
 講演は、予約不要、参加費無料ですので、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる方も、ご自由に参加下さい。教室では、療養に役立てて頂くために、関節リウマチの治療法、健康維持法や、保健制度など、様々な話題を取り上げております。参加頂いている皆様は、リウマチ教室を、患者相互や、患者と医療従事者の交流の場として活用されておられますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、時間が許す限り、個別の療養や治療に関する相談にも応じておりますので、ご希望の方は、検査結果や薬のリスト、レントゲン写真などをご持参ください。
 さて、8月のリウマチ教室は、リハビリテーション部の井上順一朗理学療法士から、健康維持のための運動療法についての講演を行う予定です。9月は、三浦准教授から、新たに使用することができるようになった抗リウマチ生物学的製剤について、10月は、薬剤部の久米治験管理室長と三浦准教授から、リウマチ薬の治験について、11月は、沢村義肢の義肢装具士の方々から、足袋式装具について、それぞれ講演を行う頂く予定です。是非、ご出席ください。
これからのリウマチ教室の予定

整形外科リウマチ教室に関するアンケートのお願い(再掲)
 7月および8月のリウマチ教室では、今後の整形外科リウマチ教室を、より役立つものとするために、ご出席の皆様に、リウマチ教室に関するアンケート調査を実施させていただく予定にしております。お手数をおかけいたしますが、ご協力頂けますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、暑い夏を、ご家族と力を合わせて、元気に乗り切っていきましょう!

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)