第44号(2008年7月号[08/7/1発行])
 今年の梅雨は、今のところ雨の日が少ないようですが、リウマチ外来に通院中の皆様は、いかがお過ごしでしょうか。湿気が増える雨の日は、関節の痛みが増悪しやすいので、痛みの強いときは、できるだけ無理をしないでお過ごしください。また、これから梅雨明け直前にかけては、降雨量が増えて豪雨となることもしばしばです。万一、天候が悪くて病院を受診できないときに備えて、1週間分程度の予備のお薬を手元に置いて頂くようにお願いします。もし、予備のお薬を持っておられない場合には、主治医にご相談ください。
 また、梅雨時期は、真夏並みの高い気温に加えて、高い湿度のために、体から熱を逃がして、体温を一定に維持する機能がうまく働かなくなり、体の中に熱が貯まってしまう「熱中症」という病気に罹りやすくなります。特に高齢の方や、様々な薬による治療を受けている患者の方は、外出時のみではなく、屋内にいても、熱中症になる危険がありますので、一層の注意が必要です。熱中症を予防するために、十分な水分補給を行い、炎天下への外出を避け、日中はエアコンの効いた屋内の涼しい場所で過ごしていただくようにお願い致します。

エンブレル®シリンジ製剤が処方可能になりました
 2005年に承認された、抗TNF生物学的製剤エタネルセプト(エンブレル®)は、非常に有効な抗リウマチ薬ですが、週2回の皮下注射を行う必要があります。週2回の通院は関節リウマチの患者さんにとって負担が大きいため、在宅自己注射指導を1か月間程度受けて練習をしていただいた上で、患者さん自身により自己注射を行って頂くことが認められています。しかし、これまでは、凍結乾燥製剤としてバイアルに入った状態で薬が供給されていましたので、自己注射を行うためには、まず、注射用水をバイアルに入れて、バイアルをゆっくりと振り、しばらく静置して完全に溶かした上で、バイアルから注射器の中に薬を吸い上げ、注射針を取り付けて、気泡を取り除いてから注射を行うという、一連の非常に煩雑な作業が必要でした。そこで、新たに、予め溶解された状態のエンブレル®注射器の中に詰め、注射針も注射器と一体化した、エンブレル®皮下注25mgシリンジ0.5ml(プレフィルドシリンジ製剤)(写真)が、6月30日に発売され、今月から神戸大学病院でも処方が可能になりましたので、今後はシリンジ製剤で処方致します。シリンジ製剤にあわせたEグリップと、説明書、DVDなどが含まれた新たなスターターキットを用意しておりますので、初めてシリンジ製剤を処方される際に、主治医からキットをお受け取りください。なお、従来のエンブレル®溶解セットと異なり、アルコールワイプ(アルコール綿)は、シリンジ製剤には含まれないため、別途、薬局等でご購入頂く必要がありますので、ご了承ください。使いやすい個別包装のアルコールワイプは、院内の慈恵団の売店では、エレファフィーパーEI 4x8cm 60枚入り525円(1枚当たり8.75円)と、アルコール消毒布(紙タイプ)3.5×7cm 60枚入り756円(1枚当たり12.6円)が販売されています。

 
ベネット®, アクトネル®錠17.5mgが長期処方可能になりました
 骨粗鬆症に有効なビスフォスフォネート製剤「リセドロン酸ナトリウム水和物」の、週に1回だけ内服すれば良い1週間製剤(ベネット®, アクトネル®錠17.5mg)が、7月1日より、長期処方が可能になりました。毎日内服が必要な連日製剤(ベネット®, アクトネル®錠2.5mg)、あるいは他の骨粗鬆症治療薬からの切り替えをご希望の患者様は、主治医までご相談ください。

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、関節リウマチの皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より、整形外科リウマチ教室を開催して参りました。教室は、毎月最終木曜日、午後1時から2時に、定期的に開催しております。ただし、事情により、最終週に開催が困難な場合には、他の週に変更させて頂いております。また、会場は病院内のできるだけ良い部屋を確保するように努めておりますため、随時変更になります。お手数ですが、最新のリウマチだより、あるいは、大学病院ホームページで、日時と会場を予めご確認の上、来院いただけますように、お願い致します。
 講演は、予約不要、参加費無料ですので、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる方も、ご自由に参加下さい。教室では、療養に役立てて頂くために、関節リウマチの治療法、健康維持法や、保健制度など、様々な話題を取り上げております。参加頂いている皆様は、リウマチ教室を、患者相互や、患者と医療従事者の交流の場として活用されておられますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、時間が許す限り、個別の療養や治療に関する相談に応じておりますが、診察そのものは、リウマチ教室ではできません。リウマチかどうか分からない場合などは、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、お願いいたします。
 さて、7月のリウマチ教室は、三浦准教授から、若いリウマチ患者さん向けに、リウマチ治療と妊娠についての講演を行う予定です。8月は、リハビリテーション部の井上順一朗理学療法士から、健康維持のための運動療法について、9月は、三浦准教授から、新たに使用することができるようになった抗リウマチ生物学的製剤について、それぞれ講演を行う頂く予定です。是非、ご出席ください。
これからのリウマチ教室の予定
整形外科リウマチ教室に関するアンケートのお願い
 7月および8月のリウマチ教室では、今後の整形外科リウマチ教室を、より役立つものとするために、出席される皆様に、リウマチ教室に関するアンケート調査を実施させていただく予定にしております。お手数をおかけいたしますが、ご協力頂けますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、早く梅雨が明けて、爽やかな夏が来ますように。

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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)