第32号(2007年7月号[07/7/1発行])
熱中症を予防しましょう
 梅雨の間も厳しい暑さが続いております。近年の地球温暖化や、都市部でのヒートアイランド現象による気温上昇に伴い、熱中症にかかる危険が増しています。熱中症とは、気温や湿度が高い夏の時期に、屋外で強い日差しに当たったり、運動をしたりする際に、体から熱を逃がして、体温を一定に維持する機能に不調を来して、体の中に熱が貯まってしまう「うつ熱」状態が起き、その結果、引き起こされる様々な病態のことを言います。真夏だけでなく、一般に運動に適した気候とされる、春や秋の時期にも暑い日はありますので、注意が必要です。
 熱中症には、その程度により、こむら返りや立ちくらみを起こす「熱けいれん」、倦怠感、脱力感、めまい、頭痛、吐き気、体温の軽度の上昇などを起こす「熱疲労」、体温が40℃以上に上昇し、意識消失、うわごと、ふらつき、けいれんなど、中枢神経を含む全身の臓器障害と血液凝固障害を来たし、死亡に至る危険が高い「熱射病」の3段階に分類されます。
 体に水分の占める割合が多いお子様や、臓器の機能が低下している高齢の方、肥満、利尿剤や抗うつ剤などによる治療を受けている患者様、アルコールの摂取や、さまざまな原因による脱水状態、暑い環境への突然の移動、風邪、下痢などの体調不良、睡眠不足などは、うつ熱を起こす誘因となりますので、これらの条件に当てはまる方は特に注意が必要です。
 熱中症は、予防することが何よりも大切であり、そのために、気候や体調を十分に把握して、それに応じて運動量を減らすことと、十分な水分補給を行うことが基本となります。
 具体的な対策として、
1.運動はなるべく涼しい時間帯にすること
2.暑いときには無理に運動をしないこと
3.のどが渇かなくても、スポーツ飲料などで水分を十分に補給すること
4.運動前後に体重を測定して自分の発汗量を知ること
5.暑さに徐々に体を慣らしていくこと
6.年齢、肥満度、体力低下の度合い、薬物の使用状況、体調全般を考慮して、運動量を減らすこと
7.吸湿性や通気性の良い素材の衣服を着ること、帽子を着用して日光を遮ること
8.汗をかいたら、こまめに着替えること
9.具合が悪くなったら、すぐに運動を中止して、必要な処置を行うことです。
 万が一、熱中症になってしまった場合の治療法は、
1.速やかに体を冷却すること
2.水分とナトリウムなどの電解質を十分に補給すること
3.涼しい場所で、十分に休息を取ることです。
 体を冷やす方法は、首の周り、腋の下、足の付け根などに、氷のうを当てて、動脈血を冷やすことが効果的です。また、全身に霧吹きで水をかけて、気化熱で冷やすことも有効です。水分と電解質補給のために、患者さんに意識があれば、スポーツ飲料をゆっくりと自分で飲んで貰ってください。意識がおかしい状態であれば、医療機関で点滴により補給することが必須ですので、医師の診察を速やかに受けて下さい。休息は、屋内なら、エアコンの効いた室内で、屋外なら風通しの良い日影などの、涼しい場所で行うことが必要です。
 ますます暑くなるこれからの時期、熱中症に十分にお気を付け下さい。
整形外科リウマチ教室のご案内
 毎月、多くの患者様やご家族の皆様に、患者教室にご出席頂き、スタッフ一同、感謝いたしております。整形外科リウマチ教室は、毎月最終木曜日、午後1時から2時に、定期的に開催しております。講演の後、質疑応答の時間を設けております。予約不要、参加費無料ですので、当院に通院中以外の患者様やご家族の皆様もお気軽にご参加下さい。教室は、リウマチについての知識を深め、療養に役立てて頂くと同時に、患者様同士、患者様とご家族と医療従事者の交流を目的として開催されております。そのため、リウマチに直接関連するテーマだけではなく、リウマチ患者様の健康維持に役立つ、様々な話題も取り上げております。参加者の皆様には、是非、お互いに声をかけあっていただき、交流の輪を拡げて頂きたいと思っておりますので、ご協力頂けますようによろしくお願い申し上げます。
 学校が夏休みとなる7月には、三浦准教授から、進学、就職、結婚、妊娠などの、さまざまな出来事に直面される若いリウマチ患者様に向けての講演を予定しております。日頃、患者教室に参加されることが少ない若い患者様も、是非、ご参加ください。なお、7月のリウマチ教室は、従来使用しておりました、病棟5階カンファレンス室で開催させて頂きますので、ご了承ください。
 8月は、リハビリテーション部の井上順一朗理学療法士に、安静状態を長期に続ける事によって、運動機能だけではなく、心身のさまざまな機能が低下してしまう「廃用症候群」を予防するための、リハビリテーションについて講演して頂く予定ですので、是非ご参加ください。
 9月は、創傷・オストミー・失禁(WOC)看護認定看護師である野口まどか看護師から、スキンケアについて講演して頂く予定ですので、是非ご参加ください。

気温、湿度とも高い毎日が続いており、食中毒が起こりやすい時候です。
手洗いと食品の鮮度管理には、くれぐれもご注意ください。

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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)