第132号(2015年11月号[15/11/1発行])
今年のインフルエンザ対策について
 つい先日衣替えをしたばかりと思っていたら、あっと言う間に11月に入ってしまい、気がつけば街路樹は黄色や赤にすっかり色づいており、今後は冬支度に取りかからなくてはと、せわしく感じる今日この頃ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。さて、リウマチだよりをいつも読んで下さっておられる皆様は、もうお気づきのとおり、11月と言えばインフルエンザワクチンの接種時期です。インフルエンザは例年12月から翌年の2月にかけて流行することが多いのですが、ワクチンを接種してから予防効果がでるまでに、通常2週間程度を要しますので、今月のうちに接種を済ませておくのが得策です。
 さて、今年はインフルエンザワクチン接種に際してひとつ変更されたことがあります。昨年までは流行が予想される3種類のインフルエンザウイルスに対して有効な三価ワクチンが使用されてきましたが、今年から、対象となるB型インフルエンザウイルスが1種類増やされた4種類に対して有効な四価ワクチンが使用されるようになりました。対象となるインフルエンザウイルスの種類が増えたことにより、インフルエンザを予防できる可能性が高まることが期待されますが、一方で、製造コストの上昇を理由としたワクチン製造会社からの出荷価格の上昇により、医療機関における接種料金は、昨年から500円程度引き上げられています。
 例えば、定期接種の対象となる65才以上の高齢者の場合、神戸市では昨年までは軽減措置が適応されて1000円で接種できていたのが、今年からは軽減措置が適応された場合で1500円に変更になりました。費用が上がるのは嬉しいことではありませんが、くれぐれも、インフルエンザワクチンの打ち控えをなさらないようにお願いいたします。
 なお、インフルエンザの予防には、流行前のワクチン接種に加えて、以下のポイントにもご配慮ください。
・咳エチケットとマスク使用の遵守
 インフルエンザは、咳やくしゃみに伴ってウイルスが小さな水滴とともに飛ぶ「飛沫感染」により伝播しますので、飛沫を飛ばさない・浴びないことがインフルエンザの感染を減らすためにとても重要です。
・帰宅時、咳やくしゃみを手で押さえた後の手洗いの厳守
 流水とハンドソープによる手洗いは感染症対策の基本であり、手指についたインフルエンザウイルスを初めとする様々な病原体を物理的に除去します。アルコールによる消毒を併用するとインフルエンザウイルスに対してより高い効果が期待されます。
・加湿器の使用による適度な湿度の保持
 のどや気道の粘膜が乾燥してしまうと防御機能が低下してインフルエンザにかかりやすくなり、また、乾燥した空気ではウイルスを含んだ飛沫がより遠くまで飛ぶようになりますので、暖房中の室内では、加湿器の使用により適切な湿度(50~60%)を保ってください。
・栄養バランスのとれた規則的な食事の摂取と十分な睡眠の確保
 炭水化物、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルなどバランスのとれた食事の摂取と十分な睡眠はインフルエンザを引きにくい体作りの基本となりますので、日ごろから心がけましょう。
・外出のセーブと帰宅時のうがいと手洗いの励行
 著しい免疫不全状態でない限り、年末に掛けての多忙な時期に人混みへの外出を全て控えるというのは現実的ではない場合と思いますので、外出は必要最小限に留めるようにしていただき、外出時のマスクの着用と帰宅時のうがいと手洗いを徹底して頂きますようによろしくお願いします。
・かかりつけ医への速やかな受診
 患者さん自身で普通の風邪かインフルエンザかの判断は困難ですし、抗インフルエンザ薬は発症24時間以内でないと効果がありませんので、体調が悪いと思ったらすぐにかかりつけ医を受診してください。

 新規抗リウマチ薬Peficitinibの長期試験に関するご案内
 抗リウマチ薬として国内外で開発が進められている新規JAK阻害薬Peficitinib(ASP015K)の二つの第3相試験を、整形外科と膠原病リウマチ内科の両科で昨年秋より実施しています。また、今月から、これらの治験を終了された患者さんで一定の条件を満たす場合に、治験薬が承認されるまで継続的に治験薬を使用いただける長期継続投与試験を開始しました。新しい抗リウマチ薬を世に出すためには、患者さんにご参加いただく治験の実施が欠かせません。治験の性質上、ご参加頂ける人数は限られていますが、本治験ではまだ人数に余裕がありますため、ご参加頂ける患者さんを引き続き募集しております。なお、ご参加頂ける期間に制限がありますので、治験に興味をお持ちの患者さんは、主治医まで早めにご相談いただけますようによろしくお願いします。

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 さて、11月の教室では、三浦准教授からリウマチ患者さんの冬対策に関するお話させていただく予定です。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2015年11月-2016年2月)
日時:2015年11月26日(木)午後1時-2時 
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を元気に過ごすために」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授

12月は年末につきリウマチ教室はお休みです

日時:2016年1月28日(木)午後1時-2時 
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「2016年のリウマチ治療の展望」  
講師・司会:三浦 靖史 准教授

日時:2016年2月18日(木)午後1時-2時(第3週です)
会場:外来診療棟4階第2会議室(場所が異なります)
演題:「若いリウマチ患者さんへ:仕事、結婚、妊娠、育児などについて」
講師・司会:三浦 靖史 准教授 

神戸市難病団体連絡協議会・医療講演会・相談会のご案内
日時:2015年12月6日(日)午後1時-3時
会場:神戸市勤労会館 3階 307号室 (神戸市中央区雲井通5丁目1-2) 三ノ宮駅から徒歩
13:15-14:00 講演:「関節リウマチの装具療法〜装具を上手に活用するには〜」
		    講師:澤村義肢製作所 岡田 佳奈 義肢装具士
14:00-14:50 講演:「リウマチ治療に関わる最新トピックス」
		    講師:神戸大学整形外科 三浦 靖史 准教授
15:00-15:50 医療相談会

神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

そろそろ冬の足音が聞こえてきました。ワクチン接種を初め早めの冬対策をお願いしますね。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2015.11.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用

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