第129号(2015年8月号[15/8/1発行])
暑中お見舞い申し上げます
 猛暑が連日続いておりますが、皆様、体調は大丈夫でしょうか。健康な人でも夏ばては珍しくありませんが、熱中症、夏風邪、食中毒、冷房による関節痛の増悪、食欲減退、帰省や旅行による疲労など、夏はリウマチ患者さんの体調を崩す要因にあふれています。そこで、くれぐれも無理は避け、十分な水分・塩分補給、小まめな着替え、バランスの良い食事、適度なエアコンの使用、規則正しい睡眠習慣など、体調の維持管理に努めていただきますようにお願いします。
脱水に注意しましょう
 これからの夏本番、熱中症予防のために十分な水分と必要な塩分補給を行って頂きたいのですが、熱中症にならなくてもリウマチ患者さんが脱水になると、血液中のメトトレキサート(MTX)などの薬物濃度が上昇して、腎障害や骨髄抑制などの副作用が発現する危険が高まりますので、脱水にならないように常に水分補給を心がけて頂けますようにお願いします。

生物学的製剤・JAK阻害薬の治療記録について
 生物学的製剤や、JAK阻害薬トファシチニブ(ゼルヤンツ®)を使用されている患者さんは、治療を始める際に、各社が薬や疾患別に発行している治療記録(治療日記・治療ノート)を配布されたことと思います。治療記録には、注射日の他に、リウマチの症状の変化や風邪などの合併症、体温などを記録するようになっています。自己注射を実施中の患者さんや、感染症のマスキング作用があるトシリズマブ(アクテムラ®)を使用中の患者さんでは継続的に記入されて、2冊目以降を希望される方もおられますが、使用開始されてから相当の年数が経過しても、多くの患者さんには1冊目のみの配布に留まっているのが現状です。治療記録に体調の変化を記載して診察日に持参いただくと、途中の体調の変化が良くわかりますので、ぜひ、ご活用くださいますようにお願いします。もし、紛失された場合には再配布いたしますので、主治医か看護師までお申し出くださいますようにお願いします。

研究へのご協力のお願い
 当科では、リウマチ患者さんの療養支援のための様々な研究を行っております。以下の研究を8月から開始しますので、お手数をお掛けしますがご協力いただけますようによろしくお願い申し上げます。
・リウマチ患者さんの心と体の健康に関する研究 リウマチの発症や症状悪化にストレスが密接な関係があると考えられていますが、身体活動と精神的回復力(レジリエンス)はストレスの軽減に役立つと考えられています。そこで、リウマチ患者さんの身体活動量とストレス、レジリエンスに関するアンケート調査を実施させていただきたいと思います。
・リウマチ患者さんの自己効力感と家族サポートに関する研究 リウマチの療養には、患者さんの自己効力感とご家族によるサポートが重要であると考えられています。そこで、リウマチ患者さんの自己効力感と必要な家族サポートに関する聞き取り調査を実施させていただきたいと思います。


休診のお知らせ
 以下の外来を学会参加と夏季休暇のため、休診させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
8月12日(水) リウマチ外来(三浦准教授)代診:前田医師
8月13日(木) 生物製剤外来(三浦准教授)代診:なし
9月9日(水)  リウマチ外来(三浦准教授・前田医師)代診:なし 
9月10日(木) 生物製剤外来(三浦准教授)代診:なし

新規抗リウマチ薬Peficitinibの治験に関するご案内
 抗リウマチ薬として国内外で開発が進められている新規JAK阻害薬Peficitinib(ASP015K)の第3相試験を、昨年9月より開始しております。また、一定の条件を満たす場合には、長期継続投与試験に移行していただけますように現在手続きが進行しております。当治験薬は高い有効性が期待されていますが、参加条件が比較的厳しいこともあって、全国での参加者数が当初の計画を下回っております。近年、生物学的製剤など高い有効性を持つ抗リウマチ薬が数多く存在することも、治験を希望される患者さんが減少している理由のひとつであると考えられますが、皆様の協力があって初めて、優れた新薬を世に送り出すことが可能になります。治験薬に関する詳しい資料を用意しておりますので、治験に関心をお持ちの皆様には、主治医までぜひ、ご相談いただけますようにお願い申し上げます。なお、当治験は神戸大学医学部附属病院整形外科及びリウマチ・膠原病内科の双方で実施しています。

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 さて、8月の教室では井上副看護師長を中心としたスタッフ及び学生による、リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会を開催する予定です。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2015年8月-2015年12月)
日時:2015年8月27日(木)午後1時-2時30分(時間が異なります) 
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」  
担当:整形外科外来 井上 容子 副看護師長及び看護部スタッフ、保健学科学生
司会:三浦 靖史 准教授

日時:2015年9月24日(木)午後1時-2時10分(時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール ♫ ♬  ♪
演題:「健康と音楽」 
講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授 
司会:三浦 靖史 准教授

日時:2015年10月29日(木)午後1時-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「おくすりの疑問」  
講師:薬剤部 國光 葉子 薬剤師 
司会:三浦 靖史 准教授

日時:2015年11月26日(木)午後1時-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を元気に過ごすために」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授
12月は年末につきリウマチ教室はお休みです
神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

 暑いばかりが夏ではありません。夏だからこその楽しいひとときを皆様でお過ごしください。

リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2015.8.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用

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