第127号(2015年6月号[15/6/1発行])
 紫陽花の青や紫の色合いと緑との美しいコントラストが目に入る時候となりましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。日中は早くも30℃を越える一方、朝夜は、まだかなり気温が下がるため、激しい温度差に風邪を引いたり、関節痛が悪化したなど、体調の不良を感じるリウマチ患者さんも少なくありません。皆様くれぐれもご自愛くださいますようにお願いします。

毎年6月は「リウマチ月間」です
 さて、今月はリウマチ月間です。リウマチの症状が、天気が崩れ出す前や、雨の日や寒い日に強くなることが多いことから、6月はリウマチ患者さんが体調を崩しやすい時期であるとして、日本リウマチ財団により1989年にリウマチ月間が制定されました。
 近年、リウマチの治療薬が飛躍的に良くなったことから、できるだけ早期からしっかりとした治療を積極的に行うことにより、多くの患者さんが発病前とほとんど変わりのない普通の生活を送れるようになりました。しかし、身体に障害を来さないためには、早期診断に基づく早期治療が必要です。リウマチが疑われる症状がある場合には、速やかにかかりつけ医を受診してください。私たちリウマチ専門医は、かかりつけ医と連携して治療に当たらせていただきます。



強直性脊椎炎の難病認定手続きが始まりました
 昨年5月に成立した「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」に基づき、第2次実施分として、2015年7月1日から強直性脊椎炎を含む196疾病が指定難病として新たに認定されます。認定された指定難病の患者さんは、一定以上の重症度に分類された場合に医療費助成の対象となります。
指定難病の医療費の助成制度の概要は以下のとおりです。
①医療保険上で自己負担割合が3割となっている患者さんの自己負担が2割に引き下げられる
②外来・入院の区別なしに世帯の所得に応じた毎月の医療費の自己負担上限額が設定される(最大3万円)
③自己負担上限額は、受診した複数の医療機関の自己負担全てを合算して適用される
④指定難病の医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある場合に、高額難病治療継続者として、一般あるいは上位所得者はさらに低い自己負担上限額が設定される(最大2万円)
 強直性脊椎炎の場合、重症とされるのは、①BASDAIスコアが4以上かつCRPが1.5 mg/dl以上、②BASMIスコアが5以上、③脊椎X線写真で2椎間以上に強直、④内科的治療が無効の高度な破壊や変形を伴う末梢関節炎の存在、⑤治療抵抗性・反復性の前部ぶどう膜炎、のいずれを満たしている場合です。ただし、症状が上記の重症度に該当しない患者さんであっても、高額な医療を継続することが必要な場合については医療費助成の対象とされます。そのため、インフリキシマブ(レミケード®)やアダリムマブ(ヒュミラ®)を使用している強直性脊椎炎の患者さんは、高額難病治療継続者として、これまでよりかなり低い自己負担で治療を受けて頂くことができるようになりました。助成が開始されるのは7月からですが、すでに6月から申請手続きは始まっておりますので、該当する患者さんにおかれましては、主治医と相談の上、申請手続きを速やかに行って頂きますようによろしくお願いします。

新規抗リウマチ薬Peficitinibの治験に関するご案内(再掲)
 抗リウマチ薬として国内外で開発が進められている新規JAK阻害薬Peficitinib(ASP015K)の第3相試験を、昨年9月より開始しております。当治験薬は高い有効性が期待されていますが、参加条件が比較的厳しいこともあって、全国での参加者数が当初の計画を下回っております。近年、生物学的製剤など高い有効性を持つ抗リウマチ薬が数多く存在することも、治験を希望される患者さんが減少している理由のひとつであると考えられますが、皆様の協力があって初めて、優れた新薬を世に送り出すことが可能になります。治験薬に関する詳しい資料を用意しておりますので、治験に関心をお持ちの皆様には、主治医までぜひ、ご相談いただけますようにお願い申し上げます。なお、当治験は神戸大学医学部附属病院整形外科及びリウマチ・膠原病内科の双方で実施しています。

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 さて、6月の教室ではリハビリテーション部の松野理学療法士から、リウマチ患者さんの運動に関する講演を予定としておりますので、是非、ご参加ください。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2015年6月-2015年9月)
日時:2015年6月25日(木)午後1時-2時  
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者に対する運動療法と関節保護」  
講師:リハビリテーション部 松野 凌馬 理学療法士   司会:三浦 靖史 准教授

日時:2015年7月30日(木)午後1時-2時 
会場:外来診療棟4階第2会議室(会場が異なります)
演題:「やってみよう!今日からできる食事のポイント」
講師:栄養管理部 赤毛 弘子 管理栄養士  司会:三浦 靖史 准教授

日時:2015年8月27日(木)午後1時-2時30分(時間が異なります) 
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」  
担当:整形外科外来 井上 容子 副看護師長及び看護部スタッフ、保健学科学生
司会:三浦 靖史 准教授

日時:2015年9月24日(木)午後1時-2時10分(時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール ♫ ♬  ♪
演題:「健康と音楽」 
講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授 
司会:三浦 靖史 准教授
神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

雨の日には濡れたフロア等で転倒されないように足下に十分お気をつけくださいますようにお願いします。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2015.6.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用

翌月のリウマチだよりはこちら 
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