第120号(2014年11月号[14/11/1発行])
インフルエンザワクチンの接種時期になりました
 11月に入って秋もすっかり深くなり、六甲山の色づきとともに、コートの準備も必要な時期になってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。もともと日本は「四季のある美しい国」と言われてきたのですが、近頃では地球温暖化の影響か、暑い夏と寒い冬の谷間に、短く春と秋が挟まれるだけになっているような気がするのは私だけでしょうか。今年も10月から急に冷え込む日が増えて、風邪を引いて受診される患者さんが増えていますので、毎日のことのため、ついつい簡略にしがちですが、帰宅時のうがいと手洗いを励行していただき、また、栄養バランスのとれた規則的な食事と十分な睡眠を取って、風邪予防に努めていただきますようにお願いします。
 さて、紅葉が鮮やかになりましたら、思い出して頂きたいのがインフルエンザワクチンの接種です。関節リウマチの治療薬である、メトトレキサート(リウマトレックス®)、タクロリムス(プログラフ®)、レフルノミド(アラバ®)などの免疫抑制剤、生物学的製剤(レミケード®、エンブレル®、ヒュミラ®、アクテムラ®、シンポニー®、オレンシア®、シムジア®)、低分子量分子標的薬トファシチニブ(ゼルヤンツ®)、そしてステロイド(プレドニン®など)は、いずれも免疫抑制作用を有しています。これは、関節リウマチは自己免疫疾患と呼ばれる病気のひとつで、免疫の異常により自分の免疫が自分自身の関節滑膜などを攻撃することによって原因で生じる病気のため、治療により免疫力はある程度低下します。そのため、リウマチ患者さんは、病原体に対する抵抗力も低下してしまう傾向にあります。ですのでリウマチ患者さんは、健康な方以上にワクチンによる疾患予防が大切です。インフルエンザワクチンは病原体を破壊処理して作成した感染する恐れがない「不活化ワクチン」のため、免疫抑制作用を有する薬を使用している患者さんも接種を受けることができます。一方、水痘や麻疹などに対して使用される生ワクチンと呼ばれる不活化されていない種類のワクチンは接種していただくことができません。なお、インフルエンザワクチンは接種後に効果が出るまでに通常2週間程度かかりますので、流行が始まる前に予め接種しておくことが大切です。また、10月1日から高齢者を対象に定期予防接種になりました肺炎球菌ワクチンにつきましては、10月号のリウマチだよりを参照していただき、接種を受けて頂くようにお願いします。なお、65才以上の高齢者に、インフルエンザワクチンの接種費用の軽減措置が適応されるのは居住される市町村の医療機関で接種した場合に限られますので、できるだけ地元のかかりつけ医で接種を受けるようにお願いします。

新規抗リウマチ薬の治験に関するご案内(再掲)
 国内外で開発が進められている新規の抗リウマチ分子標的薬(JAK阻害薬)の第3相試験を、9月より開始しました。治験薬に関する資料を用意しておりますので、治験に関心をお持ちの皆様には、主治医までご相談いただけますようにお願いします。治験への皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。なお、治験を実施しているのは大学病院のみで、リウマチだよりを配布しております関連医療機関では実施しておりませんので、ご希望の場合には大学病院を受診いただけますようにお願いします。

休診のご案内(再掲)
 以下の三浦准教授の外来を、学会出席のために休診させていただきます。ご迷惑をお掛けしますが、ご理解とご協力をいただけますようによろしくお願い申し上げます。
11月6日 (木)        生物製剤外来 日本関節病学会のため		代診:なし
11月18日(水)	 リウマチ外来 アメリカリウマチ学会のため	代診:前田医師
11月19日(木)	 生物製剤外来 アメリカリウマチ学会のため	代診:なし

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 さて、11月の教室では三浦准教授から、冬に向けての健康管理に関する講演を行う予定としております。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2014年11月-2015年6月)
日時:2014年11月27日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬が来る前に」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授

12月は年末につきリウマチ教室はお休みです。
 
日時:2015年1月29日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ治療:今年の展望」
講師・司会:三浦 靖史 准教授

日時:2015年2月26日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「若いリウマチ患者さんへ:就職や妊娠、育児について」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授

日時:2015年3月19日(木)午後1時-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール
日時:2015年4月30日(木)午後1時-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール
日時:2015年5月21日(木)午後1時-2時 会場:外来診療棟4階第2会議室
日時:2015年6月25日(木)午後1時-2時 会場:神緑会館1階多目的ホール

神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

朝夕の冷え込みも厳しくなりましたので、皆様くれぐれもご自愛下さいますようにお願いします。

リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2014.11.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)